銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794210050

感想・レビュー・書評

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  • 人類史1万3000年について、なぜ、文明の発達の地域差があるのか、なぜ、どのようにして、ヨーロッパ文明が世界を制覇するにいたったのかについて、文明論的考察を行っている。
    ただ、長い割には退屈な本。

  • 1998年ピューリッツァー賞受賞作品。これまでに読んだノンフィクション本で一番の知的興奮を得た本かもしれない。

    人類の歴史は、白人欧米人が常に優位にあり、他の民族を制圧し凌駕してきた。その理由は、なんであるかという途方もないテーマへのチャレンジである。民俗学、地理学、医学、動物学、社会学などの横断的知見を基に、共著ではなく単独で纏めた著者の努力は計り知れない。

    上巻は、農業による食料生産の有無が、民族間の発展の差を生んだという内容が中心である。そして、農業はチグリス川の肥沃三角地帯で始まり、東西に広がるユーラシア大陸で広く拡散して行く。一方、南北に長いアメリカ大陸やアフリカ大陸は緯度による気候の違いが障壁となり、農業の発展がかなり遅れたのである。

    農業は、集落を生成し、分業を促し、職人や役人、兵士などの専門職を生んだ。こうした社会が形成された農耕民族は、狩猟採取民族を制圧していくことが人類の歴史で繰り返されるのである。

  • 3.7。
    すごい。でもちょっとくどい。

  • 狩猟民族→農耕民族→余剰人口→文化・技術発展→文明という流れが文明の進化。最初の狩猟民族から農耕民族になるチャンスを与えているのが、大陸の広さや広がりの向き、動植物の豊かさ。シヴィライゼーションというゲームの骨子になっているような話。

  • 「なぜある地域は別の地域を征服できたのか。なぜその逆は起きなかったのか」を考える本。

    「偶然あるもの(銃・火薬・蒸気機関・etc)が他の地域より早く発明されたから」ではなく、そのもととなった一番に根源的な理由づけがされるので、納得感があり面白い。

    知らなかったこと

    ・病原菌は銃と同じで征服に有利に働いた。人口密度が高く家畜が多いほうが致死的な病原菌を発達させやすい

    ・食糧生産の高度化→人口密度増→階層社会の発達→非生産階級が存在可能に→王族や技術者や職業軍人

    ・陸塊が東西に長いと作物を水平伝搬させやすく、移住してすぐに生産開始できる

    ・狩猟採集と定住生産生活は0/1でスイッチされたものではないし、食糧生産生活=定住生活というわけでもない

    ・家畜を作れるかどうかは大型哺乳類がその地域に残っているか次第。狩猟技術の高い人々が移住してきた地域では大型哺乳類は絶滅した

    ・人類の狩猟技術が未熟な時代からその地域に共在してきた哺乳類は、人間を天敵として恐れることを知っていたから、生き残った

    ・家畜化ができないと耕作可能地の選択肢や生産性が落ちるし、軍事的にも騎馬という超強力な手段が封ぜられる

    ・乾季と雨季の切り替えが激しい地域では一年草が優勢になる。頑張って乾季を耐えるより1年で枯れて種でやり過ごす方がラクだから

    ・一年草は食糧生産に最適。幹を育てるインセンティブが薄いので種に栄養をつぎ込むから、収量が高い。サイクルが短いため品種改良がラク。種が乾燥に適応していて保存が効く

  • 「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちの物といえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」

    という質問への回答となる本です。
    つまり、何故西洋文明が地球の「勝ち組」となったのか。

    世界史を3年間勉強する前にこれを読ませたら、教科書の全てに興味持てるんじゃないかな。
    「スゴ本」としてよく話題に上がるけどついに読みました。まだ上巻のみだけど。


    地域により発展のスピードが異なった究極の要因は大陸の伸びる方向が東西だったか南北だったかということと、栽培適性のある野生種の存在だ。
    栽培適性種が多く存在し、東西に延びるユーラシア大陸が有利だったのだ。

    緯度が近ければ種の伝播が比較的容易で(南北方向へは気候の変動が大きく伝播に時間がかかった)、多くの栽培植物と家畜が存在できるようになる。

    余剰食料、食料貯蔵が可能になる。

    人口が稠密で定住している人々の、階層化された大規模社会が出来る。

    技術の発達。

    という図式。

    野生の動植物を飼育栽培化することが狩猟採集民族から農耕民族への第1歩となる。

    飼育栽培化しやすい動植物が多く生息していた地域がいち早く農耕をはじめ、そうでない地域は、そのような動植物が持ち込まれてから始めて農耕への道が切り開かれた。

    例えば、世界中に数千種ある野生種のイネ科植物の中から大きな種子を持つ56種を「最優良種中の最優良種」とした研究では、西ヨーロッパ地中海地方にはそのうち32種が自生していたのに対して、東アジアでは6種、中米5種、北米4種のみである。

    家畜化可能な大型哺乳類の候補はユーラシア大陸では牛・馬・羊など72種類だったのに対し、アフリカサハラ砂漠以南では51種、南北アメリカ大陸では24種、オーストラリア大陸では1種(アカカンガルー)。
    実際に家畜化されたのはユーラシア大陸13種で、南北アメリカ大陸で1種(犬)、他はゼロだった。
    家畜化できなかった哺乳類は、大量の餌が必要であるとか、成長に時間がかかりすぎるとか、飼育下での繁殖が難しいとか、獰猛・パニックになりやすい・集団行動しないなどの性質の問題があった。

    動物の飼育化、植物の栽培化がどんな動植物でも出来るということでは無いという証拠を、丁寧に積み上げるように教えてくれる。ものすごく納得できる。
    栽培化しやすい植物や、牛・馬・羊などの極めて家畜化しやすい動物たちがいた西洋文明発祥の地、「肥沃三日月地帯」として知られるチグリス川・ユーフラテス川周辺地域の発展に大きなアドバンテージがあったことが、自明であるととても分かりやすく教えてくれる。

    さらに、家畜を飼うことで人類は多くの新たな感染症を家畜から輸入してしまった。
    その免疫を持たないがために、アメリカ先住民の95%、アステカ人の94%、フィジー住民の3/4、ハワイ人口の6/7が犠牲になった。
    ヨーロッパ人の進出が南北アメリカよりも400年も遅れたのは、熱帯地域ではヨーロッパ人が免疫を持たないマラリアなどがあったためだ。


    上巻だけでこんなに世界史観を変えてしまった本書の下巻を読んだら、いったいどうなってしまうのか、楽しみです。

  • なぜヨーロッパ人が侵略者となり得たのか、なぜ発展は偏在しているのか、なぜ新世界がヨーロッパに侵略できなかったのか、今まで不思議だったことがとかれている。$$生物学、地理学、言語学を使って論理的に説明している。$$内容も分かりやすくおもしろい$$

  • 朝日新聞「ゼロ年代の50冊」第1位。
    ピュリッツァー賞・コスモス国際賞受賞作。
    なぜ人間は五つの大陸で
    異なる発展をとげたのか?
    人類史の壮大なミステリーに挑む。
    超骨太歴史学書。

  • 飼育と家畜化は違うとか、人獣共通感染症の感染経路の話とか面白いエピソードがいくつかあった。下巻も楽しみ。

    それにしても未開の地を攻め込むのに宣教師がいたのは本当に呆れてしまう。

  • 2000年刊行。農業・技術を発展させ、文字を持った民族がある一方、かかる技術を持ちえず、狩猟採集民であり続けた民族。この差異が生じた理由は何か。本書は、様々な民族、史的過程、遺伝生物学や環境史の知見を用いつつ、先の問いに回答しようとする。丹念に実例を積み重ね、多面的な根拠付けは説得力十分。ただ、著者は農耕化に関する地域格差の主たる根拠に環境の異同を挙げるが、環境異同だけでなく、農業に関する知識・技術的知見との相関関係も関連するように思えるのだが…。また、米(東亜)と麦(西亜・欧州)の異同は?下巻に期待。
    家畜化は、動物の性格の温和さが関わること、シマウマは気性が荒く、家畜に向かないこと、病原菌は都市化と関わることなどは新規。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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