要石:沖縄と憲法9条

  • 晶文社
3.40
  • (1)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 21
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794967541

作品紹介・あらすじ

日本「復帰」以前、沖縄の車のナンバープレートには、Keystone of the Pacific(太平洋の要石)と書いてあった。沖縄はなんのための「要石」だというのだろう?著者は、かつて海兵隊員として沖縄に駐留し、いまふたたびそこで暮らしている。憲法9条について、日米安全保障条約について、米軍基地について、オバマのノーベル賞受賞演説について、9・11以後のアメリカの対テロ戦争について-沖縄から、日本とアメリカをみつめる。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「Keystone」を「要石」と訳したために D.ラミス『要石:沖縄と憲法9条』再考 : 池田香代子ブログ
    http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51501810.html

    要石:沖縄と憲法9条 | 晶文社
    https://www.shobunsha.co.jp/?p=1107

  • 借りたもの。
    元アメリカ海兵隊著者による、憲法9条の実現性と沖縄から米軍基地の撤退を訴えている一冊。
    しかし…どれも断片的で整合性・一貫性が無いように、私は読んでいて思った。
    複数の視点から武力に頼らない“積極的平和”の実現を目指す(可能とは一言も“言っていない”)ことを提案しているだけだった。
    結局のところ、「日米の思惑が互いに絡み合っていて、米軍基地の撤退も反戦も成り立たない」「憲法九条は理想論」のように思った。
    沖縄の立ち位置について色々言っているが、最終的には「先の戦争でアメリカに“植民地化”された沖縄、さらに日本国内でも沖縄の人たちは“差別されていて”、ゆえに“米軍基地を押し付けられている”」という論調になっている。それは『日本にとって沖縄とは何か』( https://booklog.jp/item/1/4004315859 )と同じだ。しかし……本州の人間は、本当に沖縄の人たちを差別しているのか?私は理解に苦しむ…そう言ったら私は「くされないちゃー」なのか?

    話を戻すと、この本の根底に「アメリカ海兵隊が海外で軍事行動をすることへの疑問」があるように読んでいて思う。アメリカの国益や、そもそも海兵隊員に何のメリットもないのではないか?という……
    ベトナム戦争以来、そうした思いがアメリカには燻っているのだと思う。(日本の敗戦はアメリカに変な自信をつけさせたんだろうな……)
    しかし、アメリカ軍側の実際のリスクとメリット検証は特にされていない。
    読み進めていると、アメリカによる、諸外国への軍派遣とローマ帝国の滅亡と重ね合わせている節があった。
    史実と先人の名言の引用を用いて……
    沖縄に米軍基地があるのは「征服権」の延長であると、それに対する遺憾を感じる。(2014年ロシアのクリミアへの対応もそれだと思うのだが…国力ないと覆せない事実。)

    この本が出版されているのは2010年。丁度、鳩山政権が沖縄の米軍基地の県外とかグアム移設を公約に掲げた時期だった。その実現性を客観的に検証したものかと思ったら違った。
    「他の場所に基地を置けるのに、反対運動が起こるから置けないと言っているのだ」と書いていたが、その客観的検証は何処にもなかった。移設の話は現実に上がっていない事と、それ故に検証ができないから、何も書けないからだと思うが、感情論過ぎて残念だ……
    規模は確かに違うけれど、本州にも横田基地あるのに…
    昔の日本の最南端だった大宰府は軍事基地でもあった訳で……そして佐世保にも米軍基地はある。

    この頃は、前大統領であったブッシュ政権による「テロとの戦い」から10年。10年も派兵していることへの疑問も相まってだと思う。

    『まりんこゆみ』( https://booklog.jp/item/1/4063695107 )の第30話( https://sai-zen-sen.jp/special/4pages-comics/marine-yumi/30.html )にもあるように、確かに世界各地へ向かう要石ではある。
    米軍基地が移設できないのは、アメリカ側の方針があるためではないのか?(日本の国防もあるけれど、それは二の次)それについては何も書かれていない。
    そして日本の国防については書かれていない。
    よく言われる日本の外交下手を指摘しているだけだ。(否定できない!!)
    日本の国防やシーレーンの視点から見たときに沖縄はとても重要なんだが…
    佐藤正久『高校生にも読んでほしい海の安全保障の授業』( https://booklog.jp/item/1/4847095189 )参照。
    穿った見方をすれば、沖縄から米軍基地が撤退するのは、アメリカの国力が衰退した時だ。
    1995年、フィリピンで米軍が撤退した後まんまと中国に取られたミスチーフ礁( https://globe.asahi.com/article/11948006 )、2021年、アフガンでの騒動を見てどう思うのだろうか?

    日本の平和主義に対して苦言を呈している。
    憲法九条を掲げながらも日米安保に――沖縄の米軍基地――よって成り立っていることを指摘して。
    積極的平和とは程遠いと……つまり積極的平和とは非現実か。
    自衛隊の基地については、この著者も言及していない点からも、日本の国防は考えていない。

    個人的には第一章の「戦争論」の部分を興味深く読ませてもらった。戦争とは何かということのグローバルスタンダードな考え方がよくわかる。また、兵士の「人を殺すという事への苦悩」とPTSDへのケアの不十分さ( 『NATIONAL GEOGRAPHIC (ナショナル ジオグラフィック) 日本版 2015年 2月号』 https://booklog.jp/item/1/B00S6RSJXE など参照 )も訴える。
    文中で紹介されている、クリス・ヘジェス(ヘッジズ)『本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄』( https://booklog.jp/item/1/4087734102 )も目を通しておきたい。
    ……戦闘のプロからすれば、マーシャルアーツのイロハも無い民間人など殺しやすい存在であるのは確かだ。

    …10年経つと、色々と情勢も変わるし、視点も変わってくる。
    また、複数の視点から論じるのも大切だが、「戦争」について考えたとき、どこから見てもジレンマは生じてしまう。立場であったり勝敗の結果であったり……
    「国防」「外交」「反戦」は地続きでありながら、分けて考えないといけない……ような気がしてきた。
    さらにマクロな視点で見ると「経済の発展」が起こらないとそのどれもできないが、経済の話は抜き。

  • 題名にとっつきにくさを感じつつだったがが文体は平易でかつ気付かずにいた視線を提示されて読進。沖縄の基地問題はつまりは日本の安保問題なのだという当然すぎることにたじろいだ。

全4件中 1 - 4件を表示

C・ダグラス・ラミスの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×