還らざる聖域

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.47
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本棚登録 : 91
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758413817

作品紹介・あらすじ

屋久島、陥落
202X年、内戦に揺れる北朝鮮の最強部隊・特殊作戦軍が世界遺産・屋久島に突如上陸した!
全島を武力制圧し、島民を人質に日本を脅迫する中、そのとき政府は、警察は、そして島民は――
空前のアクション超大作!――奇跡はまた起こるさ……ここは神の島だからな

感想・レビュー・書評

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  • 北朝鮮に内乱が起き軍が二つに割れ反乱軍に占拠される。キム・ジョンウンは対外的には行方不明だが、実際は身柄を押さえられているらしい。親ジョンウン側のヨンギル将軍は朝鮮人民軍を率いて屋久島を占拠。日本政府に対しキム・ジョンウン総書記の解放と亡命を要求、聞き入れられない場合は、島に持ち込んだ核爆弾を爆発させるという。これは単なるテロにとどまらず新たな世界大戦の引き金になりかねない。日本政府が自衛隊を出動できない理由は核爆弾の持ち込みだけではなかった・・・。
    屋久島島民らで結成されたレジスタンス、山嶺を駆け巡る山岳救助隊員・高津夕季や山岳ガイド・狩野哲也らが止めようと生き残りを賭ける。登山を趣味の私だが、安穏と屋久島の山に浸っているゆとりはなかった。
    読み終えて、エンタメと鼻であしらえずに背筋がぞくっとさせられる。
    首相官邸で堀井首相が胸の裡を吐露する件だ。
    『それにしても徹頭徹尾、自分たちは蚊帳の外だった。堀井にとって心外ではあるが、一方で仕方がないことだとも思っている。”裸の王様”と揶揄されるほど、見てくればかりの構築に腐心し続けて来た結果、今の日本政府は世界中のどの国からも信用されていない。かつて不沈空母と自国を喧伝しアメリカの軍事力におもねろうとした首相もいたが、その頃からアメリカという大国にとって、日本は田んぼの端に立つカカシのようなものだった。友好友好といいながらも、その実、子供の頭を撫でるように密かに冷笑されていただけのことだ。それをわかっていて堀井もまやかしの親米路線を継承して来たのである』
    そのまま鵜呑みにするわけではないが、リアリティがあり過ぎる! 北朝鮮美貌の女兵士ハン・ユリ大佐との邂逅が屋久島の奇跡を呼んだのだろう。それにしてもタイトルの『還らざる聖域』とは? 屋久島はもはや聖域ではなくなったということなのだろうか。

  • 屋久島の海岸に突如現れた謎の部隊。次々と島民を銃殺していく。警察署も爆破し、通信も途絶えた。政府に要求した内容とは?島民たちは、自分の島を守るため、敵に挑もうとする。


    スリリングな展開で、アクションあり、人と人との団結力あり、たまに恋愛ありと面白かったです。

    島民や政府、自衛隊、犯人など様々な人物の視点から、相手に戦いを挑んでいきます。登場人物が多くいるので、覚えるのは大変でしたが、それぞれ場面では、「静」から「動」まで、あらゆる雰囲気を味わえるので、そんなに苦ではありませんでした。

    舞台となるのは屋久島。屋久島の自然や魅力が紹介されていますが、個人的に行ったことがないので、名称や位置関係といったものがあまりわからなかったです。地図があっても良かったかなと思いました。

    単に敵に挑むだけでなく、その裏側で動く内通者や裏切り者の登場で歯車が狂うかのように変化していくので、最後まで見応えがありました。

    ずっとアクションしているだけでなく、人との交流といった温かみ、恋の始まりといった「息抜き」的な要素もあって、緩急のある作品でした。

    一見、内容が突飛しているかなと思いましたが、読んでいくほど、現実的な問題や政府の対応、外交問題などリアルさが増してきて、ここまで大胆ではありませんが「現実に起きるのでは・・・?」とも思ってしまいました。

    武装制圧する敵の集団、生き残りをかけて挑む島民たちなど色んな人達が交差する物語で、息もつかせぬ展開で色んな「奇跡」を目撃しました。

  • スリルがあり、ラブストーリーもあり、そして行ってみたい屋久島。分厚い本でもあっという間に本の世界に入り込んでいた。
    朝鮮の金正恩総書記が拉致され、政権がひっくり返り反乱が起きるが金正恩の解放を日本を巻き添えにして求めるが金正恩についた理由もいい人発言で違和感があったが日本人に心を打たれる場面も引っかかりがありはしたがそれ以上に引き込まれる書き方でさすがとしかいいようがない。
    ラストは悲しく、哲也と結ばれてほしかった。。。

  • 最初から最後までハラハラドキドキして
    面白かった!

    場所とその場にいる登場人物が、
    時系列で語られていくのでわかりやすく、
    物語の中に入っていきやすい。

    ***ネタバレ***
    ハン・ユリの最期はなんとなく想像できたけど、
    それでも涙がでてきた。

  • 屋久島、陥落 202X年、内戦に揺れる北朝鮮の最強部隊・特殊作戦軍が世界遺産・屋久島に突如上陸した! 全島を武力制圧し、島民を人質に日本を脅迫する中、そのとき政府は、警察は、そして島民は―― 空前のアクション超大作!

    屋久島ダイ・ハード。日本政府の弱腰ぶりに唖然。著者の新たな代表作になったと思う。

  • 一気読みだね。
    話しの展開がお上手です。
    このシリーズ楽しみやし、頑張って書いてね。

  • 2022.10 テロものはあんまり読まないがたまたま手に取った本。よくある小説と言ってしまえばそれまでだが、上手い小説でした。

  • 400ページあるが、一気に読めてしまう。
    舞台が屋久島とりわけ屋久島の奥岳周辺なので、行ったことがある或いはこれから行く計画立てている人にとっては臨場感があるのではないだろうか。
    自分はこれから屋久島で宮之浦岳縦走や下界でのアクティビティを計画していたので、手元の地図と見比べてわくわくしながら読めた。
    書籍に地図がついていないのは少し残念。
    わくわくしながら読めたと書きつつ、個人的には面白く感じたピークは主役とヒロインが遭遇するまでだったように思う。
    自分が好きな他の作家と比べて登場人物の心理やなぜその人物がその行動を取るに至ったか等描写があまりされておらず「うん、物語だよねフィクションだよね」と思うような薄さを感じてしまった。

    感想が変わるかもしれないので、気が向いたら再読したい。
    また『屋久島トワイライト』の方も読みたいとは思う。

  • なかなかタイムリーな作品。
    海外侵略はいいがかりレベルの理由でもできちゃうことが明白となった昨今、日本も他人事ではない、どころか次のターゲットでもおかしくないということを突き付ける一作。

  • 23ちょうど今ロシアが他国を侵略し無辜の市民がたくさん虐殺されている。国を守る市民を守るとはどういうことか?平和ボケの頭では解決法が見当たらない。専守防衛で世界平和を勝ち取るためには、やっぱり団結と対話じゃないかなあ。

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著者プロフィール

1960年山口県生まれ。明治学院大学卒業。雑誌記者を経て、87年に小説家デビュー。2008年『約束の地』で、第27回日本冒険小説協会大賞、第12回大藪春彦賞をダブル受賞。2013年刊行には『ミッドナイト・ラン!』で第2回エキナカ大賞を受賞。山岳救助犬の活躍を描く「南アルプス山岳救助隊K-9」シリーズの他、『狼は瞑らない』『光の山脈』『酔いどれ犬』『還らざる聖地』、エッセイ『北岳山小屋物語』『田舎暮らし毒本』などの著作がある。有害鳥獣対策犬ハンドラー資格取得。山梨県自然監視員。

「2022年 『南アルプス山岳救助隊K-9 それぞれの山』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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