ユートピアの崩壊 ナウル共和国―世界一裕福な島国が最貧国に転落するまで
- 新泉社 (2011年1月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
- / ISBN・EAN: 9784787710178
感想・レビュー・書評
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2011/12/17
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かつてリン鉱石の産出地として富を築いた小さな島国、ナウルの歴史。
歴史書というよりは歴史を説明しつつの紀行文っぽいかも。
ナウルは珊瑚礁にたまった鳥の糞(が変化したリン鉱石)が土台の島。
リン鉱石によって一時は莫大な富を築いたが、資源の枯渇によって衰退する。
ナウルのやりかたはどうにも場当たり的だ。
永遠に掘削を続けることはできないと理解していたにもかかわらず、無謀な投資をしたりひとつの産業に依存し続けるところを見ると、もっとうまくやれないものかと思う。
が、石油やチョコレートやダイヤモンドに共通する、先進国の搾取やら上層部の無駄遣いやらを見ると、「ナウル人がのんびり屋さんすぎるから」とは言えない。
バブルで浮かれちゃったり、先より今を楽しんだりするイメージは「おのぼりさん」や「お人よし」っぽい。
逃げ場のない狭い島の中で生きていくには明るくなるか暗くなるかしかないのかもしれないとも思う。
どうにもならないがゆえの「どうにかなるさ」
「ナウルのこと」ではなく「ナウルの例(他山の石)」として読んでしまうのが悲しい。
自分も、多分著者や訳者も。
悪くないんだけど所々著者の視点がナチュラルに支配者側思考。
フランス人だから仕方ないのか?
あと訳者が履歴を見ると紹介したいものを訳す意志をもってやってるっぽい。
それ自体は良いんだけど、著者へのインタビューではそれが悪く表れてしまっている。
自分の聞きたいことを言わせようとしているみたいで嫌だ。
「著者も指摘しているように」ってそれお前が言ったセリフだろうが。 -
こんな国があるとは知らんかった!
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人口減や政治の失敗によって国が消滅する可能性も十分ありうることが、実話に基づくだけに非常に良くわかった。