なぜうつ病の人が増えたのか (幻冬舎ルネッサンス新書 と 1-1)
- 幻冬舎ルネッサンス (2010年8月25日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779060267
感想・レビュー・書評
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うつ病の特効薬のようにいわれるSSRI、しかし実態は既存の薬と効果の差はほとんど無く、どころかこの薬を導入した各国で以後、うつ病患者が激増するという事実。
薬を売る為に患者を増やす、ほっといても治る患者に薬を売りつける、そんな実態が浮き彫りにされている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うつ病患者、メンタル求職者、薬の売り上げは三位一体。
啓発活動はうつ病患者を増やすだけ。
世間が騒ぐと自分もうつ病かと思う人が増えるだけ。 -
某H君が読んでいたので、気になって購入・一気読み。感想3つ。
・資本主義の限界なのかもしれないが、マッチポンプ的なやり方で利益を得るのは(得に人生の根幹に関わる健康では)、認め難い。製薬メーカや医師が、(例え基礎研究や即効性がないにしろ)、正当な利益が得られる何らかのルール作りを行うべき。
・科学とは「普遍的・定量的な結果から、真実をみつける」学問だと私は考えている。しかしながら、この本で述べられているようなことが医学で起こっているのだとしたら、(カテゴライズはおかしいと思うが、大学受験時に理系・文系と分けられ、理系の最難関が医学部になっている現状・一般科学と比べてパラメータが多すぎるにしろ)、非常に残念。一方で、自分の分野でも、なんとなく常識になっていることには、常に疑いを持たなくては。
・頭蓋骨割った時に、心療科のハードルが高ければ、間違いなく自殺していると思う自分としては、この本の斜め読みで、誤った認識が増えて診察を受けづらくなるのも困る。この本の正確な理解を期待しつつ、多くの方に読んで頂きたい。 -
精神科医が日本や既に同様の現象が起きた諸外国の統計を基に、なぜ1999年を境に日本でうつ病が急増したのかを解き明かす。
作者はかなり早い段階で結論を言ってしまう。それはSSRIという新薬が登場したからだ。薬価の高い新薬を売る為に大手製薬会社が中心となってうつの啓蒙活動をしたことでうつ病の受診者、うつ病者が増えていき、結果として精神疾患の休職者も増えていく。
ここまでしっかりとデータとして”SSRI現象”が見えるのに、筆者がそれを糾弾するトーンが弱いと感じる読者が多いかもしれない。それは精神医学が他の医学より曖昧な部分の多いところによるからではないかと思う。うつ病とうつ気分の厳密な区分けは難しく、本人が自分がうつっぽいと思って受診するとたいていうつ病とつけてしまいがちだ。職場の休職も絡めばその傾向は一層強くなる。ないところに病気を作り出しているわけではないので、はっきりと糾弾できるものでもないのだろう(ただ海外では訴訟も起こっている)。
筆者はうつ病の入り口が広がってしまった現在、如何にその出口(回復)
も広げていくかを考えていくことが重要だと説いてこの本を結んでいる。
うつ病に関する本がとても増えた昨今、一般的なうつの本や体験記と並んでぜひ読むべき一冊。精神疾患と社会の関係性を考える上でも必読。常にどこかでこういった視点を持っていなければならないと思う。 -
新薬の販売がうつ病患者を増やす「SSRI現象」を指摘。
しかしこれは冷静に受け止め、復職支援などうつ病の「出口」を広げるべきと主張。
軽症うつは抗うつ薬があまり効かない。SSRIと従来薬の効き目の差も少ないなどの情報も興味深い。
詳しくはブログに書きました。
http://d.hatena.ne.jp/spanglemaker/20100912/p1