パンとスープとネコ日和 (ハルキ文庫 む 2-4)

著者 :
  • 角川春樹事務所
3.64
  • (161)
  • (355)
  • (380)
  • (53)
  • (8)
本棚登録 : 4073
感想 : 337
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758437622

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 唯一の身内である母を亡くしたアキコが、
    母の食堂を改装し、自分のお店を再オープンした。
    スタッフのしまちゃん、ネコのたろちゃん、
    料理学校時代の恩師、食べにきてくれるお客さん達との日常を淡々と描いている小説です。

    淡々と描いていますが、
    どのシーンも淡く温かい雰囲気が漂っています。
    アキコは意識してないのかもしれないけれど、
    日々のちょっとした出来事に、微笑んで丁寧な暮らしをしているのが感じ取れました。

    最後まで温かい気持ちで読んでいられた本です。
    自分の生活も丁寧に生きていきたいな。

  • 8月に最新刊出たので、また読み直す。忘れかけた場面も思い出すとほろっと来る。人間不信の仕事場を辞めるのは本当に葛藤だと思うし、お母さんの欲望で家を買いお父さんが働かされて、体裁だけで生きるって、家を出るとか辛かったろう、実際れんげ荘の生活大変で、よく笑うしかない境地に出来たのかな、それも人間性だ。帰り道お母さんとすれ違う無視されたとか、薄い人間のお母さんだな、何度もこれで良いのか考えて吹っ切れて、その繰り返しで。それだけで尊敬する、8桁の預金なんか充分働いた証拠だよ、下北沢も素敵だ

  • 定期的にやってくる群さんの本が読みたい病。そんなわけで、積読になってた本作品を手を取りました。
    やっぱり読みやすい。そして女性の視点がすごく伝わるんよなぁ。慎み深く、周囲を意識して内省する姿。美しい。
    声の大きい人が強い世界(現実)から少し離れて、群さんの書く世界観に浸っていたい。
    ネタバレになるのですが、後半ネコちゃんの死の話で辛くて読み進められなくなりそうやったんですが、最後まで読んでよかったと思えるラストでした。

  • ドラマが良かったので原作を読んでみた。ドラマは始終靄がかかったような、毒もなくほんわかしたムードだったけど、原作は接する人達のちょっとしたお節介や嫌味が生々しくリアル。後読みだったけど、原作のほうが面白かった。

    お母さんの存在が、とても大きい。反発してお母さんとは違うやり方を貫くが、不安にななったりまよったり…そういう面のやはりリアル。

    ネコの存在も大きい。アキコは飼い猫が死ぬとペットロスになってしまう。お母さんの死に接しても涙を流さなかったのに、ネコに対しては、これでもか!と涙が絶えない。

    思うに、ネコはお母さんの身代りなんじゃないだろうか。お母さんと一緒に暮らしながらも、仲良く睦む事が出来なかった。代わりにネコと睦まじく暮らす事ができた。お母さんの死に際に泣く事も出来なかった。代わりにネコが死ぬ事で思い切り泣いてわだかまりを浄化させる事が出来た。そんな気がする。

  • 唯一の身内である母を突然亡くしたアキコは、永年勤めていた出版社を辞め、母親がやっていた食堂を改装し、再オープンさせた。
    メニューは日替わりのサンドウィッチとスープ、サラダ、フルーツのみ。
    母の時代の常連客に文句を言われながらも、猫のタロを愛で、アルバイトのしまちゃんと働く日々。
    謎の縁で知らされる母親の過去、自分の出生。

    タロちゃんが急に亡くなってしまったときはとても悲しかったです。
    アキコの食堂はとても雰囲気がよく、行ってみたいなぁと思いました。
    ときどきアキコが自分の仕事やり方は傲慢なのではないか?と立ち止まることがあり、
    長くお店を続けるというのは難しいなぁと改めて感じました。
    自分本位にならず、それでいて信念は曲げないというアキコの仕事の仕方に尊敬です。

    アキコの朝食風景を丁寧に描いている場面があり、とてもおいしそうでした…!

    ほのぼのとした雰囲気ではあるのですが、そこそこ現実的なことが描かれている作品です。
    アキコとタロとのやりとりはエッセイ『おかめな2人』を読んでいるようでした。

  • 群ようこはすごく若い頃から大好きな作家さん。読みながら「そうそうそうそう!」とうなずき、笑い転げていました。
    今回もドラマは見ていませんが「かもめ食堂」みたいな感じのお店の扉を開く感じで読み始めました。
    やや出生に秘密(?)のあるアキコが亡くなった母の店を自分好みの店にして始める・・・。彼女の家族は猫のたろちゃん。
    アキコの心境が前の喫茶店のおばさん、母親時代のお店の常連客、そして現在のお店のお客さん、と、一緒に対応するしまちゃんを通して細かく描かれているなぁ…と、実はこれはメインではない。
    たろちゃんの死によってもたらされる、孤独、そして誰かに甘えたい、救われたいと望んだ時に現れる人達。
    一番救われたのは「動物は人間と違って生死を重要に考えて無いらしい」だから「泣かれると困ってしまう」。
    きっと人間だってそう。死んだ人にとって体が無くなってしまったことはそんなに重要なことではないのでは・・・。
    あー、きっとそう。そう思えました。

  • アキコさんとしまちゃんのやり取りがほのぼのしていて癒されました。嫌な一言、悲しい場面があっても、日常の楽しさ優しさを大事に拾っていけることに気付けた一冊でした。ネコ好きではないのにキジトラのたろがすごく可愛かった〜

    続編の婚約迷走中から読んでしまったのですが、これは順番に読むべきでした。しまちゃんの印象が全然違った!

    「動物は人間と違って生死を重要に考えていないらしい。だから必要以上に悲しんだり、飼い主が自分自身を責めたりすると困ってしまう。楽しかったことだけ思い出して、ありがとうと言えばいい。」「泣きたくなったら泣いたほうがいい。体から出たがってるなら出さないと良くない」アキコさんに、そう言ってくれる人がいてホッとした。

  • とてものんびりとしたお話。食にこだわりを持ち、その力で人を癒すっていいなぁ。

  • あー!わたしこの話好きだなあ!!!

    ハッピーエンドじゃないかもしれない。だけど、これからも続いていく日常が、きっと小さな幸せに溢れているような予感を感じさせてくれる。

    わたしもアキコまでとはいかないかもしれないけれど、どこか似た節がある分、あぁわかるわかる、なんか損してるのかなあとか考えちゃうよね、って共感できた。

  • ドラマを先に見たのでドラマのイメージ

全337件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1954年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒。数回の転職を経て、78年、本の雑誌社に入社。デビュー作『午前零時の玄米パン』が評判となって、作家専業に。「無印物語」で人気を博す。『かもめ食堂』『れんげ荘』『三人暮らし』など著書多数。

「2023年 『老いとお金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

群ようこの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×