あきない世傳 金と銀(六) 本流篇 (ハルキ文庫 た 19-21 時代小説文庫)

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  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442336

感想・レビュー・書評

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  • あまりに呆気ない、智蔵との別れ。
    病気らしい、これはただでは済まない…とは覚悟していたものの、その時の描写さえも少なく…

    父、兄、夫、そして実母、義母の富久と、次々と身近な人の死を経て、さらに身ごもった我が子を失い、初めて愛情を持って連れ添った伴侶を失い…
    多くの思いがけないご縁を引き寄せ、つかみ取ってきた幸だけれど、失ってきたものもあまりに多くて、ここまでくるとこの先どんなに五鈴屋が成功したとしても、ひとりの人として、本当の幸せはあるのかと思うほど。

    けれどその全ての喪失感を抱えてなお「笑って勝ちに行く」幸の気概!ただただ、拳を握りしめて応援するしかない。

    また、今作からお竹さんの活躍がめざましい。しっかり者の女中から、幸の右腕に大躍進。着物の着こなし、帯の合わせ方など、女中時代にはちらりとしか見せなかった才能を、大きく広げて見せてくれた。

    うーん、この物語は、幸が様々な男中心のしきたりをはねのけて商売人として戦う物語、女が『女の仕事』『女の幸せ』にとどまらない才能を発揮していく物語だったんだ。

    五鈴屋の成功がなければ物語にならないけれど、やっぱり幸にも、あきない以外に、もっと幸せをお願いします…

  • このシリーズは、実はこの巻が初読みでしたが、ところどころ以前の説明もありわりとすんなり読めました。幸の奮闘に、目が離せません。次巻がでたら、是非読みたいです。

  • 幸の商売に対する心構えが美しい。金儲けのためではない商う事の意義をしっかりと持っている。大坂の店が上手く行っているのに、江戸に店を出そうとするっその心意気に見とれてしまう。宣伝も店内の展示にも新しい方法を考えて、さてお店は繁盛するのだろうか

  • いやあ やっと幸せな感じで話しが終わりました。
    着物の色 帯の柄 結び方
    目に浮かぶようです。
    うちの近くに この江戸店みたいなお店があったら
    入って隅々までみたいもんですね。
    まあ 素敵!
    を連発しながら見ることになりそうです。
    手拭いを神社やお寺に寄贈する話し
    その手拭いも 私好きです。
    やっと幸が 気のおける仲間と 伸び伸びとご商売が始められて ほんとよかったです。
    次号が楽しみです。

  • 思いっきりネタバレあります。

    ーー
    5巻おわり、、えぇ〜?!と呼吸が止まる思いで、慌てて6巻 本流篇へ。
    静かな幕開け、、ちょっと待って!!え、嘘、ヤダ、マジで?!
    …智蔵ぉおお、あまりにも早すぎるよ。やっと幸が恋慕う気持ちに触れることができたのに。

    智蔵の急逝になにもかも追いつかない…読み手の気持ちも立ち止まったまま。
    大坂では女が店や家を継ぐことは禁止されていて、、どうやって富久との約束を守るのか…
    天満組呉服仲間になんとか女名前での引き継ぎの了承を得たけれど、、わずか二年。

    なんと!
    この二年の間に、幸は江戸への出店をやってのける!!
    焦らず身の丈に合った場で。白雲屋さんも伊勢の出。きっとこの出会いも今後を期待させる。
    いっしょに江戸へ向かった人選がお竹どんなのにも首肯する。この時代、今以上に女が前に出るのを良しと思わぬ輩が多かっただろうに、この歳になってのお竹どんの活躍を我が事のように喜んでしまう。

    今回の名披露目は地味ぃに思われたが、やはり五つの鈴は可愛い!
    この謎こそ江戸っ子を囃し立てるのにもってこい!
    5つの鈴アイテム、私もほしいよ〜。
     
    『あきない世伝』の巻末は不穏な空気が流れていることがおおかったけれど、今回は帆を張って追い風のなか出航する姿を連想させた。

    子どもにはハレの着物を着せたい!
    いつの時代にも変わらない親の思いに涙する、、
    良い店だなぁ〜、これからの繁栄を予感させる。

  • 智蔵の急死。大坂では女性が店主になれない決まりを3年の限定でOKしてもらう。江戸でいい買い物があって店購入。幸もそちらに移る。着物を立てかける支えを考案作る。宣伝は名前入りの手ぬぐいをお寺にに奉納する。14日にオープンを迎える。

    オープンの様子の押しが一歩あがって文章のうまいこと。

  • 7代目となった幸、江戸への進出と活躍とともに、8代目を誰にするか心配。

  • いよいよ!
    ここでも頑張る幸を応援しない訳にはいかない!
    いつも前を見ている。強くて優しくて賢くて。
    あきない世傳に夢中です。

  • この本の全編を通して気付くのが、鳥の声。いくつもの種類の鳥の声が高田節で書かれているのが面白い。なかなか本物の鳥の声を聞くことは叶わぬまでも雰囲気が伝わる。
    さて、この6巻では商いだけではなくあらゆる物事に対して、大きく、そして小さく観る必要がある。みさごの説明が書かれており上手く表現したものだなぁと毎巻ごとに感心する。月日は巻を追うごとに早くなり、幸ももう三十路前。ようやく江戸への進出を果たしその開店当日の描写が良い。もう高田ワールド全開なのである。思わずウルッときてしまった。
    気がつけば、今月8巻が出ると言うことで、まだ7巻を読んでなかったけどもう終わりかと思っていた矢先の新刊のニュースにホッとすると同時に、またトラブルか?と期待する自分がいる。

  •  次々といろいろなことが起きて六巻目。前作のラストが気になっていたが、想像通りの展開。こういう形にしないとなかなか次への展開がやりにくいこともあるのかもしれないが、幸には厳しい。
     本作は、江戸店の準備をメインに描かれている。そこで見せる様々な工夫が秀逸。ごたごた話よりも、こういうビジネス本道の話が中心である方が、読んでいて楽しい。七巻目が楽しみ。

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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