人工知能解体新書 ゼロからわかる人工知能のしくみと活用 (サイエンス・アイ新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797391695
#AI

作品紹介・あらすじ

人工知能は何ができるのでしょうか。そして、何ができないのでしょうか。
本書は、人工知能のしくみと、その活用について、産業・学術両面から解説します。

感想・レビュー・書評

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  • 2017年刊の新書です。昨年、インパクト十分に登場した人口知能チャットボット・ChatGPT。本書はこのChatGPT前夜の人口知能事情についての内容になっています。たとえば、何もないところから急にChatGPTが登場したようでいて、先達のようにしてIBMのWATSONというAIシステムが稼働しているのですが、そのあたりの事情について知っていくことも、本書の大きな柱の一つとなっているのでした。

    ディープラーニングやニューラルネットワーク、これらの根本的な仕組みを理解している技術者は、世界でも数百人しかいないと言われている(本書刊行当時)とあります。そんな技術無しに、今日のAIは生まれませんでした。インターネット世界のオープンソースであるビッグデータを読み込むことで、AIは学習していきます。その仕組みとして、ニューラルネットワークという人間の脳をモチーフに設計された仕組みでAIの中身は構成されている。ビッグデータからの情報の入力と、その出力の間の中間層を何枚も増やしていくことで、AIによる分析・解析の精度やバリエーションが増えていくのですが、これが簡単に解説したニューラルネットワークというものです。ディープラーニングも、何十枚もの中間層を通っていくことで、AI内部に細かく分類しつつ学習していくことのようです(ただ、WEBの記事か他の本かで読んだのだと思うのですが、ディープラーニングをどうしてこういう優れた結果を出すのか、についてはきちんと解明されていないのだそうです)。

    前述のWATSONはみずほ銀行で稼働していて、将来的に(月日が経っているのでもう実現しているのかもしれませんが)、ロボット・PEPPERと連携して、顧客に金融商品を提示したり投資の提案をしたりできるようになる、とありました。表だってAIとは呼ばれず、コグニティブシステムと呼ばれるWATSONの機能は多岐に応用可能で、たとえば音声認識と解析機能、データベースを利用して、コールセンターでの電話担当者の補佐をしたり、ビジネスメールの文面を考えてくれたり、ツイートやメールなどの文章情報からその個人の性格などを分析したりできます。WATSONは王道を行くAI世界のトップランナーだったわけです。

    また、WATSON以外のAI技術では、バイクや車に感情を持たせたり会話をできるようにしたりする研究開発をホンダやカワサキがやっていると紹介されていました(僕の世代としてまっさきにナイトライダーが思い浮かびます)。他には、ビートルズの楽曲を学習させたAIがビートルズ風の曲を作曲できてしまうことや、就職や転職の求職者と会社のマッチングアプリについてや、セキュリティAIや、ファッションやお酒などを個人の好みを学習しつつ提案してくれるSENSYというアプリなどが解説されていました。

    AIの知能レベルが人間を超える日は近いなどとも言われます。人間を超えるその分岐点をシンギュラリティと呼び、それ以降のAIの思考や動向は予測不可能とされていたりもします。おっかなびっくりに感じる話が急速に現実化してきているわけですけれども、それでも「覆水盆に返らず」的に、もう開け放ってしまった技術ですから、あとはどうやってコントロールするか、あるいは付き合っていくかです。

    本書は、刊行当時としては最先端のAI本だったのでしょうが、今となってはAI発達の基点を学ぶようなかたちとして存在していると言っていいでしょう。AIの基本について知りたい、生成AIのその歴史の初めのほうを知りたい、そういった方向けです。ただひとつモノ申したいところがあります。誤字・タイポなどがやけに多かったのです。10か所前後は見つけました。こういうところこそ、AIを使うべきなのではないでしょうかねえ。

  • 007-K
    閲覧新書

  • 人工知能の発刊時点での、社会での採用状況を分かりやすく説明されています。IBMのワトソンに代表される人工知能タイプについて特に詳述され、その運用実績についても解説されています。AIの構成要素の説明もあるので、ザックリ人工知能について理解する良書です。

  • 新書だし、こんなもんか…

  • 人工知能の仕組みについて、非常にわかりやすく説明がされている。

    「ディープラーニングという構造のニューラルネットワークを用いた機械学習の実用化がはじまった」ということで整理がなされており、「人工知能」という曖昧な表現を使うことを避けている。

    一般的に脅威論として語られる際のAIは「AGI」を指しており、ここにはまだまったく到達するようなレベルではない。

    その中でよく用いられるCNNやRNNについても、よく理解ができた。それぞれ得意分野、非得意分野に分けて説明がされている。

    感情を持たせている、というものについてはサービスの味付けの部分だろうなーと思う。あまりこれは本格的に考えないほうが良い気がした。

  • 書名通り人工知能についての本。
    うちの会社でも人工知能を使って何かやれないか考えてるそうだけど、はたしてどうなることやら。
    まあ、手軽に使えるようになるのはいいことだと思う。いろいろ活用されてるようで、社内向けチャットボットなんてものもあるらしい。どういうとこが使ってるんだろうか。
    気になったのは、組み込み型AIボードの「JETSON TX1」。AIというと、ソフトの話と思ったけど、そうでもないのか。IoTの製品にもいろいろ組み込まれていくんだろうな。
    後、オートバイの感情を可視化する取り組みをしているところもあるんだとか。なんかいろいろ意味がわからないけど、それって本当に感情を読み取れるといえるのだろうか。
    それと、正直どうでもいいことだけど、三菱東京UFJ銀行が東京三菱UFJ銀行になってるのが気になった。何箇所がそういう記述があって、唯一、公式からの引用っぽいところは三菱東京UFJ銀行となってた。誰か気づけよ。

  • 人工知能の定義⇛Watsonの紹介⇛人工知能を用いた技術の事例について説明していく書籍。機械学習の中のニューラルネットワークの中のディープラーニングが人工知能の能力を劇的に向上させた。ニューラルネットワークは、入力⇛入力層⇛出力層⇛出力という構成であったが、ディープラーニングでは入力⇛入力層⇛中間層(これが何層にもなる)⇛出力層⇛出力という構成をとる。かのAlphaGoは中間層が14層もあるらしい。序盤はおもしろかったが、中間後半は最近の技術やサービスの概要を述べるのみであまりおもしろくなかったです。

  •  連続して人工知能について。
     こちらは、今現在の人工知能がどのようなサービスに使われているかを解説している。

     google翻訳も、いつの間にかAI搭載して精度良くなっていたりと、いつの間にか人工知能が社会に入り込んでいる。

     よく「人工知能に仕事が奪われる」ってわけわからんこと言ってるけど、産業革命のときから「機械に仕事が奪われる」って言ってるんで。
     世の中楽になったほうがいいじゃん。

     人工知能のこれからに期待。

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著者プロフィール

 自動運転、ロボット、人工知能、IoT、デジタルカメラ、撮影とレタッチ、スマートフォン等に詳しいテクニカルライター兼コンサルタント。
 ロボット情報ウェブサイト「ロボスタ」でロボットや人工知能等に関するニュースやコラムを執筆中。

 ロボット関連の最新動向を追った書籍『Pepperの衝撃!パーソナルロボットが変える社会とビジネス』(日経BP社)、『図解入門 最新 人工知能がよ〜くわかる本』『図解入門 最新 IoTがよ〜くわかる本』(秀和システム)、『シンギュラリティ』(創元社)、『人工知能解体新書』『ロボット解体新書』(SBクリエイティブ)など、AIやロボット関連ITライターとして活躍中。

●連載コラム『神崎洋治のロボットの衝撃!』(ロボスタ)
http://robotstart.info/author/kozaki
●ホームページ
http://www.trisec.co.jp/magazine.html

「2020年 『図解入門 最新 CASE がよくわかる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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