- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784620107905
感想・レビュー・書評
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歯科医一家四人惨殺事件。犯人達の心のありように、せすしが冷たくなる思いがする。合田はなんでそんなに犯人に入れ込んでいるのか…。
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合田が中間管理職をがんばっている。迷いながら、悩みながら、組織の中でなんとかやっていっているのを読んで、共感をもった。
早朝の畑仕事がストレス発散だって。なんて健康的なんだー。
ここまで、2014-04-23
と思ったら、さくさく読んで、23日中に読み終わった。
なんていうか、高村薫があちこち出てきている小説だった。
たとえば、33歳の井上の手紙で、「一寸」と「とまれ」が出てきた時点で、「あ、高村薫だ」と思った。
「とまれ」は地の文でも、手紙の中でも、合田の思考の中でも、何回出てきたか知れない。ともあれとか、とにかくとか、他にいくらでも言い換えることができるだろうに。ワンパターンである。
また、「一寸」を13歳の中学生の日記と、33歳の殺人犯の手紙の中で平気で使っているのに神経を疑う。
ふつうに、「ちょっと」とひらがなで書けよ・・・・おばあさん。
高村薫の文章は法律文、たとえば検察の論告要旨や弁護人の文章、それから判決文には適しているけど、中学生が書いているという設定の文章には向かないと思う。
合田が死刑囚の井上と手紙のやり取りをするのが不快だった。
取調べまでは合田に共感できたんだけどな。
入院している戸田の見舞いに行くあたりから、もう、なんていうか、どんびき・・・・。
だって、殺人者でしょ?物言わぬ戸田に独り言のようにしゃべる合田・・・・おかしいよ・・・・。
13歳と6歳の子どもを殺しているんだよ?
私は戸田にも井上にもいっさいの同情も共感もしない。
実は、第1章は読んでいない。途中で読むのをやめた。
あまりにも死亡フラグがたっていたから。
この仕合せ(「幸せ」でいいじゃん!!なんで「仕合せ」て表記にしたがるんだろう??)そうな家族、あきらかにこのあと死にますね、死亡フラグぷんぷんですねと思ったので、最初の一区切りで読むのをやめ、いっきに第2章へ飛んだ。
だから、第1章で、戸田と井上がどう出会い、どう過ごしたのか知らない。
第2章で合田といっしょに合田の視点で事件の概要を見ただけである。
それで十分だわ。
子どもが死ぬのが、たとえ小説の中でもえらいこたえる。
昔はミステリはおもしろかったし、人が文中で死んでも平気だった。
でも、今はだめだ。
二人の子どもの親になったからか。年を取ったからか。
とにかく、子どもが虐待されたり、殺されたりすると、胸が痛くなる。
合田、なぜにそんなにその二人にかかわる?
逸脱しすぎだと思った。
中間管理職している合田はよかったけど、捜査がほぼ終わり、地検に送致してからの合田はなんとも好かん。
どこかの感想文で、この「冷血」をまた高村薫のひとりよがりな作品(その人は福澤三部作もひとりよがりと決め付けていた)だとし、高村薫がこの作品で何を言いたいか分からんと書いてあったけど、私はそこまでひとりよがりだとは思わないし、作者インタビューの動画も見たので、作者が何を言いたいか(風景の中の個人でしょ?きっと)も分からないではないけど、いかんせん高村薫という個人の個性が文中にいっぱいにじみ出ていて、小説として、没頭しては楽しめなかった。
風景の中から事件も個人も生まれるって、確かにあちこち印象的なシーンがあって、心に残るんだけど、いっしょに高村薫個人臭もぷんぷんと残ってしまっている。
それが文体のせいなのか、画一的な表記のせいなのか、私には判断つかないけど、なんつーか、今後も高村作品は合田が出るなら読むけど、合田が出ないならもう読まないだろうなと思った。 -
合田雄一郎シリーズ。
両親共に歯科医師の4人家族が惨殺され、その犯人の犯行に至る動機の検証に翻弄する警察、検察の模様が描かれる。
上巻の半分は被害者家族の日常の様子、犯行に及んだ2人の犯人の犯行までの足取りなどが描かれる。
なかなか登場しない合田に、本を間違えたと思ったくらい。
上巻の後半は事件が発覚して、犯人が逮捕されるまで。
下巻になると、ほとんどが取り調べの様子を録音したデータを合田が聞く様子が描かれる。上巻の時から感じていたが、今作では自分のしていることの目的が分からないまま、事件を起こした井上、戸田2人の犯人の心理的分析がメインで、前作の「太陽を曳く馬」の時と同じような哲学的な印象が強い。
今は特捜に所属する合田が、事件の第一線で活躍することもなく、少し物足りない… -
やっと読み終わった…
警察の描写がリアル。 -
3.0 ようやく読み終えました。重たく細かく何とも言えない話しでした。疲れた。
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元ネタを知らないせいか今ひとつ乗りきれなかった。春子情歌では秀逸だった手紙と心象風景の繰り返しが若干冗長に感じられたのは、人物像が三者三様ではなく阿修羅の別の顔というか警察官も犯罪者も同じ根っ子を抱えていることを描きたかった高村薫の意思にシンクロ出来なかったからかもしれない。
キャベツの品種や綾波レイ程度の違いしか無い人と人が裁き裁かれる意味合いについて問いたいのはよく分かった。(作者の意図が違ってたらゴメンなさい) -
今回の合田刑事は畑作業に熱中して、ヴァイオリンを弾くシーンはなかった。やめたのかな?貴和子さんが911で亡くなっていたことも知らなくて、衝撃。人間が自分の行動の動機を突き詰めて語るというのは何て難しいんだろう。それでも被害者になった少女は語る努力をしようとしていた。読書が嫌いでなかった井上、でも歩のような有機的な読書はできていなかったのかな。