- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788511910
作品紹介・あらすじ
心理学に新風を吹き込んだ『アフォーダンスの心理学』(新曜社)で知られるリードは、将来を嘱望されながら42歳の若さで亡くなりました。本書は、ギブソンの生態学的心理学とデューイなどのプラグマティズムを社会哲学に応用した遺作ともいえる書です。インターネットなどのメディアの発達で、人間の「経験」はますます「間接的」なものになってきていますが、リードは独自の生態学的情報理論をもとに「直接経験」の必要性を説きます。関係性とプロセスの働きの結果としての「主体」概念から始めて、教育、労働、遊びなど多面的分野で人間的経験の復権を訴えます。新しい経験の時代に入った今、われわれは何を経験しているのか、振り返ってみるのに最適の書といえるでしょう。
感想・レビュー・書評
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直接知覚による一次的経験について、思想、哲学の議論が延々と続く。ギブソンの引用も多くそこはわかるのだが、全体に議論が抽象的なのと、理解する前提として幅広い哲学の知識が必要で、ついていけず。かなり難しかった。
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文書や映像になった間接経験ではなく、直接経験を重視する考えには共感が持てる。
一貫して反デカルト、反ローティであり、個人的にはモリス・バーマンやグレゴリー・ベイトソンに近いものを勝手に感じている。 -
後半の現代メディア批判は幾分紋切りながら、興味深い。『イメージの時代』を思い出した。
前半を中心とするデューイ哲学の解釈はごく標準的で特に異議はないが、ローティに対する批判は基本的に単なる誤読か誤解に基づいていると思う。 -
「われわれの社会に見られる多数の社会的かつ心理的疾病の共通の根はわれわれの文化が一次的経験を軽視している点にある」要約するとこの一文につきる。ワークショップを分析してどういう背景でアイデアが出るのか、どういうときにアイデアが共感を呼んで生き残るのかを考えていると、結局は個々人の過去の経験、それも実感を伴った経験が背景にあるのじゃないかと考えていたときに出会った本。重い。
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ギブソンの後継者と目されながら早逝した、エドワード・リードの遺作。
短文にまとめられるような内容でもないので、時間を取って考えられればと思う。
至極簡単に言うならば、直接経験(リードは一次経験という用語を使う)の重要さについて論じている、ということになろうか。