- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794221759
作品紹介・あらすじ
チンパンジー(コモンチンパンジー)、ボノボ(ピグミーチンパンジー)と人間の遺伝子はじつに「98.4%」が同じ。人間は「第三のチンパンジー」。たっ「1.6%」の差異が、なぜここまで大きな違いを産み出したか? 分子生理学、進化生物学、生物地理学等の幅広い知見と視点から、壮大なスケールで「人間とは何か」を問い続けるダイアモンド教授の記念すべき第一作が、より最新の情報をふまえ、読みやすくなって登場!
感想・レビュー・書評
-
植物は、自家受粉種の方が栽培化に時間がかからず、野生種と交配しにくいため選別した純系を保ちやすい。
アメリカ南西部のプエブロと呼ばれる多層階の住居は、アナサジの人々によって900年頃に建設が始まった。当時はマツやネズの森に囲まれ、建設資材や薪として使われた。伐採が進むと荒涼とした環境に変わり、表土の浸食によって用水路が削られ、灌漑ができなくなったため、12世紀に放棄された。
ヨルダンのペトラは、交易の中心として数百年にわたって栄えたが、かつて森林の中にあり、ヤギも飼育されていた。
最初に北米に進出したクローヴィス人の矢じりは、1万1000年前頃に小さく精巧につくられたフォルサムの矢じりに変わった。この矢じりはバイソンの骨とともに見つかるが、マンモスと同時に発掘されたことはないことから、その頃には大型の哺乳類が絶滅したと考えられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人の性行動と人種の起源、人はなぜ歳をとってしんでいくのかの章が面白かった
-
ジャレド・ダイアモンドの本は前から読みたかったが、この本が初めて。
「人間はどういう生き物なのか?」という問いに対して、科学的に深い考察がされていて、人間という種に対する理解が深まった。
タイトルだけ見ると「いかに人間とチンパンジーが似ているか」という意味にもとれるが、98%以上遺伝子を共有しているチンパンジーと人間の違いにもフォーカスされていて面白い。
文章は専門用語もあって読みづらい部分があり、興味が無い人が読むと結構辛いかもしれない...。
個人的にとても興味深く読み進めたが、僕も読むのに結構時間がかかった。 -
ジャレド•ダイアモンドの本であることは間違いないのだけど、別の人『レベッカ•ステフォフさん)の編著なので、既刊本の総集編的な部分が結構ある。が、面白く読めた。モト本の「人間はどこまでチンパンジーか?」が未読だったからだろう。
以下の箇所が一番印象に残った。
P223
言語が少なければ世界中の人びとが意思を交わしやすくなるので、消滅はむしろいいことなのではないのかとも考えられる。そうかもしれないが、ほかの面ではまったく望ましくはないのだ。言語はそれぞれ構造や語彙が異なっている。感情や因果関係や個人的な責任をどう表現するかという点でも異なる。人間の思考をどう形づくるのかという点でも言語によって異なる。だから、この言語こそ最善だというひとつの言語は存在しない。そのかわり、目的が異なればもっとそれにふさわしい言語が存在している。言語が死に絶えてしまうとは、かつてその言語を話していた人たちが抱いていた独自の世界観を知る手段さえ失ってしまうことになるのだ。 -
友人に、ジャレド ダイアモンドのTV番組を教えてもらい、見ています。
本書を途中までは読んだけれど、TVを繰り返してみたので、それで十分な気がします。
2018年1月8日〜 NHK Eテレ http://www4.nhk.or.jp/diamond-hakushi/3/ 「ダイアモンド博士の“ヒトの秘密”」
ダイアモンド博士は、「銃・病原菌・鉄」でピュリッツァー賞を受賞した進化生物学者。
人間の進化によって現代社会を考察する博士の特別授業を12回にわたって放送する。
2018/01/05 予約 1/28 借りる。 2/1 読み始める。2/19 途中で返却
2018/02/20 再予約 3/20 再借り 読まずに返却
若い読者のための第三のチンパンジー: 人間という動物の進化と未来 -
興味深く読めた
-
「人間はどこまでチンパンジーか?」の改訂版。おもしろいが、当然のことながら、2年ほど前に「人間はどこまでチンパンジーか?」を読んだときほどではない。2016年2月7日付け読売新聞書評欄。
-
以前読んだ「サピエンス全史」と被る部分があり、理解がしやすかった。そういえば一年位前に、この著者の「人間の性はなぜ奇妙に進化したのか」を読んで、1/3もいかずに同じことの繰り返しで飽きて読むのを諦めたが、この本は、飽きることなく読み進めることができた。
人間とはどういう生き物か?というテーマに、進化や生物地理学といった切り口で、わかりやすく説いてくれる。
その内容はショッキングではあるが、納得性が高く、とてもスジが通っているように思える。
南北アメリカのマンモスなどの大形哺乳類は、ネイティブアメリカンの祖先が、陸地だったベーリング海を渡ってから、1,000年でほぼ全ての種が全滅した。
イースター島はモアイを運ぶために森林伐採をして、森が枯渇し、人が飢え、そして誰もいなくなった。
などなど、人間は、現代人だけでなく、素朴で自然に寄り添って生きてきたと思われていた未開人も、意図してかしないかは別として、実は多くの生物、植物を絶滅に追いやってきたという事実が何個も提示される。
また、人間は遺伝子の中に、大量虐殺、つまりジェノサイドを行うようインプットされている生物であるという事実は、あらためて示されると衝撃的ではある。
集団で生きる人間は、「我ら」と「彼ら」という対比を生み出し、「彼ら」を「我ら」より生き物として劣る存在として、または異なる人種や宗教、信条を持つ「彼ら」に対して大量虐殺を行ってきた。
その事実を提示されて、未来に向けてどうすべきかについて、若者向けに書いたとあるだけに、とても楽観的で前向きだ。
しかし、進化の過程として見れば、我ら人類は確実に絶滅に向かって、自ら突っ走っている、地球が産み落とした鬼子なのだという、よく考えてみれば当たり前の結論が残ると思う。