今日のハチミツ、あしたの私 (ハルキ文庫 て 2-1)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442404

感想・レビュー・書評

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  • 表紙が美味しそうに見えて書店で手に取りました。「明日なんて来なければいい」と思っていた中学生の頃碧は見知らぬ女性から小さな蜂蜜の瓶を貰い、それから16年後のお話です。

    安西の父親に「能無し」と言われても撤回するために頑張る碧は強く、優しい毒舌なんとなくスッキリさせてくれる人だなと思いました。安西家に少しなんとも言えない気持ちになりましたが……あざみさんや黒江さんは良い方だなと思いました。

    心暖まる本でした、蜂蜜の料理が出てくる度に蜂蜜料理を食べたくなりました♪
    蜂蜜を通じて新しい人生の扉を開く碧、また
    そのうち再読したい本でした(^-^)
    宮下奈都さんの解説も良かったです!

  • タイトルから、女性の成長ものかな?はちみつがどう関わってくるのか気になって手に取った。

    碧が自暴自棄になっている時、麻子さんのはっきりとした物言いが印象的だった。
    「蜂蜜をもうひと匙足せば明日は今日より良くなるから」
    ひと匙は蜜蜂の一生。
    敵から女王蜂を守るために捨て身で針を向け
    スズメバチは集団で殺しにかかるそんな蜜蜂の一生が詰まっているのだから、明日は今日より良くならないと変だし報われない気がする。
    蜜蜂は報われるとかそんなの気にせず生きているけれど。

    麻子さんと碧のやりとりは冒頭と終盤の一部のみで
    もっと碧と麻子さんのやりとりがあれば麻子により感情移入できたなと思った。
    けれど、碧や麻子、黒江、安西父も同様に一番身近な人だからこそ言うべきことが言えない不器用なところが共通していて人間らしい。
    その分言葉で伝える勇気が尊く映えていた。
    安西のカッコ悪さや不安、プライドの高さは
    全部は否定出来なくてわかるからこそ読んでいて少し苦しくなった。

    さりげない一言が人を救うけれどいつまでもスーパーヒーローではいられないし違う面ではダサくてカッコ悪いのかもしれない。
    人って面白いなと思う。
    この小説の中では蜜蜂が一番立派かも。

    碧の適応能力は才能だなと思うけれど、碧も手探りで現実と向き合い悩んでいる。不安や自分の未熟さを感じていてもその環境に必死に食らいついていくしかない。小さいけれど確実な一歩が重なり自分だけでなく周りにも作用していく物語が読んでいて心地良かった。

  • 温かいお話で、ハチミツだけでなく
    ミツバチや養蜂の知見も得られる
    蜂蜜好きにはたまらない作品でした。

    蜂蜜を使った料理が沢山出てきて蜂蜜欲が増しました。
    鮭の蜂蜜醤油漬け食べたいなあ。

    ――居場所は見つけるもの

    「住めば都」みたいな順応的な話ではなく
    「自分の居場所は自分で作ることができる」と
    感じさせてくれました。

  • ひとつの小さいきっかけで明日を向くことができるし、解決できてない問題があっても今を悲観する理由にはならない。いま自分が立っている場所で、自分の居場所を作る、作っていくお話だと感じました。料理に蜂蜜入れてみようかな。

  • 主人公とぶっきらぼうな黒江さんのやり取りが、好きでした。黒江さんは、表現が下手なだけで良い人だなーっていうのがすごく伝わってくる。
    黒江さんが本当に蜂を大事にし、愛しているのが分かっていたから、巣と蜂を滅茶苦茶にした人に腹が立ったし、心が痛かった。私も三吉さんと同じく、また絶対続けてほしいと思った。
    主人公のおかげで、黒江さんの蜂蜜の良さが色んな人に伝わって良かった!そして新しい土地で、碧がどんどん成長していく姿も良かった。
    それにしても安西よ、もう少し大人になったらどうかねと思うところがたくさんあった。今後の安西さんの成長に期待したい。
    初めてこの作者の本を読んだが、文章の表現がすごく素敵でした。違う作品も読んでみたいと思いました。

    「蜂蜜をもうひと匙足せば?たぶんあなたの明日は今日より良くなるから」
    「食べものが身体をつくるのはあたりまえだけど、それだけじゃなくて。誰かと一緒にごはん食べて楽しかったとかおいしかったとか、そういう記憶ってずっと残るもん。なくならないよ。記憶が残るなら、それはごはんも残ってるってことだよ。」

  • 読み始めてしばらくは面白くないなぁ、、しんどい事ばっかりだし読むのやめようかなと思ったけど読んでよかった。

    物語の主人公ってかんじのキラキラした眩さはなかったけど、地に足ついて生活しながらも自分が持ってる強さで生きてく感じがグッときた。
    恋愛がうまくいくのがすべてじゃないなぁ、美味しいご飯食べて好きなことして生きていく人生も悪くないなぁと思えた一冊。
    明日の朝ごはんははちみつをかけたトーストにしよう。

  • 初めましての、寺地はるなさん。
    かわいい装丁に惹かれました✨

    家業を手伝うことになった恋人と一緒に
    その故郷へやってきた主人公の碧。
    新しい土地で、新しく出逢う人々たちの中で
    自分の居場所をつくっていく。

    うまく表現できないけど、
    この物語が醸し出す雰囲気がとっても好きです。
    結構シビアなことがいくつか起きるのに、
    登場人物たちにも、エピソードにもほんのりと暖かさが漂っている感じ。

    碧はいわゆるたくましくて強い女性!
    という感じではないけれど、
    着実にじっくりと、誠実に自分の人生を前に進めていく。
    彼女の周囲との向き合い方も好きだと思ったし、
    その姿に、読んでいて元気をもらいました(^^)

    養蜂についての知識もおもしろい!
    ハチミツに興味がわきました(๑´ڡ`๑)

  • 表紙がかわいかったので気になり借りてみた。
    寺地はるなさんのことはよく知らなかったのだけど、最近人気の作家さんなのかな?
    自分はちょっと文章が読みにくく感じた。
    伏線があって、最後はいろいろ繋がる感じになってた。

    現実味はあんまりないかな・・
    ちょこちょこ共感できる気持ちの部分もあったけど、まず碧のパートナーである安西っていう男の人が好きになれないし、碧はなんでこんな人のこと好きなん?って思ってしまう。そこでお話の中に入りきれない。安西の描く絵が好きなだけで、結婚に反対する安西の父(この人も性格良くない感じ)のために黒江にお金を徴収しに行くとか・・・ 碧のそこまでする熱意が自分にはとても理解できなかった。
    安西なんてサッサと捨てて、自立している碧には幸せになって欲しいな、そんな気持ちで読んでいた。

    なので寺地さんという小説家さんの別のお話を読んでみたい、みたいな気持ちにはならなかったな・・
    なんでこんな人気なんやろ。

  • 寝る前に一気読み!

    読んでる時は泣かなかったけど、読み終わった今物語思い出して泣きそうな気持ちになる…。

    最近バイトがしんどくてモヤモヤして鬱気味だったけど、蜂蜜に出会った碧の姿から勇気がもらえて、とても元気がでた!

    ハチミツ大好きになった!!

  • 宮下奈都さんの解説にある
    「居場所の話」
    という表現がしっくりくる。

    主人公の碧自身も、
    「自分の居場所があらかじめ用意されてる人なんていないから。」
    と言っているように。
    人は、生きなきゃいけないし、環境の変化に順応していかないといけない。

    碧は、今までいた場所で、新しい場所で、
    着々と居場所を作っている。
    気持ちの良い距離感でいつも碧を支える真百合。
    スナックあざみで出会う人々。
    そして、黒江。

    ここ最近生活環境がガラッと変わった私としては、
    あざみさんの発する言葉に妙に納得してしまう。
    はやく大人になりたいという朝花に発した
    「でも、大人になったら全部自分の思い通りになるわけでもないのよ、」(p168)という言葉とか。

    あざみさんの過去が結局何も明かされていないのもいいな。
    それをむやみに詮索しない碧もいい。
    碧の人との距離感が、私としては心地よいのかな。

    いずれにせよ、毎日生きていく、
    ホップステップジャンプな前進ではないけれど、
    少しずつ着実に。
    それが心地よく、すとんと入ってくる作品でした。

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著者プロフィール

1977年佐賀県生まれ。大阪府在住。2014年『ビオレタ』で第4回ポプラ社小説新人賞を受賞しデビュー。他の著書に『わたしの良い子』、『大人は泣かないと思っていた』、『正しい愛と理想の息子』、『夜が暗いとはかぎらない』、『架空の犬と嘘をつく猫』などがある。

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