冷血(下)

著者 :
  • 毎日新聞社
3.63
  • (88)
  • (116)
  • (113)
  • (35)
  • (13)
本棚登録 : 1009
感想 : 149
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784620107905

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 元ネタを知らないせいか今ひとつ乗りきれなかった。春子情歌では秀逸だった手紙と心象風景の繰り返しが若干冗長に感じられたのは、人物像が三者三様ではなく阿修羅の別の顔というか警察官も犯罪者も同じ根っ子を抱えていることを描きたかった高村薫の意思にシンクロ出来なかったからかもしれない。
    キャベツの品種や綾波レイ程度の違いしか無い人と人が裁き裁かれる意味合いについて問いたいのはよく分かった。(作者の意図が違ってたらゴメンなさい)

  • 今回の合田刑事は畑作業に熱中して、ヴァイオリンを弾くシーンはなかった。やめたのかな?貴和子さんが911で亡くなっていたことも知らなくて、衝撃。人間が自分の行動の動機を突き詰めて語るというのは何て難しいんだろう。それでも被害者になった少女は語る努力をしようとしていた。読書が嫌いでなかった井上、でも歩のような有機的な読書はできていなかったのかな。

  • どうしようもない二人が,まったくもって不運としかいいようのない被害者家族を殺してしまう。主人公の内面にはあまり共感できない。

  • 下巻になって合田さんらしさを感じた。
    内容的には、かなり重い

  • 裁判では真実は発見できない。

  • 死刑囚に人権は必要か

  • この犯人の精神状態に怯えた。
    供述の中のどこにも共感できるところは無く、暗証番号を聞き出した後、心境が変わり撲殺した理由、座布団をかぶせた理由、目の前での出来事にのみ反応し、他には興味を持たない。
    こんな凶悪犯がこの世の中に増殖しないことを心から願う。
    今回の作品はやはり辛い部分が多かったが、他の高村作品にも挑戦しようと思う。

  • 久々の高村薫!久々の合田雄一郎!でしたが、なんとモヤモヤした読後感でしょう…
    今の世の中、いつあのような凶悪犯罪に巻き込まれるやも知れぬという冷んやりしたものが心に残りました。
    後、虫歯の放置には気をつけたいですね。

  • 2002年のクリスマスにおこった、
    東京都北区西が丘の歯科医一家惨殺事件。
    容疑者である井上と戸田は
    計画性のない犯行ゆえにあっというまに逮捕され、犯行も認められた。

    普通の小説なら、犯人が捕まったところで終わりだろうが、
    この小説は、
    逮捕してからの犯人と合田刑事の心の葛藤が切実に描かれている。

    なたのような凶器で頭をめった切りにされた一家4人。
    どうしてあのような冷酷な殺人ができたのか。
    合田刑事は事件を立証するうちに
    言いいようのない恐怖に陥っていた。

    躁鬱病をわずらう井上と
    ネットで井上の誘いにのった慢性歯痛持ちの戸田。
    二人の生い立ちは全然ちがうのに、
    その根底には、温かい家庭とは程遠い家庭環境があり、
    育った環境もおそろしい犯罪への道しるべとなったように思われる。

    ほっておいた虫歯が引き起こす病なども恐怖だが、
    「何気なく」人を殺せる人間の心理はもっと怖い。

    男性的な硬質な文章でたんたんと描かれているためか、
    読み進むにつれて、登場人物の冷血さが際立ってくる。
    心の病からおこる悪魔のような犯罪を書かせたら、
    おそらく、高村さんはピカ一だろうなと、思う。

  • なんというか。。。

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

高村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×