文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (上)

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (440ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794214645

感想・レビュー・書評

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  • 2009/1/28購入

  • なぜ文明が崩壊するのか?ピュリッツァー賞を受賞した著者は文明が崩壊する原因は主に環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題への社会の対応の5つの要因であると主張する。本書では実際に崩壊した過去のさまざまな文明を扱い筆者が主張する5つの要因に当てはめてながらとてもわかりやすく解説している。これはホント面白かった。まあとても分厚くて読むのに時間がかかると思っていたんだけど面白くて意外とすらすら読めてしまった。5つの原因だかこれは企業の崩壊に当てはめても興味深いね。崩壊が起きる原因は一つではなくいろいろな原因が複合的に絡み合って起こっていくことがよくわかる。

  • 「生態系サービス」の言葉の意味と重要性が今一つ理解出来ないときにこいつを読むと劇薬。環境運動は偽善行為でも、慈善行為でもなく、至極シンプルにサバイバル技術なんだよと。
    すごくいい本で面白くて読んだんだけど、途中でげんなりしちゃって下巻の続きを読めてない・・・

  • 「持続可能性(サスティナブル)」という表現は最近しきりに使われるが、具体的に私たちが何をすべきかとなると、昔ながらの省エネ・省資源の延長でしか語られていないことが多い。そもそも、持続可能な活動とそうでない活動を見分けることが一般消費者には容易でない。

     イースター島やマヤなど、過去に高度な文明を築きながら崩壊した例は数多くある。いわば「持続不能」だったことになるが、彼らがなぜ滅亡を予見し避けることができなかったのか。そこからどのような教訓が得られ、現代の私たちはどのようにそれを活かせるのか。過去の例と現代の例を詳しく取り上げた上で、これから何をすべきか提言する。
     基本的には環境問題に警鐘を鳴らす書であり、著者は環境保護主義者と呼ばれることも多いようだ。しかし、しばしば彼のような人物に投げ掛けられる「人間より鳥の方が大事なのか」という問い掛けに見られるような、文明を否定する内容では決してない。あくまでも、文明を滅亡から守る方法を論じている。

     米国人によって書かれているが、日本についても何度か言及される。江戸時代の日本は国内の森林を持続させることに成功した例として。現代の日本は外国から大量の木材を輸入することでそれらの国の森林破壊を助長している国として。

     モンタナの例、グリーンランドの例、オーストラリアの例などを読むと、世界に進出したヨーロッパ人の行動は、時に愚かとしか思えない場合もある。しかし日本人の行動も、愚かではないとしても最善とは言いがたい。残念ながら日本で進んでいる取り組みはまだ実効性が高いとは言いがたいだろう。

     第3部まで様々な例を概観した上で語られる第4部の「将来への提言」は、見方によっては特に目新しいものではない。政治の取り組み、企業の取り組み、消費者のすべきこと。だが、多くの事例を観察した上で得られた結論には説得力を感じる。

     古代社会と現代社会の大きな違いは、情報化、グローバル化、そして大企業という集団の存在と影響力だろう。しかし、個人(市民、消費者)の力は悲観するほど小さいものではない。著者の言う「慎重な楽観主義者」として、成功に繋がる選択を心がけたい。

  • なくなった文明のなくなった理由
    推理小説みたいなかんじ

  • 実にまっすぐなタイトルである。「鉄・銃・病原菌」の著者ジャレド・ダイアモンドによるものなので、さっさと購入したものの、読むのに時間がかかった。ここに書かれている問題に今すぐ応える必要が各国政府にあると思う。そういう行動をしている政府を知らないけれど。
    かつて滅んだ社会がいかにして滅んだのか。今失敗している社会が似た境遇にありながらなんとかしている社会とどう違うのか。著者はともかく比較検討する。
    それにしても人間はお粗末だな、と言うのが基本的な感想だ。どう考えても人間は頭が悪い。いや、どうも頭というのは理性よりも欲望が中心なんだなと思う。職場でペットボトルのリサイクルをしろといくら言ってもほとんどの人間ができないのでつくづく人間の馬鹿さ加減は知っているつもりだが、どうもそれ以下のようだ。これだけの行動もできないのだ。そう思うとこの本で語られるようなレベルに人間がなる前にどうも破綻しそうだ。
    いいですか、みなさん、このままだと間違いなく50年で破綻するので、今のうちにケアしないと危ないですよ、と冷静に書いている。人類は近々生存を賭けたルビコン橋に至るようだ。私はこの橋を渡る前に人間はきっと考える、という方に賭けている。そのくらいの思考力はあると思うが、実際はどうなんだろうか。

  • 順序が逆になるが、ピューリッツァ賞受賞の前作『銃・病原菌・鉄』を読もうと思う。

  • 銃・病原菌・鉄が文明の発展に主眼を置いたの対し、本著は崩壊に焦点をあてている。前回よりも提言がしっかり書かれており、多くの社会を比較して考察した知見が活かされている。一番印象的だったのはハイチとドミニカの事例。同じ島に属す国として、環境要因だけでなくそこで営まれた社会活動の違いが二つの国の命運を分けた。独裁政権は一見悪のように感じられるが、有能な指導者であればそれは必要悪であるという点が新鮮な考え方であった。これかからの世の中を考えていくうえでどのうように崩壊から免れることができるか、筆者は意外と楽観的な考察をしていたが、アメリカの目指す自由を広めていくことは崩壊の道へ突き進んでいる気がしてならない。(2006/3/17読了)

  • 祇園精舎の鐘の声、盛者必衰の理を表す。驕れる者は久しからず、現代社会もまた人間の力を過信してるのではなかろうか。この本には過去に隆盛を極めつつも崩壊して行った文明を考察している。現在も謎に包まれる巨石文明を築き上げながらも忽然と姿を消した中米のマヤやイースター島。そのほかグリーンランド入植地など多様な文明崩壊の実例からそこに共通するパターンを導き出している。つまり文明発展における環境負荷が崩壊の原因であることを論じている。著者は生理学者であるが博識であり、なかなか分かりやすく論じられている。環境負荷についても自然・社会など多角的に検討されているので歴史や環境問題に興味のある人に非常にお勧めです。ただ欠点を言えば、上下巻になるほど長いということですかね。

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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