いかにして問題をとくか

  • 丸善
3.65
  • (97)
  • (101)
  • (156)
  • (22)
  • (11)
本棚登録 : 3334
感想 : 143
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784621045930

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 落合陽一さんが薦めていて拝読。数学の先生が書いた本らしくて、パッと見、期待していたものと違ったのだが、ありとあらゆる問題に共通らしい。そこまでメタな視点を持てということなのかもしれない。

    本編は少なくて、後段3分の2ぐらいは用語解説になっている。いや、なんなら裏表紙の2ページで要点は簡潔している。

    第1に、問題を理解しなければならない。
    第2に、データと未知のものとの関連を見つけなければならない。そうして解答の計画をたてなければならない。
    第3に、計画を実行せよ。
    第4に、えられた答を検討せよ。
    これって、See-PDCAって感じやんな。

    古い本でちょっと印字が読みづらい。落合効果なのか買った後に新版が出ていてちょっとショックだった。

  • 【まとめ】

    ●問題を解くには手順がある。すなわち、①問題を理解し、②計画を立て、③計画を実行し、④ふり返る。

    ●決定問題(未知のものは何か?)では未知のもの、データ、条件が、証明問題(命題は正しいか否か?)では仮説、終結が大事。

    ●むずかしい問題を解くうえで必要なことは、まず問題をよく理解すること、そして問題を解こう!と思うこと。すなわち問題に集中し、あらゆる手段を駆使して答えを探し求めようとする熱意が大切。熱意がないなら手を出さないほうがいい。本当に成功するためには全身を問題にうちこまなきゃだめ。


    ☆このリストをマスターしよう↓

    【HOW TO SOLVE IT - G. POLYA】

    [First.
    You have to understand the problem.]

    UNDERSTANDING THE PROBLEM
    - What is the unknown? What are the data? What is the condition?
    - Is it possible to satisfy the condition? Is the condition sufficient to determine the unknown? Or is it insufficient? Or redundant? Or contradictory?
    - Draw a figure. Introduce suitable notation.
    - Separate the various parts of the condition. Can you write them down?

    [Second.
    Find the connection between the data and the unknown. You may be obliged to consider auxiliary problems if an immediate connection cannot be found.
    You should obtain eventually a plan of the solution.]

    DEVISING A PLAN
    - Have you seen it before? Or have you seen the same problem in a slightly different form?
    - Do you know a related problem? Do you know a theorem that could be useful?
    - Look at the unknown! And try to think of a familiar problem having the same or a similar unknown.
    - Here is a problem related to yours and solved before. Could you use it? Could you use its result? Could you use its method? Should you introduce some auxiliary element in order to make its use possible?
    - Could you restate the problem? Could you restate it still differently? Go back to definitions.
    - If you cannot solve the proposed problem, try to solve first some related problem. Could you imagine a more accessible related problem? A more general problem? A more special problem? An analogous problem? Could you solve a part of the problem? Keep only a part of the condition, drop the other part; how far is the unknown then determined, how can it vary? Could you derive something useful from the data? Could you think of other data appropriate to determine the unknown? Could you change the unknown or the data, or both if necessary, so that the new unknown and the new data are nearer to each other?
    - Did you use all the data? Did you use the whole condition? Have you taken into account all essential notions involved in the problem?

    [Third.
    Carry out your plan.]

    CARRYING OUT THE PLAN
    - Carrying out your plan of the solution, check each step. Can you see clearly that the step is correct? Can you prove that it is correct?

    [Fourth.
    Examine the solution obtained.]

    LOOKING BACK
    - Can you check the result? Can you check the argument?
    - Can you derive the result differently? Can you see it at a glance?
    - Can you use the result, or the method, for some other problem?


    【ノーツ】

    ●次元によるテスト:
    ある式の左辺と右辺で単位量(長さ m、面積 m²、時間 s、重さ g、温度 K など)が同じ次元かどうかをテストする。とくに物理学で、求めた式が正しそうかどうか( ≠ 正しいかどうか)を試すうえでてっとり早くて便利な方法。

    ●格言の知恵:
    [1. 問題を理解する]目標を見失うな。愚か者ははじめを見、賢い者は終わりに注意をむける。
    [2. 計画を立てる]鍵束の鍵をすべて試せ。やりたいことができなかったら、できることをやれ。
    [3. 計画を実行する]愚か者が最後にすることを、賢い者は最初にする。
    [4. ふり返る]念には念を入れろ。
    [その他]
    ・目的は手段を教える。
    ・何、なぜ、どこ、いつ、どのようにの5つを友とせよ。忠告が必要なときはこの5人の友にたずね、他のものにたずねてはならない。
    ・最初に見つけた松茸(や発見)の近くを探せ。それらは群れをなして生えている。

    ●決意、希望、成功:
    ★問題を解くことは純粋に知的なことがらである、と考えるのは間違い。決意や情緒といった、より情動的・感覚的な側面も大事。ありきたりの問題を解くだけなら中途半端な姿勢でもなんとかなるが、真剣な科学の問題を解くためには、長年の苦闘と苦い失敗をきり抜けなければいけない。
    ・科学の研究においては見通しをもつことが大切。なにか初めに希望をもち、このやり方でいけば成功するのでは?という見込みがあってこそ、全力でその問題に取り組める。

    ●近代発見学:
    ・決定問題と証明問題の区別は重要。
    ・本書のリストは決定問題に適している。証明問題に対して使うには、リストの問いをすこし変える必要がある。

    ●未来の数学者:
    ・自分の適性をよく見きわめ、自分はどんな問い、どんな発見にむいているかをよく知ろう。
    ・模倣と実行をつうじて学ぶこと。よい手本を見つけ、よい先生に学び、優秀な友人と競争すること。なにより大切なのは、普通の教科書を読むだけではなく、自分が本当に模倣したいと思う著者を探すためによい本を読むこと。そしてそれらを楽しむこと。問題を解き、やがては自分自身で新しい問題をつくること。

    ●未知のものはなにか:
    ★問題を解くことは未知のものをデータとむすびつけること、未知のものとデータの関係をみいだすことである。したがって、未知のものは何か、与えられているデータは何かと問い、くりかえしそれらに注意をむけなければならない。
    ・証明問題の場合も同様に、仮説は何か、終結は何か、と問うことが必要。

    ●問題を変形させること:
    うまくいっているあいだはいいが、なかなか問題を解けずにいるとやがて問題に飽きてしまう危険がある。それを避けるためには、問題に対して新しい問いを投げかけられないか考えてみる。

    ●無意識の仕事:
    ・どうしても問題を解けないときは「枕に相談せよ」、すなわち「今日がだめならまた明日」。すると翌日には求めていた答えがなんの苦もなく思い浮かんだりする(無意識の仕事=ユリイカ!)。
    ★しかしまったく収穫がないままに手を休めるのはよくない。仕事を離れるときは、なんでもいいので少しでも何かを明らかにし、少しでも何かを解決してからにするべき。
    ・並々ならぬ熱意をもって問題に取り組んでいるときにのみ無意識の仕事はおとずれる。さもないと、ただの「果報は寝て待て」になってしまう。そんなにうまい話はない。

    ●パプス:
    [解析]未知のもの(解、結論)から出発する逆向きの解法、逆向きの推論
    [綜合]既知のもの(データ、仮説)から出発する構成的解法、前進的推論
    ・解析と綜合とで対象は同じだが、解析では心を働かせ、綜合では筋肉を働かせる。解析は思想に、綜合は実行にある。そして両者は順序が逆であり、解析の出発点は、綜合が終わる点でもある。
    ・解析は計画を考察することであり、綜合は計画を実行することである。

    ●診断:
    [1. 問題を理解する]×不注意により問題を不完全にしか理解してない
    [2. 計画を立てる]×なんの計画もなしにいきなり解き始める、×なにか閃かないかとぼんやり待っているだけで考える努力をしない
    [3. 計画を実行する]×不注意、×各段階を点検する忍耐がない
    [4. ふり返る]×結果が正しいか確かめない

    ●進歩と成果:
    [動員]記憶の中から問題に関係のある要素を取り出すこと(=星を集める)
    [組織化]動員され寄せ集められたばらばらの事実を適切にむすびつけ、適当なまとまりにすること(=星座をつくる)

    ●すぐれた解答者
    ★すぐれた解答者はリストの問いや注意を内面化し、いつでも上手に使いこなすようになっていなければならない。なにか問題を解こうとするときはいつもくりかえしリストの問いをみずからに問いかけ、リストの問いをどうすればうまく利用できるかを考える。
    ★すぐれた解答者はまずできるだけはっきりと問題を理解することにつとめなければならない。しかしそれだけでは十分ではなく、問題に集中し、その解を熱心に求めなければならない。もしも問題を解く熱意がなかったらそれに手をつけないほうがよい。ほんとうに成功するためには全身を問題にうちこまなければならないのである。

    ●予想を検討せよ:
    [ジョン・ジョーンズの話]ジョーンズは事務所で働いている。彼は月給がすこし上がってくれればと思っていたが、いつも希望というものがそうであるように、彼の希望もまた裏切られた。同僚の月給が上がったのに彼は昇給しなかったのだ。彼は内心おだやかでなかった。そこで彼は苦しんだあげく、彼を昇給させなかったのは所長のブラウンのせいだと考えるようになった。
    [ジョーンズの過ち]ジョーンズが当初、所長ブラウンのせいだと考えたこと自体はもっともなことではある。しかし本当の間違いは、彼がそう考えたあとで、それ以外のいかなる可能性にも目をくれなかったところにある。(たとえば、ジョーンズの働きぶりについて所長ブラウンは日ごろから評価していて、それでもジョーンズが昇給せず同僚が昇給したのは、たんに同僚の営業成績がとても良かったから、という可能性など。)彼は自分の考えが間違っているとは夢にも思わなかった。自分の考えを疑い、それを問いただし批判的に検討することをしなかった。
    [してはならないこと]疑いや予想や想像をよく検討もしないうちに、それらを取り消すことができないほど大きなものに成長させてしまってはならない。どんなによい考えでも、それを無批判に受け入れ、検討を怠れば、最終的にはまったく役に立たなくなる。

    ●図:
    正三角形でも二等辺三角形でも直角三角形でもない「一般的な三角形」を描くには、45°、60°、75°の角をもつ三角形を描くのがおすすめ。

  • #科学道100冊/科学道クラシックス

    金沢大学附属図書館所在情報
    ▼▼▼▼▼
    https://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BA68198479?caller=xc-search"

  • ざっとしか読んでないが、問題を解くときの考え方のベースが書かれており、再認識できた。
    また機会があれば読み返したい。

  • 教員推薦図書2014

    科学の道100冊 2020

  • 請求記号 410.7/P 77

  • 科学道100冊 クラッシックス
    【所在】3F開架 
    【請求記号】410.7||PO
    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/138863

  • 1

  • 思索
    サイエンス
    これを読む

  • 105円購入2012-01-14

全143件中 71 - 80件を表示

G.ポリアの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×