- Amazon.co.jp ・本 (446ページ)
- / ISBN・EAN: 9784594050764
作品紹介・あらすじ
塩は、人間の生存と生活に、欠くべからざる物質である。そして、人間の歴史は、塩をめぐって大きく展開してきた。科学技術、土木工学、税制や社会体制、そして宗教や料理といった文化も、塩によって発達した。ときには、部族間・国家間の対立や戦争も引き起こしてきた。本書は、「塩」をカギに、人間と文明を説き起こした驚異の歴史書である。世界的ノンフィクション作家が、膨大な調査をもとに完成した、知的刺激に満ちた1冊。
感想・レビュー・書評
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カバーの袖には、「本書は、『塩』をカギに、人間と文明を説き起こした驚異の歴史書である。」と紹介されているが、人間が食べる唯一の鉱物「塩」についての四方山話という印象の本だった。塩は、時代を問わず、世界中のあらゆる場所で経済的にも政治的にも重要な役割を果たしたことが繰り返し紹介されていて、それはそれで興味深いと思ったが、読んでいても実感が湧かないのは、聞いたことがない地名・人名が続々と出てくるからだろうか。ベルヒテスガーデン、ザルツカンマーグートといった馴染みの地名が出てくる「第十章 ハプスブルク家の漬物」が一番おもしろかったので、そんなことを思った。166ページから167ページにかけて、デュルンベルクの岩塩鉱山が遅くとも17世紀末には観光地になっていたことが紹介されているのを読んで、やはり観光地になっているベルヒテスガーデンの岩塩鉱山で、坑夫たちが鉱山内の移動に使った長大な滑り台を滑り降りたときのことを思い出した。それにしても、「ドナウ川」ではなく、わざわざ「ダニューブ川」と訳しているのは、なぜだろう。
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塩に目をつけたあたりは鋭い。
ただ、話の柱がないというか、読み進めるのに、パワーが必要だった。
過去から現在に至る塩の物語だけど、塩というものの汎用性というか、つまり、あまりにも、身近すぎて、全世界的過ぎて、話も発散気味というかんじ。
料理、国、時代、を特定して書いてもよかったのでは?と思う。 -
いよいよ、夏本番。熱中症の予防に、水分とともに欠かせない塩。塩は、生きていくのに必要不可欠。サラリーマンの語源でもあり、とっても身近なもの。本書では、古代エジプトのミイラ作りから漬け物まで、塩について幅広く取り上げられている。塩分濃度が高い土地で見つかったミイラは保存状態がよく、民族衣装や髪の色までわかる。スウェーデンでは、塩にまつわる夢占いがある。などなど、夏こそ、塩の歴史を紐解いてみては?
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江戸時代の日本でも、山奥の村では塩が極端に不足していて、眼病の人が多かった、と何かで読んだ事があります。ビタミンCが不足すると、壊血病になりますが、塩が不足すると眼病になるだけなのでしょうか?
内容で、「現代のアメリカ人は日に百三十五グラム近くも摂取している」とあったのですが、これはさすがに取り過ぎ、もしかしたら単位かなにかを間違えたのかもしれませんが。 -
生命が生きるに欠かすことの出来ない「塩」がどのように生産され、流通し、使われていったか、という視点から世界史を見詰めるという内容です。この本を買って良かったな~と思えたところは、バルト海のタラ漁と塩の関係に枚数をさいていること。南で製塩して、北に運び、北で獲れたタラを塩漬けにして、ヨーロッパ全土に運ぶ。西欧は肉食というイメージがありますが、キリスト教は肉食を奨励しなかった(もちろん高いという理由もあるだろうが)ので、基本的に魚が蛋白源だったみたいです。
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人類の歴史は塩獲得と利用の歴史といってもいいのでは、というほどに、各地での塩にまつわる話がつまっています。
塩の入手で争わなくなった僕らは幸せなのか。塩との関わりが今より楽しそう、といったら不謹慎かもしれませんが、貴重なものだと考えたほうがいいのではないだろうか。などと思っていましたが「数千年がかりで塩を白くし、均一な大きさに出来たと思ったら、今度はふぞろいで色がついた塩に金を払いたくなった」という記述に見透かされてしまった気がします。一言二言では言い表せない密度の本です。 -
おもしろいけど作者がアメリカのひとなので
内容にちょっと距離感を感じる。(第一部第二部)
西洋の歴史が好きな人には良いかも -
第1部 塩、死体、そしてピリッとしたソースにまつわる議論
第2部 ニシンのかがやきと征服の香り
第3部 ナトリウムの完璧な融合