- Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
- / ISBN・EAN: 9784652079591
作品紹介・あらすじ
「あわれな船乗りを助けてくれないか」嵐の夜、その男はやってきた。全身ずぶぬれで、まるでたったいま海からあがってきたみたいだ。「恩に着るよ…嵐がおさまるのを待つあいだ、物語を二つ三つ聞かせるというのはどうだ?ただ、おれの話は子どもには残酷すぎるかもしれないが…」。
感想・レビュー・書評
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船乗りの世界の怖い話ということで、前作より更に容赦ない話が多い印象。
特に怖かったのは「ピロスカ」「カタツムリ」「サル」。得体の知れない怪物もの、海ならではの恐ろしさですよねえ。
そしてこちらもめちゃ怖い「黒い船」から「トリカブト」への流れで、物語の幕が物悲しさと共に上質に閉じられ、とても良かった。モンタギューおじさん再登場も嬉しい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
荒れ狂う嵐の晩、兄妹は医者を呼びに行った父を待っていた。父が家を出て暫くすると、ずぶ濡れの船乗り、サッカレーが家の扉を叩いた。宿屋はとっくの昔に廃業していたが、嵐のなか訪ねてきた彼を入れぬわけにはいかず兄妹は招き入れた。 家の中に入れてもらったサッカレーはラム酒を舐めながら兄妹に船乗りの間で語られる世にも奇妙で恐ろしい話を話始める。 魔物の話、見たこともない恐ろしい生き物、呪われた鯨の歯などどの話も面白かった。特にお気に入りは泥の話。自業自得ではあるが自分がそんな目に遭ったらと思うと背筋が寒い。
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再読。何度読んでも本当に面白い!
もともと学校図書館の蔵書で、何気なく手にとってみたらイギリスの正統派ゴシックホラーといった感じ。挿入話も本筋もグロさはあるもののそれ以上にストーリー性が抜群で、一気読了でした。
海を見下ろす断崖絶壁の上に建つ一軒の宿屋。そこに住む兄妹の体調が急変し、大嵐の中、医者を呼びに行った父親の帰りを待っています。父の留守中に突然の怪しげな船乗りが訪れ、兄妹に船乗りの怖い話を次々と聞かせます。
船乗りの正体と、兄妹の運命は…ラストは何度読んでも衝撃で大好きです。
ジェファーソン『灯台守の話』以来、船乗りに関する海の怖い話が大好物に。ホジスン『夜の声』の再版を強く望みます☆
子ども達にすすめてもとても喜ばれるこのシリーズ、続いて『モンタギューおじさん…』を再読します♪ -
前作と違い船乗りの話ということで、パターンが似通うのではないかと思ったが、サイコホラー有り幽霊譚有り怪物の襲来有りとバラエティに富んでいました。
最後のオチの付け方ももの悲しさが漂い良かったです。 -
船乗りには怪談が付き物。
暴風雨を避けて陸に下りた船乗りサッカレーが怪談好きの宿屋の子供たちに物語る恐ろしい物語の数々。
前作に比べて生理的嫌悪感がパワーアップしています。
カタツムリとかもうぞわぞわして気持ち悪い気持ち悪い。
船という密室で繰り広げられる恐怖には逃げ場がないからより怖さが増して増して…!
表紙絵の子供たちの暗い目が物語っているとおりの結末が待っているのですが、悲しいけれど安らかな気持ちになれるのは作者の愛情のおかげでしょう。
サッカレーがもたらしたものは救いだった。
それが受け入れがたい現実だとしても、
知らない不幸より知ってしまった不幸のほうが人は安らげるはず。
おやすみなさい。もう怖い夢を見ないように。 -
船乗り、とか海賊、とか海洋冒険ロマン、とかのキィワードにたいへん弱いのであります。
こちらもとっても素敵でした。
ラストが…やるせないよねー。こうオトすのが定番だけど、ちょっとぐっときたなぁ。 -
シリーズ第2弾。
父が留守中の嵐の日に兄妹の元にやってきたサッカレーが聞かせる怖い話は海が舞台。
前作の『モンタギューおじさんの怖い話』よりも怖さが増しててゾクゾクゾクとしたけど、こういう話とても好き。
デヴィッド・ロバーツの挿絵がマッチしてて恐怖の世界観をひき立てている。 -
嵐の中、崖の上の宿屋で父親を待つ兄妹。そこに訪れた船乗りのサッカレーが、彼らに聴かせてくれる船にまつわるさまざまな怖い話。児童向けだけれどかなりぞくぞくさせられるホラーです。
船乗りの生活ってとかく怪談が生まれそうです。どれもこれも怖い……というより嫌です。物語としては魅力的なのだけれど、船乗りの生活はしたくないなあ、と切実に思いました。海ってわけのわからないものがいっぱいいそうっていうのもありますし。とにかくいろんな怖いものが出てきて、本当に嫌。
お気に入りは「サル」。船乗りたちを襲う謎の怪物を巡る物語。なのだけれど、このラストではとんでもなく驚かされてしまいました。しかもタイトルがこれだし。騙されたー! 怪物ホラーとしては「カタツムリ」もとんでもなく嫌だなあ。
そして「黒い船」の展開はまだ予想通りだったのだけれど、「トリカブト」でやられました。まさかそういうことだったとは。読み終えると、「嵐」を読み返したくなります。だけれどこの終わり方はちょっと素敵でほっとさせられました。