冲方式ストーリー創作塾

著者 :
  • 宝島社
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本棚登録 : 379
感想 : 38
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  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784796646581

作品紹介・あらすじ

キミにも『マルドゥック・スクランブル』が書ける!ライトノベルからゲームシナリオまで創作手法のすべてを包み隠さず徹底伝授。

感想・レビュー・書評

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  • 冲方 丁先生がご自身がお書きになったプロットを基にストーリーの作り方やコンテの仕方等が書かれた参考書です。

  •  小説の書き方的な本はディーン・R・クーンツ「ベストセラー小説の書き方」とキングの「書くことについて」に続いて3冊目。番外編で江戸川乱歩の「探偵小説の種別」もかな。ちなみに冲方さんのラノベは読んだことがありません。

     キングが書き続けるという精神論で、クーンツは起承転結やテクニックについてで、この本は作者が作品を制作する際にどんなメモや思考で組み立てていったかが詳細に記されている。料理本で言えばレシピみたいなものだった。見ながら真似して材料を揃えていけば、自分でも短い作品なら書き上げられるかもしれないという気持ちになってくる。作者も砕けた文体や、終始読者を応援するような姿勢で一生懸命創作人口(作家人口?)を増やそうと考えていることは伝わる。小説を書くことはそんなに難しいことではないよと言ってくれる。

     種書き(テーマ・梗概・人物)→ 骨書き(プロット)→筋書き(初稿)皮書き(推敲)などを行い、作品を最後まで書き上げる重要性が書かれていた。
     また、作者の成長と共に作成方法の変化や調整方法が異なっていて、色々なやり方が見られて楽しい。

     とりあえず作品ができた後に、作品に指摘が入ったらこうしたらいいよという具体的なアドバイスもあり、せっかく書いた作品がDisられても腐らないでいられるようなフォロー体制も充実している。

    「説得力がないね」→ 自分から反対意見を言ってしまう。「ありえないんだけどね、現実的ではないんだけどね……」の前置きを作ってからストーリーを進める。力技としてはピーターパンのティンカーベル作戦(いると思ってくれないと消滅してしまう方法で読者を加害者に)

    「面白みがない」→ 色々と過剰な設定にしてみる(人物・行為・現象・数・描写)
    「面白みがない2」→どこかしら不足させる 
    「面白みがない3」→逆転させる 洗剤の混ぜるな!危険(まぜろ!安心)

    「感情移入できない」→仏教用語の四苦八苦を使いましょう(大抵の人間の喜怒哀楽はここから生まれます)

    「文章が下手」→既存の小説をいじって遊んでみる

     読み終わる時には、なんとなくできるかもって思える不思議。さすがプロの文章。

  • 借りたもの。
    冲方丁先生による、ご自身の作品の創作手順解説。
    『マルドゥック・スクランブル』『カオスレギオン』『蒼穹のファフナー』を基に、どの様に物語を構築していったかを解説。

  • クリエイターがなんのためらいもなく


    自分の創作過程を見せているのが


    とても面白いし、スゴいなと思う


    しかも、今とても活躍されている方


    本気で業界をなんとかしたいという熱意が伝わってきて好感も持てしまった

  • もう一度読み返す

  • ストーリーの創り方が書かれた本です。
    平易な文章でさらっと読めて面白い。著者、冲方先生の文章力が伺える。

  • 2013/06/09
    自宅

  • 書き方本をたまには読んでみようということでブックオフで手にしました。あの「マルドゥック・スクランブル」の書くハウツー本です。

    寸劇式創作塾

    本書は表紙で受けるイメージ通り、とてもライトで読みやすい本です。「こうしなければいけないのである」とか格式張った言い方ではなく「僕はこうやってるし、このやり方がオススメだよ」といった風味で書かれてる、お手軽3時のおやつ風ハウツー本です。難しい本の合間にサクッと読めます。

    小説を、気楽なモノにするということ。

    さて、本書の目的は、冒頭、表記では9ページに書いてあります。

    本書の最大の目的は、小説を、気楽なモノにするということ。特異な才能や、優れた感性を持った人間にしか小説は書けないという、古式ゆかしいブランドを、いったん無に帰してしまいましょう、と本書を手にしたあなたに提案したいのです。…略…もっともっといろんな人が、自由に気楽に商売抜きで、小説を書くようになればーぶっちゃけ、本が売れます。 本書p8,9より
    そう本書は創作人口を増やそうという目的の本なのです。ハウツー本の殻を被ったステマ本でもあるのです!

    冲方丁 解体新書

    そんな本書ですが、意外と内容はしっかりしてます。著者の人気作「マルドゥック・スクランブル」をどうやって書いたのかの内訳であったり、著者の仕事のやり方がそのまま書いてあります。企画書の内容からどうやって発展させたか、果ては編集者によるツッコミまで。

    書き方本を読んだことは少ないのですが、ここまで公開したものは見たことないので、とても参考になりました。正直、下手な本より使えるのでは?と思います。

    執筆の6段階

    僕が一番役に立ったと思ったのはこの3段階の書き方です。よく有名小説家に「どうやってこの本を書いたのですか?」って質問される方がいると思います。その答えとして「僕はまずアイデアを書き溜めるんだ。それで…」というように小説家は答える。その答えを構造化したようなものなのです。どんなものなのか書いておきましょう。

    種書き:作品の種になるアイデア・言葉・イメージを書き溜める。
    (能書き:種書きのうち小説のテーマとは直接関係ないが小説家として重要なもの)
    骨書き:種書きをまとめること。設定書・企画書。
    筋書き:プロット。
    完成させるには、さらにもう2段階踏みます。

    肉書き:執筆。
    皮書き:推敲。
    どうです?分かりやすいでしょう?大体、こんなものだろうなとは思っていましたが、こうやって構造化すると非常にわかりやすかったのです。どこで、自分がつまずいているのかも理解しやすいですしね。

    僕の場合は筋書きと皮書きですね。小説以外にも使える技法だと思いますが、どうもこの2つが僕は弱い。特に皮書き=推敲はSPBS作家・ライター養成講座でも散々指摘されました。この文章もあとで推敲しないとな 笑

    創作の3項目 小説の5項目

    その他、著者はデビューする前からずっと指針にしてるものがあるそうです。

    創作の3項目:知識・技術・感性
    小説の5項目:主題・世界・人物・物語・文体
    僕にとって大事なのは創作の3項目です。知識は常につけていっているのでまだ良いのですが、今、圧倒的に足りないのは技術です。技術書を読むのが苦手だったのもあってほぼ技術といえるものがない。あったとしても足りない。写真と文章。これから伸ばそうと思います。

    小説の練習

    以上のやり方を駆使して、どうやって物語ができてきたのか。「マルドゥック・スクランブル」の他に、「カオス・レギオン」、「蒼穹のファフナー」の創作過程を明らかにして説明してくれます。作家の体験談がそのまま語られるのは非常に楽しい。

    それはとにかく、本書はその他にも小説の練習方法を紹介しています。主題探しのコツやテレビ番組遊び、擬人化遊び、四コマ漫画、パロディなどお役立ち情報満載でございます。さらに、ツッコまれたときようの技法も紹介されていて、いやーもう出血大売り出しですな。お買い得ですよ、旦那 笑

    最後に

    そんなこんなで、書き方本として本書は非常にオススメなのでございます。これは買いでっせ!旦那!(それはもういい 笑)

    お粗末さまでした。

  • 作り手の手法を読んだのはこれが初めてでした。登場人物が自然に動き出すという人もいれば、緻密に設定を考えた上で説得力を出していく人もいる。最後は人それぞれになってしまう特殊な職業だとは思いますが、その一面を垣間見ることができ、楽しめました。

  • 「蒼穹のファフナー」の製作裏話が読めると思って読んでみました。

    個人的に作家さんというのは思いついたらいきなり書き出してしまうイメージがあったのですが、むしろ逆で、「ここまで考えて作っているのか」と痛感しました。

    話を作る際の「過剰にする」「不足させる」というポイントは、作品を見るときにも使えそうで、新しい観方を得ることができたのが最大の収穫です。

  • だいぶ前に読んだんですが、うっかり(?)再読してしまったので感想などを。初心者向けの小説作法本だと思ってたんですが、改めて読むとけっこう奥が深かったです。冲方委員長油断ならない(汗 というのは、冲方さんが自作のプロットや設定を取り上げて説明して下さるんですけど、マルドゥック→レギオン→ファフナーと進むうちに、冲方さんの作業に無理がなくなってくるというか、コツを飲み込んで来たっていうか、そういうのを時系列見せてくださった作法本は未だかつてないなぁって感じです。初読では全然理解してませんでした、猛省orz 巻末の、作品書いて人に読んでもらったらこんなこと言われちゃいましたてへ♪集みたいなのも、面白いデスヨ。冲方さんのHPは偉い難しい(私にはorz)ですが、この本はとても読みやすいです♪ そういや、なんかこの本の加筆版が出たらしいw

  • 2010年の本屋大賞受賞作家である沖方丁(うぶかたとう)さんが、自分の作品の創作方法を解説してくれる本。
    プラス、小説書きたいんだけどどうしたらいいのーって人にアドバイスしてくれる本。

    「この作品、こういう構成、こういう思いで書かれてるんだー」というのがわかってよかった。
    けれども読んだことない作品の解説はわからないので飛ばしてしまった。
    「マルドゥックスクランブル」「カオスレギオン」「蒼穹のファフナー」を読んだことがある人なら楽しめるかと思う。
    (自分は「カオスレギオン」を読んだことがなかった)

  • まだ冲方氏の作品を一冊も読んでいないけど、このハウツー本から、すごい世界が広がってることは想像できて、読みたくなった。よくもまあ、こんなに人物像とか設定とかを練り込めるな・・・。
    冲方学級委員長(←本上の設定)の、実際の創作過程を見つつ、実践的なトレーニング方法なんかも紹介した、かなり実用向けノウハウ本。
    なにより冲方氏の後進育成意識というか、小説業界を盛り上げよう!という熱意が感じられる。

  • で、その創作秘話を読む。すごく悩んで書かれていること、元は短編のつもりが大長編に、ということがわかっていろいろ参考になりました。
    とても「よい本」覚えておこう。
    p51
    「誰からも期待されず、ただ黙々と書くというのは、やはり、小説を書きたい人にとって、もっとも大切なことなのかもしれません。」

  • 映画とかイラストのメイキングを見るのが好きな自分としてはすごーく面白かった。気軽に、繰り返しくりかえし読める。

  • 最後まで読んでも、ずっと、「今読んでる」な一冊。

  • 「冲方式」というだけあって、冲方丁作品を読んでない場合は言っていることがわからない。
    その点が「創作塾」としては不親切だと思う。

    逆に冲方作品(特に「マルドゥック・スクランブル」)が好きな方は「あれってこうやって作ってったんだ~」と舞台裏を見るような気持ちで楽しめる。

    結論としてはファンなら読んでみる価値はあるけど純粋に小説指南を期待してると違うんじゃないかな、と。

    なおエンタメ小説指南やシナリオ作法で言われるような「面白い物語を作る」基本は網羅されてるので、その手の本を一冊も読んだことがなければ全く役に立たないということはないでしょう。

  • あの「天地明察」の冲方丁による小説の書き方本

    著者の人間性が表れていて楽しく読めたが、本書の中のプロットの作り方で紹介されているライトノベルを読んだことはなかったので、その辺りを読むのが辛かった。

    ■この本を知ったきっかけ
     本屋でみつけて
    ■読もうと思ったわけ
     なんとなく。小説家による小説の書き方本だったので。

  • 電子書籍

  • 10.5.28 購入・読書開始

  • 自分の中のモヤモヤをアウトプットするヒントはないものかと手を伸ばした一冊。

    具体的な執筆作品のプロットを挙げて自身の体験談を語る形式で進んでいきます。正直元ネタがほとんどわからなかったのでチンプンカンプンな所が多いです。でも物語の仕掛けを作るヒントはなんとなく掴めそうなものはあった気がします。
    著者の作品が好きでその生まれる過程が見たい方が読んでも楽しめると思います。

  • 実用書?に入るのだろうか。

    ライトノベル作家 沖方 丁さんが書いたライトノベルの書き方についての本です。

    作者がどのようにして作品を作っているかを紹介しています。
    またストーリーを創作する際のテクニックや作家というものについても意見を述べています。

    面白いけれどハウツー本としては弱い印象。
    でも創作のキッカケになるような気がします。

  • 小説やシナリオを書きたい人にはオススメです。
    業界の現状を盛り上げたいという著者の情熱が感じられます。
    従来の小説家になるには?というハウツー本よりも敷居は低く
    内容も読みやすいです。

  • 創作系のサイトでおすすめされてたので読んでみました。
    冲方さんが本当に小説界を盛り上げたいのが伝わって来ました。
    勇気づけられました。よしよし。

  • なんとなくで買ったけど超面白かった!
    鮒キャラ全員のサヴァン解説とか!
    うぶちん的な女性の書き方(異性の書き方)はとても参考になったよ。
    どうりで男の人がバロットみたいなキャラを書けるわけだわ。

  • 種書き、筋書き、などの手順が面白かったかな。
    なんとなく自分でやってはいたけれど。
    フォーマット化していくって大事だな、と。
    あと、メディアミックスについて考えさせられました。

  • 『マドゥック・スクランブル』『カオスレギオン』や、アニメ『蒼究のファフナー』の冲方丁(うぶかたとう)先生著作の“お話の作り方”本。
    親しみ易い砕けた文章で、アイディアのメモやキャラ作り、ストーリーの構成などを紹介されています。また、前述の作品のプロットがまるまる載っていたりするので、参考にし易いと思います。

  •  ライトノベルで活躍(?)している沖方 式(蒼穹のファフナーの原作者)が、自分の小説を書く際のノウハウをポップな語り口調で書き記した本。
     いわゆる文章作成のためのノウハウ本(文章読本という)は、基本的に過去の文豪たちのテクニックの紹介や解説など、かなり高度なレベルでのノウハウ本しかなく、初心者にはとっつきにくいが、この本はとりあえず書いて見たい!と思った人が手軽に読めるように書かれている。

     実際に過去に自分が書いた小説をどういったプロセスで書き記したか丸ごと載っていることも興味深いが、それ以上に実際に書くにあたって、いろいろと考えてしまう人に「まずはパロディでも何でもいいからとりあえず書いて見よう!」と明快に答えを打ち出すスタイルがとてもおもしろい。
     さらに、実際にかなりありそうな”周囲からの心無い一言”に対して、個別に対応策を提示しているのも初心者にとってはかなり心強いはず。
     おしむらくは、その軽すぎる文体ゆえに文章そのものに関するノウハウは少なかったように感じるが、それはまあ、自分で書くようになってから他の文章読本を読めばいいだけ。
     書いて見たいけど何からやっていいのかわからない!という人にはお勧めの一冊。

  • 小説家を目指していてもそうでなくても面白い一品。
    お話を書く人にとって、励ましになるし参考になるし、いい事づくし。
    書かない人にはむしろ“こういう物語”として楽しんでもらいたいかもしれない。
    お話が創りたくなる本です。

  • 内容に貴方もびっくりするはずですっ!

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

冲方丁の作品

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