昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか

著者 :
  • 草思社
3.24
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本棚登録 : 222
感想 : 32
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794221179

感想・レビュー・書評

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  • もっと「なぜ」にフォーカスしているかと思ったけど、記録から読み取れる事実の羅列のみで、なかなか「なぜ」にたどりつかず、消化不良。

  • 以前同じ著者の「本当はひどかった昔の日本」がとても面白かったので読みました…あの本とセットで読むとより面白いかもしれません。あの本で書かれていた部分を掘り下げたもので、実に興味深く…また、シビアで目をそむけたくなるような「現実」の数々…今回も読んでいて気が滅入りました…が、まぁ、これが現実というか、こういう状況、感覚だった時間の方が長かった、と思うと…なぜでしょうか、やはりあきらめにも似たような感情ですが「ホッとする」気がします。よくどの分野でも言われる「今のわかものは」「昔はもっと(なにやらあったかみがあるとかそういう言い分)」ですが、この本を読めば…何気なく読んでいた昔話のキャラクターのおかれていた環境や生活、描写がとても深く重いものにかんじます。そういえば昔話の終わりは、幸せにくらしましたとさ、で締められますが、だいたいその「幸せ」は経済的な豊かさだったな、と今になって気付きました…。物言いがものすごくハッキリザックリしているので、読んでいて苦痛ながらも爽快感がありました。面白かったよー。老人とは…の説明も的を射ていて愉快でした。最後に思ったのは「年を取る前にしにたい」ですかね。

  • あまりにも当たり前のことには疑問が生じにくいものです。
    そこに疑問をもつには、思考というか視点の柔軟性が必要だと思っています。
    そして、この本は、著者が見事にその柔軟性を発揮した本だと思います。

    昔話だけでなく、ときには古典の内容を用いながら、昔話は、その背景にある社会情勢を反映したものであることを丁寧に説明しています。
    また、社会情勢そのものに対する考察も丁寧に行われています。

    実は、タイトルを見た瞬間、もっと軽い本(やや子ども向けの本)を想定していたのですが、読み応えのある、内容のしっかりした本でした。
    昔話や古典について深い知識がなくても追っていける構成になっていた点は、非常にありがたかったです。

  • タイトルを見て「そういやそうだな」と思って気になったのが手に取るきっかけ。多分この本はそのように手に取られる方が多いでしょう。

    同じ話の繰り返しが何度かあり、話の流れというか章のテーマによるためやむ無しかとは思いますが若干読みにくい感じがしました。しかし内容は面白い。

    確かに子供向けにかなりマイルドになったり全然違う結末になってしまったりしている昔話はかなりあるなとは思っていましたが、浦島太郎の元となる話は(浦嶋子など)全く知らなかったのでとても興味深かった。
    姥捨てにまつわるいろいろの話も大変面白い。

    これは超高齢化社会である今だからこそ身につまされつつ(?)読むのが楽しいのかもしれない。
    最終章の「イカす老人」も「いやホントイカスなぁ」と感じ入りながら読みました。世阿弥かっこいい、と思いました。
    個人的には上田秋成に大変興味を引かれました。昔、国学の授業があり習った時に「上田秋成って変な人だな」と思った覚えがあるのですがやはり相当の偏屈野郎(失礼)だったのだな、と思いました。
    雨月物語も読んだことはありませんが、上田秋成について書かれたナニかがあれば読んでみたいと思いました。

  • ここの知識は空っぽだったから
    すごい面白かった
    新雪に足あと気分

  • 大塚ひかりの本は目に付いたら読んでいる。平安時代も政治を握る高齢者は今の政治家と同じぐらいの年だったそう。おもしろかった。

  • 本のタイトルを読んで「そういえばなぜだろう」と思って
    手に取る本の割には、内容が多い。
    それでもP.196で要約されているように、要は(富をもたない)老人が今だけでなく昔も弱者であり、その弱者が活躍することが物語として面白いこと、そして人生を歩んで固まった老人の人格が善悪の二元対立を語りやすいことの2つが要因。加えて昔話の語り手自体が老人であることも挙げられる。

    江戸時代以前は結婚率が低かったので独居老人も多かった、など滔々と老人の立場の弱さを示す事例を挙げている。

  • テーマは面白いのだが、説明的な文章が多く、ちょっと読みづらい。
    いくつかの昔話などをピックアップして、じっくりと書いて欲しかった。

  • 非常におもしろく、興味深く読んだ。
    「古典文学」ではなく、「昔話」という口承で伝わる物語。いかに、当時の時代背景、現実の生活に密着しているということがよくわかる。
    古代〜中世・近代、「老人」の「社会的地位の低さ」などなど。

    様々な資料から昔の暮らしぶりを考察し、そこから本書の主題に対する筆者の持論を展開する。

    また、後半では、いろいろな「イカす老人たち」の話もあり、そこも楽しく読めた。

  • 昔は弱者には厳しく特に貧しい老人は大変な時代がずっと続いていた。その中で、こういった弱者が逆転する話などは起承転結には良かったのではないかというのを桃太郎やかちかち山及び源氏物語などの古典から例証する。
    桃太郎は桃を食べたじいさんとばあさんが若返って子作りをするというバージョンの方がメジャーだったらしい。
    かちかち山はばあさんが狸に騙されじいさんがばあさんの死肉を食わされるのが元々の話だったのが現代になるにつれマイルドになった。

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著者プロフィール

1961年横浜市生まれ。古典エッセイスト。早稲田大学第一文学部日本史学専攻。個人全訳『源氏物語』全六巻、『源氏の男はみんなサイテー』『カラダで感じる源氏物語』『ブス論』『愛とまぐはひの古事記』『女嫌いの平家物語』(以上、ちくま文庫)、『快楽でよみとく古典文学』(小学館)、『ひかりナビで読む竹取物語』(文春文庫)、『本当はひどかった昔の日本』(新潮社)など著書多数。

「2016年 『文庫 昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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