木を植えた男

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制作 : フレデリック バック  寺岡 襄 
  • あすなろ書房 (1989年12月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (47ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784751514313

木を植えた男の感想・レビュー・書評

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  • 普通の速度で音読しても30分以上はかかるため、お話会には到底不向きな一冊。
    でも大人はもちろんのこと、高学年以上の子にぜひおすすめしたい名作。
    ひとは、時にこんな奇跡のようなことをなしうるのだと、知ってもらいたい。

    ところで、再々・・・・読くらいだろうか。何度目の読了か、もう数え切れない。
    初めて読んだ時の感動はいまだに心に深くとどまり、更なる発見もあった。
    良い作品というのはそういうものかと、改めて思ったりする。
    最後のページのエルゼアール・ブフィエ氏(木を植えた男の名前ね)のいくつかの顔は、ダ・ヴィンチの素描にそっくりだし、そのひとつ前の杖を持ってたたずむ姿は、モーゼにそっくり(と言っても古い映画の記憶だが)だったりする。
    このエルゼアール・ブフィエ氏の存在が、すでに神格化しているのかもしれない。
    語り手である主人公は、ブフィエ氏ではなく、彼を見守る若い男。
    フランスのプロバンス地方の、山を分け入った険しい土地で展開していく。

    木を植える男は寡黙で、誰に頼まれたのでもなくたった独りで、荒涼とした土地にカシワのどんぐりを植え続ける。
    その数、10万個。そして、芽を出したのが2万個、という、空恐ろしい事業を続けている。
    その頃近くの村人は争いの中に生き、荒涼とした土地と同じく、荒れ果てた心を持っていたという。
    その後、若い男は第一次世界大戦に従軍し、心をすり減らして帰還。
    再び木を植える男のところへ行ってみると、なんと戦争も関係なく木を植え続けた結果、長さ11キロ、幅3キロにも及ぶ林が出来ていた。
    物語の挿絵は、この場面から瑞々しい緑色が付いていく。。。

    終盤に近づくと、涙でかすんで文字も見えにくくなる。
    色とりどりの花の咲く美しい山里に群れ集う人々。
    たったひとりの男の丹精込めた技でここまでになったと、誰が知るだろう?
    実話にもとづいた創作ではあっても、ここまで心に深く訴える作品は本当に珍しい。
    生きていることに虚しさをおぼえる日が来たら、どうかこの本を開いて欲しい。
    社会の中で、学校で、または家庭で、不平不満で胸がいっぱいになったら、まずは孤独の中に身を置いて、この一冊を読んでみて欲しい。
    きっと、ブフィエ氏の生き方に学ぶものがあるだろう、と思う。
    そして、すべてのひとがこのように「不屈の精神」と「たゆまない熱情」とを併せ持っていたら、この世はどんなにか素晴らしいだろうと思わずにいられない。

  • 世間から見捨てられたような荒れ地に木を植え続けたブフィエ氏の物語。
    家族を亡くした孤独の中、不毛の地に生命の種を蒔くことにささやかな喜びを見出した彼は、来る日も来る日も休むことなく種を植え、苗を育て続ける。たくさんの木を失うこともあったけれど、不屈の精神とたゆまない熱情であきらめることなく、土地の再生を成す。

    だけど、彼の行いを誰も知らない。

    威張ることも自慢することもなく。
    特定の誰かのためでもなく。
    ただ木を植え続けたブフィエ氏。
    積み重ねがゆっくりと、だけど確実に変化と再生をもたらす様に、自分の軟弱な心が刺激された。

    実在の人物を描いているかのような物語だった。
    あとがきのような著者紹介の欄に「自らの体験をもとに」書かれたとあるけれど、どこまで実際のお話なんだろう。

  • 妻が死んだ、
    子が死んだ、と

    俯き続ける人生では
    自分の足元以外
    何も目に入らないだろうが、
    くいっ、と視線を上げる事で、
    変わる視界が
    男の意識を大きく変えた。

    果てしなく続く荒れ野も
    変えよう、とすれば変わって行く。

    遠い未来を見据えているような
    男の静かな物思いが心に響く名作。

  •  この物語は確か映像になっていたと思います。フレデリック・パック
    の独特のタッチで描かれた絵は、荒れ野の風を描くとともに、ゆっくりと
    育っていく明るい森、確かな意思を秘めた男の姿を描いていきます。

    エルゼアール・ブフィエ
    人々の争う荒野に、ひとり黙々と木の種を捲き、森をを育ててきた男
    の物語。

    「人々のことを広く深く思いやる、優れた人格者の行いは、
    長い年月をかけて見定めて、初めてそれとしれるもの。
    名誉も報酬も求めない、まことに奥ゆかしいそのおこないは、
    いつか必ず、見るも確かな証を、地上にしるし、
    後の世の人々にあまねく恵みを施すもの」

    かくも潔く生きることはできるか。

  • 数ヶ月前のTVの特番で、映画「かぐや姫の物語」の高畑勲監督が、影響された映画としてこの作品を挙げて、フレデリック・バックさんに会いに行った映像が流れた
    余白の大切さを教えられたとのこと、高畑監督が会いに行ってから間もなくバックさんが亡くなったことを知り、気になったので、図書館で借りた

    フランス・プロヴァンス地方の山深い不毛な地域に、ひたすら、木を植えた男のおはなし
    1987年アカデミー賞短編映画賞を受賞した「木を植えた男」をもとに、絵本として新たに描き起こして構成した作品

    原作も絵も、こんなに美しい絵本をよんだのは、初めてだと思う
    荒れ果てた場所には、荒れ果てた心が宿ってしまうところを、孤独とたたかいながら、淡々と、黙々と、どんぐりや種を植えていくのは、どのような気持ちなのだろう
    強さは優しさだということが、改めて感じられる
    男の陰の努力と功績を知らない者が現れても、男は意に介さない
    実は私も、何かに支えられているのにそれに気づけておらず、大きな顔をしていたらどうしよう、と考えてしまったりもした
    植物にかぎらず、私たちも何かの種を植え続けていたら、すてきなことが訪れるだろう
    ただ、長くて言葉も難しめでおそろしい絵もあるので、小学校高学年以上におすすめしたい
    今度よみたいと思ったときには、買ってよもうと思う

  • 「木を植えた人」の絵本版。肉体を持って生まれた、私たちが表現出来うる、静かで穏やかな、しかしとてもパワフルな、愛の具現...心をとても揺さぶられます。
    奉仕、愛、理想、可能性...いろんなことを自らに深く問いかけてくる内容です。大人にも、強くお勧めします。

  • 心が弱った時、そっとこの絵本を開きます。
    静かに小さく声を出して読んでいると
    スーッと心が凪いであたたかい涙がほほを伝います。
    荒れ果てた不毛の地でたった一人、
    毎日ドングリを植え続けた農夫の
    不屈の精神に神を見る思いです。

    神の行いにも等しい、見返りを求めない孤独な作業と
    結果が出るまでの果てしなく続く長い道のり‥。
    実在の人物がいたということに
    私は頭(こうべ)を垂れるしかありません。
    自分はなんて心の狭い人間だったのか!と。

    フレデリック・バックの美しい描画に心が洗われ、
    同時に精神が潤うような優れた作品です。
    後世に残したい一冊。

  • 素晴らしい人間・仕事だと思う。


    ただ、孤独という点が。
    ここまでストイックになるのは現実には難しい。
    自分なら繋がりをつくって、いかしながらやりたい。

  • 仕事の結果そのものが、働くひとの報酬になるような仕事がこの世にはある。この農夫も、たとえばマザーテレサも、そういう仕事をした人なのかもしれないと思った。こういう仕事をするチャンスは、ぼくにもきっとあるのだと思う。

  • 世のため 人のため と 言葉では簡単に言えるが
    本当の意味で人や世の中の役に立つということは どういう
    ことなのか 深く考えさせられる一冊。

    どちかというと 子供向けでなく 大人向けのような気がします。
    (ある程度 大きい子なら 充分 読めますが)

    年齢関係なく、いろいろな人に読んで欲しい絵本です。

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