本当の戦争 すべての人が戦争について知っておくべき437の事柄

  • 集英社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784087734102

作品紹介・あらすじ

2002年度ピューリッツァ賞を受賞したニューヨーク・タイムズの記者が、15年間、戦場特派員として体験した、戦場のすさまじい姿を伝えるQ&A集。

感想・レビュー・書評

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  • 借りたもの。
    アメリカが関わった“戦争”について、Q&A形式で解説してゆく。
    数字、データという形で淡々と解説される。
    書き手の政治思考や、ドラマチックな要素は極力そがれた文体は、他に見ないものだと思う。
    軍隊の維持に必要な費用(国防費はGDPの3~6%!)、戦争にかかるお金の話まで。アメリカの軍需産業にどういったものがあるのかも言及されていて、断片的であるが、どの情報も興味深い。
    報道で見る戦争の映像、戦争映画で感じ取るもの、帰還者・生存者や巻き込まれた民間人たちの体験談とは異なる、“客観的”なデータとして受け止められる。感情論にならないこと――冷酷とも受け止められるような――が、日本の戦後教育――反戦教育?――には見られない、語られない部分を映す。

    軍隊という組織内部の疑問。
    アメリカ志願兵の動機の内訳、人生設計、軍内部での人種差別問題の比率…さらには女性兵士(陸上戦闘兵科に加わることはできないらしい)や従軍する女性“ヴィクトリー・ガールズ”の存在なども記されていた。

    戦場で兵士が置かれる状態。
    戦闘中だと給与が割増しになったり、無税になるとか。
    食糧事情や衛生面、お手洗い事情も。……有事である以上、前線で任務をこなしているときは劣悪になるとは思うが。
    やはり著者がジャーナリスト故か。メディアの戦争報道についての問題は「必ずしも信用はできない」とぼかす。取り上げたものには、敵勢力への情報戦の一端を担うことにもなりうるという、自負を感じさせた。

    負傷するという事と死の恐怖。
    現代兵器とまた感覚が変わるものもあると思うが…スペイン内乱で狙撃を受けた兵士の体験記の引用は生々しい。衝撃を受けた後の虚無感。陸の被弾による失血死、海空の密閉された空間での火傷の恐怖。
    また、近現代兵器の爆弾の威力とそれで想定される死について。手榴弾、地雷について等。

    大量破壊兵器について。
    野上武志『まりんこゆみ(6)』( https://booklog.jp/item/1/4063695573 ) でABCって言われていたものはNBC( 核・生物・化学兵器 )となっていた……
    現在、核兵器は“戦略兵器”であって“戦術兵器”として「使われる可能性はまずない」(p.106)との事……
    それとは別に、汚い爆弾(通常爆弾を放射性物質でくるんだもの)という存在……こちらは意外と日本では認知されていないのでは?

    戦闘中に体験すること。
    S&TOUTCOMES『民間人のための戦場行動マニュアル』( https://booklog.jp/item/1/4416519354 )にあったような状況の話や、具体的な行動の話は乏しい……どちらかと言うと、PTSDに関する疑問や、道徳的なもの、罪悪感についての質問が多かった。
    その次の捕虜について。
    No.328 捕虜になった場合の心得について、‘姓名、階級、生年月日、社会保障番号以外の情報を明かしてはならない(p.158)'は、OVA『マクロス ゼロ』( https://booklog.jp/item/1/B0017T3PX2 )でもあった描写……
    レイプに関しては……もう読んでいて辛い。しかし、現実として起こり、長い歴史の中で黙認され続けた犯罪行為。

    兵士の死と死後の保証について。
    アメリカの制度に関してが中心だが、「戦死者への敬意」を感じる……

    戦闘の興奮状態故か、性衝動の事、帰還後のコンプレックスの話も紹介されていた。

    C・ダグラス・ラミス『要石:沖縄と憲法9条』( https://booklog.jp/item/1/4794967543 )にて紹介されていた本。

  • レビュー書いたのに消えてる。今更書く気しないけど…
    戦場における生々しさが書かれた本というのも多くあると思うけれど、この本が初めてだったかもしれない。興味深く読んだ半面、割と興味ないことも多く書かれていて飛ばし読みした。

  • 徴兵制ではないし言論の自由、人権尊重(訴訟社会、司法市民参加、市民の武装権の確保)あるから待遇は恐らく (サウジアラビアなど産油国は別にして) 世界一良い(一人当たりGDPも高いから武器装備も高級)アメリカ合衆国軍であっても平時でもブラック企業より下、海外戦場に派遣されると恐怖にかられる最前線以外は闇雲にセックスを娯楽にしなければならないほど悲惨であるらしい、ただ90年代の湾岸戦争からはドラッグ使用は改善されたという。歩兵で従軍する場合、死亡か快復不能になる率はざっと20%それ以外の10倍。歩兵は消耗品…
    (10年前)中国の兵力は世界一で240万、アメリカが140万、インド130万、北朝鮮100万、ロシア90万(日本の自衛隊20万)…全世界で2億1300万の将兵がいる。独裁軍事権力の中国がもっとも恐ろしいが、国民党との内戦は70年以上の昔、《社会主義の大義》も色褪せた今世紀、大規模な正規軍同士の衝突は無いと思いたい。
    戦闘中の給料(月150ドル割増)、捕虜になった場合の給料(払われる)、部下による上官殺害(ベトナムで死んだ士官の20〜25%が下士官に殺された)、外国籍の米兵(140万人中3.7万人)、味方の誤射(20世紀の米軍死者の15%、湾岸戦争で失われた全戦闘車両の77%)とか。「自分が違法だと判断するような命令を上官から受けたら?」に対する回答は「実行を拒否しなければならない」。著者は戦場経験豊富なニューヨーク・タイムズ記者。

    「核保有国からの脅迫に、核武装以外で対抗できるか?」「七十年以上前の恨みを訴える国は、侵略の前段階ではないか。現に総連ビルは差し押さえ、公開入札ののちも明け渡されていない」「大韓民国には平和憲法があるのか?北朝鮮になすがままにされて。その余波が日本にも」などが日本の問題と言えましょうか。

  • 戦争に関するいろんなデータが出されるんだが、統計基準も引用方法もとりあえずこの日本語版にはまともに例示されてないし、一応唾付けながら読むしかない
    やや疑問に思えるデータもいくつか出てくる
    一応従軍記者だが兵隊の経験もないわりには、まるで自身の戦争の経験から語るような踏み込みすぎた発言もある
    それでも、おそらく真面目に取材を繰り返して資料を読み込んだのだろうと仮定して、それなりに評価します

  • 図書館

  • 戦争とは1,000人以上の命が奪われる激しい紛争と定義。
    アメリカ軍でホモで除隊されたのが3,000人くらいいるそうだ。
    戦争ではレイプは頻繁に行われ、戦争犯罪とみなされているが、ほかの犯罪ほど重大視されていない。

  • 小説の参考に、と買った本。
    淡々と事実だけが書かれていて、読み物としても面白かった。

  • 戦争の疑問がこの本を読めば少しは解決するかも・・・

    改めて戦争は絶対に駄目だっと感じる。

  • イメージでは伝わりづらい戦争の現実を
    データと実例で解説してある本。

    テレビや映画では見えてこない
    本当の戦争の現状をしることができる
    貴重な一冊ではないでしょうか。

  • 戦争に関するFAQとして網羅的で解答も容赦が無いが、目線が完全にアメリカのものなので真実といいながら一面しか見えない。

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