女教皇ヨハンナ 上

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794214485

感想・レビュー・書評

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  • 本人作家の書いた本で、ヨハンナの存在は知っていた。

    昔、男性を装いローマ法王まで上り詰めた女性。
    博学ではあったが、少々節操に欠けるタイプで男の人と駆け落ちしたり、彼女が彼女であるとばれたのも儀式の最中、出産したから。 というもので、
    本書 『女教皇ヨハンナ』を読まなければ、ヨハンナに対する私の知識的価値観はこのままだっただろうし、『女教皇ヨハンナ』しか読んでいない読者は、本書のヨハンナ像がそれとなることだろう。

    9世紀、ドイツで生まれた女の子が、ローマ法王となり、公的儀式の最中に出産した。
    彼女の存在は封印され、永久に抹殺された。 というのは同じなのだが、
    ドナ・W・クロスは主人公ヨハンナを、9世紀男尊女卑の風土に生まれたひとりの少女の人生をドラマティックに描ききっている。

    そもそも、歴代教皇名簿からは完全抹消され千年以上前に生まれたヨハンナが実在したかどうかも疑わしい。

    しかし、ヨハンナ伝説は根強く残っており、その存在を実在と仮定する(信じる)ことからこの物語ははじまっていく。

    作者のドナ・W・クロスもヨハンナが実在したかどうかは断定できないとし、ヨハンナはインゲルハイムの生まれで父親がイギリス人、一時期フルダの僧院に身を置いていたこと以外にはほとんどわからないとも書いている。

    したがって、本書は、フィクションとして読む方が楽しめる書物といえるのかもしれない。

    本書の中でヨハンナは恋をするが、その愛は純粋で、産み落とす子供も生涯たったひとり愛した男性の子である。
    聡明で節度を保ち、運命の悪戯からローマ法王の側近となって、気がつけば法王の椅子に座らされていた。
    民衆のことを思い、他方で秘められた愛の炎を燃やしつつ精一杯生きているヨハンナは健気ですらある。

  • 上下巻。

    歴代のローマ法王の中に女性がいた?
    ヴァチカンがひた隠しにしているといわれる存在。
    頭脳明晰、上昇志向の強い女性。

    当時の時代背景を思うとヨハンナの現代的すぎる考え方が
    気になったが、物語としてはおもしろく仕立てていると思う。

  • うーん…。
    恋愛のすれ違いやら不倫やらがちょっと鬱陶しくなって読むのをやめてしまいました。
    成り上がりの展開はワクワクしました。

  • 何というか当時の教会の体制の歪み?とか
    女子の勉強というものがいかに存在さえしなかったのかが読み取れて
    学びたいことを 学べるだけでも私たちは幸せなんだな、と
    あと聖書はやっぱり一回 全部読まなきゃと思いました。

    全体の感想としては思っていたよりも 読みやすかった
    西洋史を学んでいながらこんなこと書くのも
    アレなんですが、作中の異教徒に対する
    ローマ・カトリックの対応や教会内での不正などには
    結構現在の世界情勢に通ずるものも ある気がいたしました。特に前者。
    フィクションとはいえ史実に基づいたものなので
    まるっきりのデタラメってこともないと思いたいというロマン

  • 最初少々中だるみな感じがしたが「下巻」を読んでから、読み返すと新鮮な気持ちになりました。女の学問が許されない時代にささやかながらも抗ったヨハンナの強さに頭が下がります。

  •  歴史ものなのにすごく読みやすかったです。史実のエピソードに基づいての創作みたいですね。こういうガッツのある主人公の立身出世もの大好き。男尊女卑ものすごいですが、こんな時代もあったんだろうなと興味深く読めました。魔女狩りのエピソードとかまじで怖いっす。最後は結構あっさりでしたが、楽しかった。歴史物好きならば超オススメ。

  • 下巻に感想を書きましたのでそちらを見てください。

  • 9世紀ヨーロッパを舞台にした歴史小説。
    女は罪より出し とされた時代において
    自らの知的好奇心のために男として生きていくことを決意したヨハンナの物語。
    中世ヨーロッパの様子が忠実に再現されていると思う。
    あの、現代からは想像も出来ない暗い世界が。
    あんな中に生み落とされて希望を捨てずに生きようとする人間を、
    私は心から尊敬する。
    ほとんどの人は「生きるために生きる」状態だったはずだから。
    だけど現代と変わらないのは、
    人間は富への欲望には勝てないということと、
    自分の好きなように人生を歩もうと思ってもどんな形であれ必ず社会という障害が存在する、ということ。

    人間の行き方、社会の在り方について考えさせられた。

  • ダヴィンチコードが流行ったとき、関連本で買った本。
    キリスト教史のタブー、歴代法王リストから”消された”女教皇ヨハンナの物語。
    上巻はとてもよかったけれど、下巻で息切れ、詰め込みすぎなのはダヴィンチコードと一緒な気が・・・(*作者は違います)

  • 面白かった!!結構あっという間に読んでしまった。
    図書館のシステム上上巻しか予約できなかったから、読み終わってから下巻を借りるまでのもどかしさったら!!

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