ルポ アフリカに進出する日本の新宗教

著者 :
  • 花伝社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763407849

作品紹介・あらすじ

アフリカに新宗教!?
――なぜアフリカで、これほど日本の新宗教が受け入れられるのか?

幸福の科学、統一教会、真如苑、崇教真光、ラエリアン・ムーヴメント、そして創価学会
これら新宗教を受け入れ、信仰するアフリカの人々の姿に迫る


遠い異国のアフリカ人が
一体どうして日本の新宗教を真理として受け入れ
純粋に信仰するのか

誰も書かなかった・誰も書けなかったアフリカ新宗教ルポ

感想・レビュー・書評

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  • ルポルタージュということで、学術的/専門的な話というわけではないので、サクサクと読める。
    日本で暮らす自分にとっては「新興宗教」であるものも、アフリカで暮らす人々からしたらもっとまっさらな「宗教」なんだなあというのが印象的(特に創価学会に関する部分を読んでいるとそう感じさせられる)。
    また宗教に対する態度の違いもとても面白い。
    あらゆる背景が全く異なっているのだから、そこに違いが出るのは当然なのだけれど、それでもやはり新鮮である。

  • 西アフリカのブルキナファソに駐在していた著者が「創価学会、幸福の科学、真如苑、宗教真光などの新宗教が、アフリカでどのように信仰されているのか」を追ったルポ。

    ・「宗教年鑑」によると各宗教法人の教師数は約69万人
    ・全国の小中学校の教員数が約67万人なので、それよりも多い

    へええ。住職や神主さんも含んだ数字とはいえ、ここにまず驚いた。

    世界各国に旅行ができるようになり、インターネットで情報が入手できるようになった今、物理的にも情報量的にもいちばん遠い大陸であるアフリカ。そんなアフリカに草の根的なところから新宗教が広がり、それも各国によってかなり毛色が違うところが興味深かった。他の宗教を否定しないから、アニミズムと親和性が高いからという論は説得力があった。

  • ブルキナファソ在住の著者が現地で日本(や韓国)の新宗教の信者を取材した本。

    きちんとインタビューに答えてくれる人はどうしても熱心な信者が多いのか、哲学的な関心を主に語ってくれていたでようある。しかし、幸福の科学の章などでその片鱗が見られたように、実際には現世利益、もっといえば奨学金などが目当ての場合もあるはずで、こういった信徒の声も聞きたかった。

    創価学会と日蓮正宗の喧嘩まで進出していたのにはさすがに笑ってしまった。

  •  「学術的な批判に耐えられるものではない」(p.7)とあらかじめ予防線を張っていて、宗教自体の政治的機能や宣教・布教における植民地主義の問題などに対して、極めて能天気で無邪気なのだが、アフリカ諸国で日本ではお馴染みの新興宗教(創価学会、統一教会、崇教真光、真如苑、幸福の科学など)が浸透・定着している姿を「現場」の視点から活写している点で、他に類を見ない貴重なレポート。イスラム・キリスト二大宗教のような伝統的宗教では満たされない人々の信仰心の受け皿として機能する一方、「豊かになりたい」という現世利益への手段という側面が露呈しているのは、「先進国」と同様の近代化過程の必然的現象で、新興宗教が拡大する普遍的なパターンが繰り返されていることがわかる。それにしても、ブルキナファソやガーナにまで創価学会と日蓮正宗宗門の対立が持ち込まれ、当地の信者に歪みと亀裂をもたらしているのは衝撃だった。

  • 著者の誠実さが分かる一冊。
    タイムマシンに乗って古代ローマや鎌倉時代を取材してほしい 笑

  • アフリカは物理的にも心理的にも日本から遠い。そんなアフリカで日本の新興宗教を信仰する人たちがいる?というのは驚きだ。

    まず思ったのは縁の不思議。いろんな人の人生が交錯し、様々な国を経由して、アフリカと日本が新興宗教を媒介にして繋がっている。日本の新興宗教がアフリカで広まる文化的・社会的背景もおもしろい。キリスト教が既に根付いていたり、現地の伝統宗教がアニミズムに馴染みがあったり、戦争による人口移動や貧困、などなどの要素が、信仰の広がりに影響している。現地の伝統宗教よりも日本の新興宗教のほうが教えが論理的だから魅力的に映る、というも興味深い。オウム真理教の信者が似たようなこと言ってた気がする。

    アフリカの人たちの宗教に対するスタンスは、見習うところがあるかもしれない。コロコロ宗教替えるなんて日本では考えにくい。著者も書いているけど、日本人は宗教に対して構えすぎる。即物的なご利益を求めて気軽に信仰していいのかも。日本ではしばしば、宗教を信仰してる人は変わり者扱いされる。それに対して、アフリカでは宗教を信仰することはマジメさの現れ。昔は日本でも真摯に宗教を考えていた人は尊敬の対象だったと思う。

    この本では、日本で起きてるような新興宗教の問題は書かれてない。問題がない訳じゃないと思うけど、貧しさという背景は大きいかもしれない。日本の信仰宗教は、アフリカの貧しさ故に信者から金を引っ張ることができない。その結果、宗教としてまっとうに見えてしまう。日本は小金持ちが多いからいろいろ問題が起こるのかも。経済的豊かさと宗教的まともさは反比例するような気がする。

    もしかすると今のアフリカに於ける布教は投資なのかもしれない。将来アフリカが大きな経済発展を遂げた時、日本の聖地にお布施として大きな利子が付いて還ってくる可能性もなくはない。中の人がそんなことまで考えてるかどうかわからないが。

    ガーナにおける日蓮と創価学会の確執はおもしろい。アフリカにまで対立関係持ち込まなくても、と思うけど傍から見てる分にはおもしろい。創価学会は仏教である。当たり前だけど、そう書いてあって思い出したのが、ジャズ・ピアニストのハービー・ハンコック。彼は仏教を信仰しているのであって、それがたまたま創価学会だった、ということなのかもしれない。新興宗教といっても、土台にあるのは仏教やキリスト教など既存の宗教であることが多いのだから、信仰の本質はそちらにあるはずだ。少なくとも、アフリカの人達からそう見えているのは新鮮だった。

  • 日本の新宗教がアフリカに?って好奇心だけで読んでみたけど、その好奇心に十分応えてくれる一冊。とは言え、教義とか哲学的なところには踏み込まず「とりあえず行ってみました、見てきました」ってノリの軽さも好感。世の中、知らないことがたくさんあるんだなぁ。

  • 【書誌情報】
    ルポ アフリカに進出する日本の新宗教
    著者:上野庸平
    定価:本体1500円+税
    ISBN:978-4-7634-0784-9
    C0036 
    発行:2016年7月15日
    四六判並製 224頁

     なぜアフリカで、これほど日本の新宗教が受け入れられるのか?
     幸福の科学、統一教会、真如苑、崇教真光、ラエリアン・ムーヴメント、そして創価学会
     これら新宗教を受け入れ、信仰するアフリカの人々の姿に迫る
     遠い異国のアフリカ人が一体どうして日本の新宗教を真理として受け入れ純粋に信仰するのか
     誰も書かなかった・誰も書けなかったアフリカ新宗教ルポ
    http://kadensha.net/books/2016/201606africashinsyukyou.html

    【目次】
    第1章 ラエリアン・ムーブメント
    第2章 幸福の科学
    第3章 真如苑
    第4章 崇教真光
    第5章 統一教会
    第6章 創価学会 

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著者プロフィール

1984年福岡県生。上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程在籍(アフリカ地域研究)。上智大学大学院実践宗教学研究科博士前期課程修了。修士(文学)。専門は死生学、宗教学。
主な業績に『ルポ-アフリカに進出する日本の新宗教』(花伝社、2016年)、「近代フランスにおける仏教受容の一様相」(第17回 中外日報社主催「涙骨賞」本賞受賞論文、2021年)など。

「2021年 『奪われたアルメニア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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