堕落論 (280円文庫)

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  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758435451

感想・レビュー・書評

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  • 戦後の日本人、特に困っている日本人に送られた本。

    人が判断(それに伴う責任)を嫌うということを的確に指摘し、その上で戦後の自由を苦しみ堕落しながら生き抜けと力強く語りかける。

    また、リズムの良い文体が読んでいて心地良い。

  • 太宰にはまった人なら、ほとんど出会う本。

    無謀な精神主義を批判し、落ち切れない人間の弱さを喝破した。

    歳を取ると、かつて影響を受けた本ももはや再読することがなくなる現状は、あまりにも寂しい。

  • テンポの良い文章、言葉の選び方が尖っていて良いです。
    時々、ぐさりと正面から突き刺されるようなこともあるけれどそれすら快く思えるのって凄い。

    青春論で宮本武蔵のこき下ろされっぷりには吃驚しましたが恋愛論の深さには唸った…。

    何と言うか…凄い本。
    ネットで本を買う時に送料無料にするために値段で買った本でしたがかなり良い買い物をした気がします。

  • 時々こういう圧倒的に素晴らしい本に出会えるから読書はやめられん。

  • 坂口安吾「堕落論」、エッジ立ってて面白い。宮本武蔵は凡人凡才論、五輪書は駄作論、青春とは何ぞや論…などなど。
    志賀直哉、小林秀雄などなど、同稼業の作家たちをこれでもかってくらいこき下ろす文学論も面白かった。

  • 戦後、「堕落論」に勇気づけられた経験を語る瀬戸内寂聴の記事を読んで興味を持ち、初めての安吾読破。個人的には「続・堕落論」が好き。大義名分をもとに、自分の都合のいいように解釈してることって多いなぁと身につまされる思いがした。そして大義名分、義理人情には真実とは何たるやをうやむやにさせる一面もあることに気付かされた。脆弱な存在である人間。しかしそんな人間に対する厳しくも優しい目で見つめる安吾の愛を感じた。

  • 人間という生物の滑稽さ、欲望、そして敗北。歴史上幾度となく繰り返されてきたはずなのに、なぜこうも人間の心は変わらないままなのか。欲望に流され、自分の威信のために他人を利用し蹴落とす。それは、天皇制という一つの象徴こそが、日本人的な陰湿さや、いい加減さを露呈する巨大なシステムだということを、一つに言い表しているようでならない。自分さえよければ他人のことなどどうでもいい。現代の日本人の気質の一面が、こうして、昭和初期に書かれていたことに、驚きと落胆を覚えた。

  • 安吾節、とでもいうのか、わはは、と笑いたくなる切れ味。Twitterのような親近感は悪く言えば安っぽさかもしれないけど、面白いんだから良いじゃない。

  • 歯切れが良い文章で、ポンポン読めるけれども、内容は難解。
    敗戦後に書かれた文章。私が生きてきた30年間の空気と、違う何かを感じた。

    人間とは?堕落とは?社会制度とは、何か?
    そんな問いをもらった。

  • 続堕落論が個人的に好きです。堕落論よりわかりやすい。編者風に言えば音楽的なのかな。堕落論は最初がかなりとっつきにくい感じがしました。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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