- Amazon.co.jp ・本 (125ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758435451
感想・レビュー・書評
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視点の鋭さ。
共感できるものというよりも、納得できるものが多かった気がする。
戦後の日本人の価値観が逆説的に理解できていく?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
無頼派の一人である坂口安吾によるエッセイ。のらりくらりとかわすような文体で、天皇制や武士道を自由自在に斬りまくる。本書は敗戦直後の人々に衝撃を与え、当時の若者から絶大な人気を得た。それは、堕ちるところまで堕ちながらも生きることを志向する氏の文学が当事の人々に生きる希望を与えたからだろう。
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戦後日本の歴史には、少なくとも二度にわたる「自爆」があった
自爆というのはつまり、それが輝かしい未来につながる事業であると
信じて邁進した道が、実はそのまま地獄への一本道だったという話である
おそらくは三度目の自爆も避けられまい
そうなる前に、生きることは堕ちることであるという言葉の意味を考えなおしたほうが… -
青春論
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この本はもう少し若いころに読んだ方が感じるものが多そう。
宮本武蔵のことを書いている部分がおもしろい。
宮本武蔵は特に興味もないから、あまり逸話とかも知らないのだけど、
よく取り上げられる「五輪書」を
「深遠を衒って俗に堕し、ボンクラの本性を暴露しているにすぎない」と言い切るあたりがすごい。
そういう武蔵の見方もあるんだ。
戦後という価値観の転換期に、
新たな価値観から戦前、戦中への回帰をもとめる揺り戻し、そのような揺れ動いている社会的な背景の中で、自らの信念に基づいて発せられたメッセージの力強さは今でも力を持ち続けている。 -
一度読むのを挫折した坂口安吾。今回は最後まで読めた。
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値段も安くて時間もあったから、買って読んだ。心は青臭くていいから、若いままにいたいということなのか。
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(2016年2月25日)
5年ぶりに再読。今回は、前回よりかなりストンと落ちてきました。
安吾のメッセージは、生きよ、カッコつけずに生きよ、今を生き抜け、負けるな。そして、つまんない社会のシステムになんか妥協するな、ということなんだな、と響きました。
一緒に収録されている「青春論」では、宮本武蔵の、何としてでも相手に勝って生き延びるという生き方にかなりのページを割いていますが、これこそ、彼の堕落論的な生き方なんでしょうね。
(2011年5月8日)
気になってたけど読んでなかった作品。
堕落論、続堕落論、青春論、恋愛論の4作。共通するのは、カッコつけずに、今の生活と向き合って全力でカッコ悪く生き抜け!というメッセージ。熱いね! -
〈人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な近道はない〉と綴った「堕落論」により、戦後の日本人の価値観を変え、また勇気を与え、圧倒的な支持を得た坂口安吾。無頼と反逆に充ちた言葉の多くは、戦後の日本人への新しい指針を示し、一大センセーショナルを起こした。その魅力を堪能出来る「堕落論」を始め、「続堕落論」「青春論」「恋愛論」の随筆を四作品収録。
「堕落論」ほんと分かるような分からないような。思考の過程を綴っている、というのは納得。