▼あらすじ
存在感が薄いのに犬にだけ異様に好かれる体質の真純は、犬用品を扱う会社の社長・大神に気に入られている。
大神はやたらスキンシップが多く、人付き合いの苦手な真純は困惑気味。
しかし、家に招かれ押し倒されて、真純はようやく理解する。
真純から放たれるにおいに興奮した大神にはふわふわの耳ともふもふなしっぽが…!
なんと大神は犬の神様で、真純は犬を惑わすメス犬フェロモンの持ち主だった――!?
***
★4.5
葵居先生の作品を読むのはこれで5冊目です。
出会って直ぐにエッチという展開の早さには少し吃驚しましたが、それでもあまり唐突さを感じさせないのは心理描写がお上手だからでしょうか。
本来、展開の早い作品って読書意欲が削がれてしまって好きじゃないのですが、こちらの作品は然程引っ掛かる事なくすんなり受け入れる事が出来ました。
エッチこそ早かったですが、ストーリー自体は割としっかりしており、薄っぺらさを感じさせないのは流石葵居先生といったところ。
個人的に人外モノが大好きなので、最後まで比較的楽しく読めました。
何より攻めがとても魅力的に描かれているなぁと。
前回読んだ「初恋ウエディング」の攻めは個人的にちょっと残念に思う所があったのですが、今回の攻めは第一印象からバッチリで、とにかく包容力が高く、最初から最後まで受けを溺愛しっぱなし。まさに理想の旦那様って感じでした(笑)
興奮するとケモ耳と尻尾が出てしまうのですが、それが男前な攻めの見た目に不釣り合いでほっこりする反面、狼の姿に変身した攻めの姿は凛々しくてかなりグッと来ました。
途中までは★5でもいいくらい楽しく読めていたのですが、唯一残念だったのが攻めの秘書、木村の存在。
BL小説に出て来る攻めの秘書って、大抵好感の持てる良いキャラだと思うのですが、こちらの作品に出て来る攻めの秘書はめちゃくちゃ嫌な奴です(笑)
辛辣なのは最初だけなんだろうな〜と思いきや、読み進めても受けに対する態度が軟化する気配全くなし!
とにかく受けをずっと目の敵にしていて、事あるごとに嫌味を言ったり悪口を言ったり、挙げ句の果てには少しでも会社の力になろうと真剣に努力する受けに向かって退職するよう勧めたりして読んでいる此方の方が嫌な気分になりました。(受けが全く反論しないので尚更…)
最後こそ渋々攻めとの関係を認めましたが、本当に渋々なので木村には最後の最後まで好感が持てず、読んでいてかなりストレスを感じるキャラでした。
あとは当て馬キャラだった受けの親友の扱いがちょっと可哀想だったのと、何だかんだ上手いこと言いつつも攻めが受けに惹かれた一番の理由ってやっぱりフェロモンなんじゃない?っていう思いが最後まで消えなかったので、★を半分減らしました。
でも、ストーリー自体は普通に面白かったですし、エッチもしっかり葵居節が利いていてWで楽しめたので満足度は高めです(^^)
全体的に見ればかなりあまあま寄りの作品なので、溺愛系のお話が好きな方はそれなりに楽しめると思います。
因みに小禄先生のイラストは表紙を見て期待した通りとっても美麗で、挿絵を見るのが楽しみでした。
あとがき後にもがっつりイラストが載っているので必見です☆