- Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594010416
作品紹介・あらすじ
ブラック・エコー。地下に張り巡るトンネルの暗闇の中、湿った空虚さの中にこだまする自分の息を兵士たちはこう呼んだ…。パイプの中で死体で発見された、かつての戦友メドーズ。未だヴェトナム戦争の悪夢に悩まされ、眠れぬ夜を過ごす刑事ボッシュにとっては、20年前の悪夢が蘇る。事故死の処理に割り切れなさを感じ捜査を強行したボッシュ。だが、意外にもFBIが介入。メドーズは、未解決の銀行強盗事件の有力容疑者だった。孤独でタフな刑事の孤立無援の捜査と、哀しく意外な真相をクールに描く長編ハードボイルド。
感想・レビュー・書評
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シリーズ第1作を二十数年ぶりに再読。今よりは若々しいボッシュの活躍を楽しむ。
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ハリー・ボッシュ、最初の作品。
なるほど。こういう感じで始まったんですね。実は、ハリー・ボッシュ物を最初に読んだのは、『燃える部屋』だったので、既に定年延長契約制度を適用されているハリーでした。ですが、こちらはまだ(所轄に左遷されたとはいえ)バリバリの現役ですね。
それと、最近の作品では、あまりベトナム戦争経験の話は出てきませんが、この作品では、物語の舞台設定上、めっちゃハリーのベトナム戦争経験について、触れています。
上巻では、まだまだ話の始まり。実際に事件が“動く”のは、下巻からですよね。 -
ボッシュシリーズを初めて読む。
序盤は期待外れだったのかなと思うくらいページをめくる手が遅くなっちゃったけど、中盤あたりから面白くなってきた。
ベトナム戦争のことが絡んでくるのは分かってたけど。
なるほど、そういうことか。
内通者はあの人かな?と思いながら下巻へいきます。 -
著者マイクル・コナリーの名は、ブロ友から聞いて知っていた。
とても面白く、強くお薦めの作家らしい。
シリーズだそうだが、どれから読むのがよいかと聞いたら、
「やはり書かれた順に」
ふむ、なるほど。
しかし、これが見つからない。
ようやく、第1巻を探し当てた。
マイクル・コナリーのデビュー作にして、ボッシュ・シリーズの第1巻である。
ハリー・ボッシュは、ロサンジェルス市警ハリウッド署の殺人課刑事である。
彼のもとに事件がやってきた。
パイプの中に、遺体が見つかったという。
薬物中毒者が打ちすぎて死んだのだろうと、誰もが考え、ぞんざいに片づけようとした。
けれども、一人ボッシュは、現場に不審な点を見つける。
彼は確信した。
これは殺人だと。
ボッシュには、ヴェトナム従軍経験がある。
トンネル・ネズミとあだ名される、トンネル工作兵だった。
地下トンネルの中に潜り、敵兵を倒したり、罠を仕掛けたりする役割だ。
原題『THE BLACK ECHO』は、そのトンネルの中の暗闇のことだ。
この物語には、常にヴェトナム戦争がある。
いっぽう邦題『ナイトホークス』は、エドワード・ホッパーの有名な絵の題だ。
ヴェトナム戦争と言われても、アメリカ人ほどにイメージのわかない日本の読者むきにつけられた邦題である。
『ナイトホークス』の絵が、印象的な物語だ。
原題も邦題も、どちらもよいと思う。
ボッシュ・シリーズは、AmazonPrimeでドラマ化されている。
シーズン7まであり、Amazon最長記録である。
さらに、続編『ボッシュ:受け継がれるもの』もはじまり、その人気のほどが伺える。
私は小説より先にこのドラマを見た。
小説を知らなくても充分面白い。
ドラマを見ながら、原作ではどうなっているのだろうと、勝手に想像する楽しみさえある。
原作では、ボッシュはヴェトナム帰りだが、ドラマではアフガニスタン帰りになっている。
相棒エドガーは、原作では白人だろうと想像していたが『肌はナスビのように黒い』(上 35頁)とある。むむ、はずれた。
アーヴィング副警視正は、どちらも顎が強そうだが、原作では、どうやら白人だ。
話はそのままドラマになっているわけではなく、いくつかの話を組み合わせて、ドラマの1シーズンを作っている。
たとえばこの『ナイトホークス』は、他ふたつの話と組み合わされて、第3シーズンになっている。
けれども、製作にマイクル・コナリー自身が関わっているから、無茶なことはない。
だから、ドラマを見ていても、この小説は先が読めず、面白い。
ブロ友ならずとも、お薦めである。 -
『絶対に最初から順番通りに読め!』という教訓に倣い、<ハリー・ボッシュ>シリーズ第一作目にようやく着手。紙派の人間にとっては絶版本を入手するのがそもそも高いハードルなのですよ。今となっては流石に古臭い翻訳(1992年刊行)の所為で、序盤は全く物語に馴染めなかったが、ボッシュの人となりを知るという点において、今作が重要な役割を担っているのが良く分かる。原題の「The Black Echo」のままではベトナム戦争の色が濃過ぎるので、名刺代わりの意味合いも込めてのこの邦題なのだろうか。真偽は不明。続けて下巻へ。
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後半から引き込まれてくる。
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2015年に始まったAmazon primeのTVドラマのファイナルシーズン<7>を見終わってしまったので(スピンオフの製作が決定しているらしいけれど)、改めてシリーズの1巻目(1992年刊行)から初読することにしたところ、30年前の作品だとはほとんど感じさせない(ポケベルと公衆電話をかける小銭が必携…)臨場感あふれる語りの巧さに感服。
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この作者は初めて。評価の高い別の作品を読もうと思ったのだけど、ハリー・ボッシュシリーズというのがメインで売れているらしいのでその初作をまず読んでみた。結論をいうと悪くはないがちょっと期待外れ。まあよくあるはぐれ刑事もので類型的。事件は派手だが非現実的だし、意外な犯人という結末も読んでいくと想定内でどんでん返しという点では不満が残る。そうなると残るは主人公の存在感なんだけど、第一作だからか肝心のハリーの魅力が出し切れていない。評価は保留として次作に期待かなあ。
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原題はブラック・エコーだが、女性FBI捜査官の自宅に飾られているエドワード・ホッパーのナイトホークス(この絵は僕は大好きだ)に変更したのだ。この女性捜査官エレノア・ウィッシュ、音楽はジャズを聴くし本棚にはジェイムズ・クレアリー、チャールズ・ウィルフォード(こちらはまだ読んだことが無い)が並んでいる。なんてオシャレな女性だ。これはハリー・ボッシュが惹かれるのは無理もない。ミステリーコメントは下巻に