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冷血(下)

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  • 134レビュー
著者 : 高村薫
  • 毎日新聞社 (2012年11月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107905

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冷血(下)の感想・レビュー・書評

  • 暴発しない合田刑事は私にとっては物足らないのです。二人の殺人者の内の井上克美のように、時にトチ狂って検察官と真っ向対峙し己の捜査方法を貫いてほしかった。でも、そのようなことは些末なことであって、この小説では結局人間という生き物は玉ねぎの皮を一枚一枚剥いでいくようにしても、どこに本質が潜んでいるのか解らない、捉えどころのない存在であるということが見えてくる。巷間、小説より奇なる事件が頻繁に起こっているが、捜査する刑事たちは合田刑事のように日々懊悩しているのだろうか。

  • 3.0 ようやく読み終えました。重たく細かく何とも言えない話しでした。疲れた。

  • 久々の上下巻二段組に圧倒されつつ淡々と読み進み読後感はしんどい。
    虫歯には気をつけよう。

  • 久しぶりの二段組みに一瞬とまどったが、読み出したが最後、上巻は一気に読み進む。恐れていた事件の凄惨さは、被害者視点がほぼないためか、あまり感じられない。読者への配慮かとも思ったが、そうではなく、この小説は、冷血な事件を起こした犯人、さらに事件が起きた理由を掴もうともがく合田刑事の物語だからなのだろう。

    下巻の大部分を占める取り調べの描写は、聴取している刑事達と同じく、こちらまでがジリジリしくるほどだ。下巻のページを何枚も繰った末に見えてくるのはいったい何なのか。自分には、まだ答えが分からない。そもそも答えなんて、あるのだろうか。

  • いまひとつ馴染めない文章だったけれど、合田刑事のことが知りたくて最後までお付き合いしました。結果、合田さんってやっぱスゲェ深い人だとわかりました!

  • 凡人のパーソナリティを長々と聞かされて何にもないってのはさすがに退屈

  • 動機のない犯罪の不気味さと死刑制度についても考えさせられた。以下に詳しい感想があります。http://takeshi3017.chu.jp/file6/neta6705.html

  • 一家四人強盗殺人事件を犯した井上と戸田。合田刑事らが証拠などの解明をしていくが―。
    「冷血」というタイトル。犯行の行為自体は冷血極まるものであると思う。
    しかし、犯行や行為に至った背景を解明していくと、「冷血」ではない犯人の姿が垣間見える。
    上巻を読むのはしんどかったけれど、下巻まで読んで良かった。

  • カテゴリってどう使えばいいんだろうか?

    ーーー

    現代の社会派サスペンスならこの人を、と薦める声をネットで拾って素直にブックオフでいくつか著作を眺めて、普段買わない単行本だけど一番読みたいと思ったこれの、とりあえず上巻だけレジに。
    ネットで読みたい本を探している時に、この本は世田谷で起きた、未解決の一家殺人事件をモチーフにしているというような文章を目にした気がするんだけど、おまけにどの本にもあまり食指が伸びない状態で、この本にしたのはこの事件をモチーフにした云々という前情報にしがみついた結果なんだけど、ただの勘違いのように思える。
    凄惨な殺人事件を起こしておきながら、ぼんやりとした言葉でしか動機を明かさない、なんというか新時代の殺人犯とでも形容したくなる、実際の殺人事件の容疑者が幾人も存在していて、事件の血生臭さは数週間、数日間は一般にも強い衝撃をもって残るんだけども、その後別の事件が起こったり、おめでたいニュースでも流れれば、すぐに最初の事件のインパクトは薄れてしまう。数カ月後、あの事件どうなっただろう?と思い返してニュースを検索してみても、進展を知らせる記事には行き当たらず、リンク切れを起こす記事も多々あったりもする。
    「事件の真相」「犯人の心理」みたいなわかりやすいものが好きな悪趣味な私としては、衝撃を受けた事件のその後をググり、上記のような結末を迎え、なんの真相もわからないまま、拍子抜けするような悶々とするような感覚は実際何度も経験している。
    この本はあの感覚が、本の中にある「事件の真相」や「犯人の心理」を探ろうとする時に起こり、読み終えた時にもまた起きた。
    帯に書かれていた「二転三転する供述」だとか、判決後に犯人が主人公の刑事に送った完結な手紙の中のはっとしてぎょっとする一文はまさに映画の予告編。2時間くらいの映画1本を数分で鑑賞した気分にさせちゃうアレ。帯の宣伝文句で本をダメにしているとか、ネタバレだとかいうことではなくて、本ではなく帯の完成度を優先させているような感じ。
    全体を通してすごく淡々とした文章で書かれていて、「小説」と呼んでいいのか今でも疑問なくらいの、私にとって初めての感覚のするものだった。(この前に読んだのが、ちょっと暑苦しい中年が事件について力説している感じの「ゼロの焦点」だったせいもあるかも。)実際に起きた事件のルポタージュを読んでいるようだった。「ゼロの焦点」もこちらも、主人公にプロアマの違いはあれど、事件を追う同じ立場で、こちらの主人公も作中散々「否、否」と繰り返し思いを巡らせていたのに、この湿度の違いは何か。
    「冷血」と同じ主人公の前作も人気があるようで、こちらも実際に起きた未解決の事件を思わせるところがあるようなので、この前作ではどうなのか確認するためにも読んでみたい。でも、多分この作家の色なのかな。
    カポーティの方の「冷血」も映画だけで読んだことがないので読んでみたい。
    ヴェンダースの「パリ、テキサス」も、アルモドバルの「トーク・トゥー・ハー」も、どちらも個人的に思い入れのある映画だし、利根川や赤羽・十条、附属小のあたりの描写も、自分が少しでも知っている土地が出てくると、猟奇的な事件が自分の見知る場所で起きて、それをネットという壁を一枚隔てて賢しく情報漁りをしている自分と現代のいびつで醒めた気味の悪さを見咎められたような、なんともいえない感覚に陥る。
    「悪いタイミングが偶発的に重なって」とか、「魔が差して」とか「ふとした拍子に誤って」とか、そういう、被害者側からすると到底納得のいかない理由というか状況で殺人を犯してしまうことはあり得る、とserialというポッドキャストを聞いて思ったことがある。それまでは「魔が差す、ってなんだ、ついカッとして、ってなんだ」と思っていたけど... 続きを読む

  • 別に文体変わってなかったね。とはいえ、ここのところの作品と比べたら読み進み易さは戻ったような気がする。『冷血』というタイトルはカポーティ作品のオマージュと同時に特に深い動機や理由もなく殺人まで犯してしまう、そしてそのことに対してさして思うところもないという犯人の冷めたところをも指してるのかなと途中までは思っていたのだけれど、どうなんだろ。冷めたというよりも「冷める」というほどの関心もないといったふうで、実際にもそんな犯人による事件はあるんだろうなあと思うとなんだかいろんな意味で人間って怖いなと思う。

  • 元ネタを知らないせいか今ひとつ乗りきれなかった。春子情歌では秀逸だった手紙と心象風景の繰り返しが若干冗長に感じられたのは、人物像が三者三様ではなく阿修羅の別の顔というか警察官も犯罪者も同じ根っ子を抱えていることを描きたかった高村薫の意思にシンクロ出来なかったからかもしれない。
    キャベツの品種や綾波レイ程度の違いしか無い人と人が裁き裁かれる意味合いについて問いたいのはよく分かった。(作者の意図が違ってたらゴメンなさい)

  • 派手なことは何一つないが
    (事件も逮捕も上巻で全部片がついてる)
    ひたすらじっくり読ませる下巻だった。
    上巻の頃の犯人2人が、無邪気にすら思えてしまうような、じりじりと進んでいく時間に、最終的には悲しみのようなものを感じさえした。
    諸行無常ってこんな感じなのかとも。
    タイトルの「冷血」が、重く胸の中に沈む。

  • 世田谷一家殺人事件を想定した小説。残忍極まりない殺人事件の犯人とは心を持たない獣なのか。面白いが悲しい物語でした。

  • 最初の被害者と犯罪者の叙述が交互するところは、決して、関わりあうこともわかりあえることもないだろうという思いが大きかったが、後半の警察による取調べの叙述を読むにつれ、思いが複雑に揺れ動く。ちょうどNHKで観た72時間で国道16号線を走破しながら、道行く人にインタビュウーをしたドキュメントはこの小説から想を得ていたのかと考える。そう言えば、若かりし頃に、ニュージャーマンシネマだとかで、「パリ、テキサス」を観て、ライ.クーダーの音楽をいたく気に入り、CDまで買ったのを思い出す。「赤と黒」、「土」、「地下室の手記」、「餓狼伝」、「パチスロ」、「GTーR」。ずっしりと重くなる本であった。

  • 今回の合田刑事は畑作業に熱中して、ヴァイオリンを弾くシーンはなかった。やめたのかな?貴和子さんが911で亡くなっていたことも知らなくて、衝撃。人間が自分の行動の動機を突き詰めて語るというのは何て難しいんだろう。それでも被害者になった少女は語る努力をしようとしていた。読書が嫌いでなかった井上、でも歩のような有機的な読書はできていなかったのかな。

  • 私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    2014.9.11読了

    上巻に合わせて、記載。

  • 上巻で挫折しかけたのにも関わらず、下巻に入った後はかなり短い時間で読み終わったことに我ながら驚く。予想外の展開に戸惑いながらも明らかになっていく犯人の姿。それでも解らないことだらけなのに、なせか印象に残った話。考えられないようでいて実はそうかもしれないと思わされる。

  •  時々、自分がいかに文学的な才能に欠けているか実感することがある(因みに落胆ではないw)。この小説を読んだ後が、まさにそう。以下、長文ご注意。
     作者は死刑反対論者だから、下巻は勝手に弁護士の正面きった議論を期待してたので、それがまず当て外れ。その代わり、ほぼ全編、捜査の記録と犯人の井上と警視庁の合田係長の関わりについて書かれている。上巻を読んだ後には、何も目新しいことはないし、2人の「往復書簡」には心を揺さぶられるものがなにもない。
     井上の造形は「つかみにくい」ものだから、一つのはっきりした像を結ばない。人によって違う解釈も、「羅生門」のような正反対の解釈ではなく、せいぜいが太陽光を違った角度からあてた時の反射角の違いのような微妙なものだ。「人を惹きつける魅力がある」ってのも作者が地の文で直截的に書かなきゃならないほどで、人物の描写からはあまり感じられない。
     井上の生い立ちは確かにすごいもので、双極性障害の可能性も含めて、事件に至った経緯は良くわかる。「人を殺めること」に罪悪感が全くない犯人を「死刑」にして何が得られるのか、っていうことを作者は言いたかったのだとも思う。ただ、その反対側には、被害者女性の母の「こちらもべつにクズに反省してもらいたいとも思いませんし、いまさら反省されても娘たちが返ってくるわけではないし。いまは一日でも早く、死刑になってほしいだけです」という独白もある。死刑保持論者なら、この独白に全面的に賛成するだろうし、これがこの老女の「殺意」だと読み取るのは難しいとも思う。
     176ページ、井上のセリフは一つの鍵。曰く、「というか、人の痛みがどうして分かるんだ?分からなくても想像しろってことか?それができたら苦労しねえわ」つまり、この犯人は最後まで反省しない。その犯人を死刑にする意味とはってことを作者が言いたかったのだとすれば、もう少し直接的に合田に代弁させても良かったのでは、とも思う。
     つまり、「死刑廃止論」に関して、この小説を読んでどちらに転ぶかは読む人次第。僕みたいな元々の廃止論者はその信念が固まることもないし、推進論者がこれを読んで廃止論に傾くとも(僕には)思えなかった。
     9/11で亡くなった別れた奥さんのエピソードを含めて、合田という人物の造形も(この人物を全く知らない読者に対しては)成功とは思えないし、週刊誌に連載した小説というしばりがあったので、その回数の関係で無用に長くなったような気さえする。上巻で示唆された警察内の人事を巡るゴタゴタという伏線も回収されていないし、検察が急に方針を変え、「完璧な調書」からやっつけ仕事になった経緯も全く説明されていない。
     「マークスの山」他の作品を読んでいないので、作者全般についてコメントすることはできないけど、「肌が合わない」作家なのかな、とも思う。アマゾンなどのレビューではそこそこ評価されているのが僕にはわからない。トルーマンカポーティの「冷血」も読んでいないけど、この本を評価するために「本家」を読む必要はなさそうだ。
     同じ刑事物なら、文学的な深さや評価はともかく、「半落ち」や「クライマーズハイ」を書いた横山秀夫の方がテンポが早く驚きがある分、読みやすい。
     本書は未解決の「世田谷一家殺害事件(2000年)」をモデルにしていると言われるが、犯人二人が知り合った経緯、キャッシュカードがからんでいる点、殺害方法、被害者が命乞いをしたことなどは「闇サイト殺人事件(2007年)」に近いとも思われる。この本を読み終わる前の夜、たまたま電話で話した大学の友人が今名古屋地裁の裁判官なんだけど、この事件の差し戻し審の担当で「死刑事案はやはり荷が重い」って嘆いてたのが偶然にしては出来過ぎだなw。

  • どうしようもない二人が,まったくもって不運としかいいようのない被害者家族を殺してしまう。主人公の内面にはあまり共感できない。

  • カーポーティの同名作品へのオマージュだそうだが、カポーティの作品を読んでいないので何とも書きようがない。本作を読みつつ私が感じていたのはむしろ、異邦人に似ているな、ということであった。母親が死んでも普段と何ら変わらない生活を続けるムルソーを世間は批判し、そのような性格の異常性を殺人の原因と世間はみなすのだが、果たして世間の多くの人びとと異なる因子を持つこと自体が罪だというのか、という人間の本質に迫ろうとする点が似ているように思われた。
    それにしても長い。特に事件が起きるまでの前半部分が本作に必要な部分なのかは疑問と思う。

  • 久しぶりに新らし目の高村さんを読んだ。
    おもしろかった!
    淡々としていて、それでいて執拗な文章の嵐。
    高村薫を読んでる!ってカンジで好き。

  • 長い長い取り調べと判決文

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「私たち一人一人にとって、世界を埋めるものは多かれ少なかれ異物なのだ」刻一刻と姿を変えていく殺戮の夜の相貌。容疑者はすでに犯行を認め、事件は容易に「解決」へ向かうと思われたが…。合田刑事の葛藤を描く圧巻の最終章。

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