日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797673289

作品紹介・あらすじ

実は、改憲せずとも、米政府と米軍部の判断次第で「日本をあらゆる戦争に参加させうる」『指揮権』。日本人の誰も知らない謎の権力の存在と異常な成立過程を初めて証明。参院選を直前に、全日本人必読の衝撃の書!

感想・レビュー・書評

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  • 現状の構造が生み出された背景・経緯を膨大な資料から読み解いている。口語体に違和感はあるが、内容は分かりやすい。著者の主義・主張を全面的には受け入れられないが、知っておいて損はない。ただ、少々くどい。

  • 前作の基地、原発についての本は丁寧に読めたが、今作は、結局は前作の反復でしたので、読み飛ばしました

  • 2019年101冊目。満足度★★★★★ 星6を付けてあげたい。日本人必読の書

  • 日本の軍事関係=見かけの「条約」や「協定」+「密約」
    アメリカからの独立を呼びかける少々過激な内容。「フィリピンモデル」か「ドイツモデル」か。日本の憲法改正は「現行憲法の本文はそのまま残したうえで修正条項を追加していく方法」しかないという。朝鮮戦争が平和条約をむすんで正式に終了しないかぎり日本のアメリカに対する軍事面での完全隷属状態は永遠に続き、自衛隊が守っているのも日本の国土ではなく在日米軍と米軍基地であるという。
    なかなか難しい本。「なんとなくあるもの」の存在意義や目的なんかを知ると驚くことが多い。「なんとなく」では済まされないかもしれないけれど、知る機会というのはなかったと感じる。

  • 自衛隊が、本来的に米軍の補完部隊であることは周知の事実であるが、それを条約・協定・交換公文などの外交文書や関係者の回顧録などを紐解きながら、わかりやすく描き出していく。表現は大げさで仰々しいが、大変読みやすく啓蒙的な本である。良くも悪くも、往年の広瀬隆の本を彷彿とさせる。

  • この本は、一度は読んでおく価値があると思います。

    現在の安倍総理は改憲を望んでいます。
    あくまでも日本が戦争を主体的に行うという意味ではなく、国際貢献の義務(集団的自衛権)を果たす事が目的であり、それには現行の憲法では不都合がある、という説明かと思います。

    「なぜ、法令整備や日米安保条約の改正をすっ飛ばして、国家権力の砦となる憲法での制限解除が必要なのか?」
    「なぜ、国際連盟配下の「国連軍への貢献」ではなく、「集団的自衛権の行使」が必要なのか?」
    「なぜ、GHQは9条を認めていたのに、「アメリカの軍事力(基地)」が日本に存在するのか?」
    「なぜ、独立国家である日本が他国であるアメリカに「新たに国土を明け渡して」軍事基地を提供しなくてはならないのか?」

    このような今までは我々が(積極的には)触れてこなかった不合理に対し、公開されている公文書の事実で謎を解き明かしていくので、その語り口はやや扇動的ではありましたが、説得力があるものでした。
    多くの方に手に取ってもらい、今後の改憲の議論を、ただTVの中で流れているものを眺めるのではなく、自身で一度考えてみる材料にして欲しいと思いました。

  • 表題は本書の本筋ではない。もちろんそれ以上の様々なものを含有しているという意味である。

    ネット上にいる右の人も左の人は、この現実を把握しているのだろうかと頭を傾げる(多少なりとも本書の内容を知っていれば、もう少しまともなつぶやきができると思うので…)。

    本書を読む時間がない人でも、せめて「あとがき」だけは読んで欲しい。そして各々自分自身の頭で考えて欲しい(他の誰かの受け売りではなく…)。

  • 前の本が面白かったから借りてみた。
    ねぇ、ねぇ、世界ってちゃんとした条約とかじゃなくって、こんな風に「密約」で動いていいもんなの???
    確かに敗戦国ではあるんだけどさ、もう70年だよ。
    いつまで、こ~ゆ~風なんだろう?
    開国の時の不平等条約みたく、いつかちゃんと解消された暁には広く国民の知るところになるのかな?

  • 民政は許すが軍政は握る。義務は無くして権利を広げる。豪腕ダレスのしたり顔が目に浮かび不快です。占領下で、国連にも未加入の時期、四面楚歌のなか、独立を悲願とする日本を相手に、赤子の手を捻るような交渉で実質日本を属国化する道筋をつけてしまいます。万感の思いはありますが、先ずは、国民が広くこの事実を知り、どう受け止めるのかということです。

  • 『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』
    より内容が難しかった。
    さらっと通しで読んだ後、再度、動画を観ながらポイント確認してなんとかでした。


    著者の憲法、防衛に関する主張は賛同できないんですが
    戦後処理の詳細な記述は前作同様に読み応えある。

    参考文献の記載が5ページもあり、数えたら109冊だった。


    田原総一朗×矢部宏治
    https://youtu.be/0JF5KV30NLc
    矢部宏治・孫崎享
    https://youtu.be/Ds-USLMcwAk
    矢部宏治・天木直人
    https://youtu.be/M4HdaJ60jic
    鳩山友紀夫×高野孟×矢部宏治
    https://youtu.be/0iwbSUEhcQk

  • 沖縄の米軍基地のガイド本を持っておりなかなか興味深いレポートを書く著者だったので、本書のタイトルからこれは何かありそうだと思い手にとった本である。本の冒頭から、横田空域の話、アメリカにとって日本には国境がない話、日本のどの土地でも米軍が接収できるという密約がまだある話など、グイグイと引き込まれていく内容だった。ただその面白さも序章までで、本章に入ると、密約や条約の難しさも手伝って難解な文章からよく理解ができなかったが、戦後日本のこのような状況を形作ったのはマッカーサーではなくダレスだということがわかった。

  • 『日本はなぜ「基地」と「原発」がやめられないのか』を読んでいたのですぐさま読んでみた。
    分かりやすく纏められてる。

    日本の外務省が、体系的に保管、分析、継承することをしないことに.....?????

    民主主義について、自衛隊について、憲法改正 追加条項方式について、勉強あるのみ。

  • 戦後、日本は米国の属国であることを、ある意味自ら選択したのではないか、と思った。今の日本人、特に政治家にこの状況を変えようとする意志があるか。「戦後レジームからの脱却」なんてうそっぱちだとしか思えない。ポピュリストのもとで危険度は増している。

  • 『日本はなぜ「基地」と「原発」を止められないのか』を書いて地域協定の問題をあぶり出した矢部さんの第二弾。本書では、安保条約などの条文化されたものの他にいくつもの日米密約なるものがあり、これが日本をしばっていることを問題にする。その一つは、日本の基地を自由に使えるという密約、もう一つは戦争になったら自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入るという(指揮権)密約である。実際、自衛隊が使っている兵器はそのほとんどが警察予備隊のときからアメリカ製(のお古)で、データも暗号もGPSもすべてアメリカ軍とリンクしているらしい。だから、戦争になったら米軍の指揮下に入るというより、最初から米軍の指揮下でしか動けないようになっている。また、自衛隊が守っているのは日本という国土でなく、在日米軍とその基地だという。オスプレイの導入にしても、その動かし方をみていてもいちいち腑に落ちる点だ。矢部さんは、こうした問題を公開された膨大な英文の機密文書を細かく読むことで繙いていく。その切り口はわかりやすいし読みやすいが、それでも本書を理解するのは決してやさしくない。矢部さんによれば、現在の日本は白井聡さんの言う占領体制の継続ではなく、まだ占領下にあったアメリカへの戦争協力態勢が、いまも法的に継続しているということである。つまり、中国の統一を横目で見て、いまなら朝鮮半島を統一できると思って南へ攻め込んだ金日成の軽率な行動(それはスターリンの承諾を得ていたのだが)が、戦後の日本を含むアジア情勢を大きく狂わせたのである。もちろん、朝鮮戦争がなければ日本の復興はもっと遅れていた。しかし、この戦争は日本が真に独立する機会をも失わせた。矢部さんの結論は、この論理からは必然なのだが、ある意味意外でもある。それは、朝鮮半島統一を促進させるプロセスの中で、日本は一旦は米軍基地を追い払ったフィリピンモデルに学び、アメリカとの不平等条約を解消していくことだと言う。それはドイツが東西統一過程で行ったことでもあった。/本書の冒頭では、六本木の真ん中にヘリポートがあり、それが米軍横田基地と結んでいることが明らかにされる。(横田空域なるものがあり、日本の飛行機がその上を飛べず迂回していることはかなり知られては来たが)また、最後のところでは憲法を改正するのではなく、修正条項を追加するという方法があることが、先の著の批判を受けて紹介されている。政治家の人たちにぜひとも読んでほしい本である。(山本太郎さん、ぜひ国会で質問してください)

  • 日本はなぜ基地と原発を止められないのかの続編。米軍の軍人はパスポート無しで入国できる。横田空域。六本木ヘリポートは東京のど真ん中にある米軍基地。サンフランシスコ講和條約以降、日本はアメリカの属国であり、米軍に逆らえないようだ。米国からの本当の意味での独立が今後の課題。

  • 横田空域と日米合同委員会の存在に驚愕。

  • 確かに戦後70年間、米軍が駐留する日本を攻撃してくる国はどこにもなく、結果として平和の恩恵を受けたかも知れない。それでも完全に米国に従属する占領下の戦時体制(戦争の際、日本軍は米軍の指揮下に入る&戦争か否かを判断するのは日本政府ではなく米国&米軍が日本の基地を自由自在に使える状態)は、もうやめにしてはどうか。このままでは将来、米国が勝手に始める不正な戦争に日本は巻き込まれることになるだろう。過去のしがらみと一線を画すトランプ大統領との交渉はチャンスかも知れないしそうでないかも知れない。

  • 力作。
    相変わらず、題材が凄い。
    前作に比べ、内容が難しい。

  • 1950年7月~12月
    朝鮮戦争での米軍との共同軍事行動で、踏み込んでしまった米軍の別部隊(警察予備隊)としての役割。
    米国の要請通りに突き進んだ憲法違反の道。
    米軍を国連軍だと錯覚した日本政府。
    形式上の非戦の誓いになってしまった9条。
    安倍さんの現状と被って仕方がない。
    倒錯している日本と米国の状況を
    「サンフランシスコ・システム」
    として、一刻も早く終わらせなければならないものとして、実は少なくない米国人が望んもいる。
    読んでいて悲しくなったが、
    日本もドイツ、フィリピンのような本当の独立国家としての道を歩むのか、このまま米国(米軍)の占領状態を続けるのか、日本人一人一人が考えて答えを出すべき問題。

  • 「戦争の脅威が生じたと米軍司令部が判断したときは、すべての日本の軍隊は、アメリカ政府によって任命された最高司令官の統一指揮権のもとに置かれる」(p.127)

    日本は本当に独立国と言えるのか。

    日本の戦後史に潜む闇に迫る!!!

    『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』もご一緒に!


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    https://www.lib.city.kobe.jp/opac/opacs/find_detailbook?kobeid=PV%3A7200488521&mode=one_line&pvolid=PV%3A7200488521&type=CtlgBook

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著者プロフィール

(やべ こうじ)1960年兵庫県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。株式会社博報堂マーケティング部を経て、1987年より書籍情報社代表。著書に『知ってはいけない――隠された日本支配の構造』(講談社現代新書)、『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』(以上、集英社インターナショナル)、『本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること――沖縄・米軍基地観光ガイド』(書籍情報社)、共著書に『本当は憲法より大切な「日米地位協定入門」』(創元社)。企画編集に「〈知の再発見〉双書」シリーズ、J・M・ロバーツ著「図説 世界の歴史」(全10巻)、「〈戦後再発見〉双書」シリーズ(以上、創元社)がある。

「2019年 『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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