ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで

  • 新泉社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784787710178

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  • 2011/12/17
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  • かつてリン鉱石の産出地として富を築いた小さな島国、ナウルの歴史。
    歴史書というよりは歴史を説明しつつの紀行文っぽいかも。

    ナウルは珊瑚礁にたまった鳥の糞(が変化したリン鉱石)が土台の島。
    リン鉱石によって一時は莫大な富を築いたが、資源の枯渇によって衰退する。

    ナウルのやりかたはどうにも場当たり的だ。
    永遠に掘削を続けることはできないと理解していたにもかかわらず、無謀な投資をしたりひとつの産業に依存し続けるところを見ると、もっとうまくやれないものかと思う。
    が、石油やチョコレートやダイヤモンドに共通する、先進国の搾取やら上層部の無駄遣いやらを見ると、「ナウル人がのんびり屋さんすぎるから」とは言えない。
    バブルで浮かれちゃったり、先より今を楽しんだりするイメージは「おのぼりさん」や「お人よし」っぽい。
    逃げ場のない狭い島の中で生きていくには明るくなるか暗くなるかしかないのかもしれないとも思う。
    どうにもならないがゆえの「どうにかなるさ」

    「ナウルのこと」ではなく「ナウルの例(他山の石)」として読んでしまうのが悲しい。
    自分も、多分著者や訳者も。


    悪くないんだけど所々著者の視点がナチュラルに支配者側思考。
    フランス人だから仕方ないのか?
    あと訳者が履歴を見ると紹介したいものを訳す意志をもってやってるっぽい。
    それ自体は良いんだけど、著者へのインタビューではそれが悪く表れてしまっている。
    自分の聞きたいことを言わせようとしているみたいで嫌だ。
    「著者も指摘しているように」ってそれお前が言ったセリフだろうが。

  • ナウル共和国は太平洋に浮かぶ小さな島。人口一万人程度で世界有数の小さな国は、島内で産出されるリン鉱石のために他の国とは異なる歴史を持つ。ナウルのリン鉱石は純度が高く化学肥料の原料となるため、土壌の痩せているオーストラリアの農業に欠かせないものだった。諸外国の支配から脱し、共和国の独立に成功したナウルは、以降リン鉱石の輸出がもたらす莫大な資金を湯水のごとく使った。労働することをやめ、海外の不動産を買いあさり、農業をやめて食料品をすべて輸入に頼るという有様。しかし、やがてリン鉱石は枯渇したため資金の流入が止まり、かつての世界一裕福な国は、難民の受け入れやマネーロンダリングで食いつなぐ最貧国へと転落した。絵に描いたような現実は、アリとキリギリスみたいな話だ。その前に気付けよと思ってしまうが、今の日本の政治が閉塞状態でなかなか有効な手が打てないのと同じように、当事者は遠い未来まで見通すことが出来なかったのだろう。
    リン鉱石の発掘と輸出再開に国の再起をかけるが、国民の5人に4人が糖尿病を煩うなど目の前の課題も多いとのこと。

  • こんな国があるとは知らんかった!

  • 人口減や政治の失敗によって国が消滅する可能性も十分ありうることが、実話に基づくだけに非常に良くわかった。

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