深ぼり京都さんぽ

  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797673425

作品紹介・あらすじ

漫画家のグレゴリ青山が、「京都通」たちと知られざる京都をめぐる。京都育ちの著者も知らなかった、「京都の奥」とは。ガイドブックとはひと味違った視点で街の魅力を紹介するコミックエッセイ。

感想・レビュー・書評

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  • 11月1-3日、京都を旅した。2日目は市内のこの本をガイド本にすることに決めていた(遺跡博物館は休館日だからである)。ところが、あいにくの雨!しかもある目的地に着いたところで、大失敗に気がつく。

    以下は、旅レポートから(関連するところだけ)転載。(文庫本の感想は既に書いたので、新たに単行本に書いています。レポートには本来写真をつけていますが、こちらにはつきません。想像で補ってください。以下書名は「さんぽ」に統一。因みに本書は「深ぼり京都さんぽ」だが、文庫本は「京都深ぼりさんぽ」。微妙に題名を変えている^_^;)


    (略)
    二条城。国宝、二の丸御殿。ともかく豪華な造り。中は撮影禁止のために写真はないが、「さんぽ」に書かれていた豪華な豪華な餝(かざり)金具はしっかり見させてもらった。ひとつひとつの鍵隠しなどの餝金具はその作業だけではなくて、その数に圧倒される。全ての柱に上下三つくらいあるから、もしかしてその数は数千を数えるのではないか?(「さんぽ」には大型は数百枚と書いていた)気の遠くなるような作業だったのではないか?欄干彫刻もすごかった。もちろん、狩野派の障壁図の多さにも腹がいっぱいになる。大広間での慶喜の大政奉還の人形などもまぁ面白かった。よく考えたら一度来ていた。おそらく小学校の修学旅行できた。鶯張りのキュキュと鳴る廊下のことしか覚えていなかったけど。あの頃はよく鳴ったけど、今日は雨のせいかほとんど鳴らなかった。

    (略)

    唐門の彫金、透かし彫りはホント職人技だ。長寿を意味する「松竹梅に鶴」、聖域を守る「唐獅子や竜」を、極彩色に彫って飾っている。あまりにも色鮮やかだと思ったら2013年に修復したばかりらしい。ともかく、名前の残らない職人たちの独壇場ではある。
    (「さんぽ」には「瓦は瓦職人、檜の樹皮を使った屋根は檜皮葺職人、その下の唐破風に塗られた漆は漆職人、彫刻は木彫師、そして餝金具は金具職人が手がけとるんや!」と紹介していた)
    京都には未だこれだけの職人が生きている。しかし次の修復の時には、これが可能な保証は何処にもない。

    (略)

    それでも二条城だけで午前中を使ってしまった。この後、「さんぽ」を使って京都ぶらぶらをするつもりだったが、ウエストカバンの中身を見て愕然とする。今日1番の失敗である。「さんぽ」と思っていたが、同じ書店のカバーをかけた他の文庫本だった(旅に持ってきた「ホワイトラビット」でした)。何やっているんだか!そうは言っても、行くべき場所だけは知っている。千本中立売ぶらぶらである。バスを待って、そこの停車場でとにかく降りる。

    いったい何処なのか。この通りなのか?

    (略)

    この後、なんとなく此処が怪しいと細い路地に入ってゆく。当たった。昔の遊郭の匂いがする。そしたら聞いたような店構えがあった。「江畑」。

    コレは「さんぽ」じゃない。その前に読んだ「遊郭に泊まる」に載っていた、元遊郭の焼肉屋さんだ。当たりだ。この辺りが映画「五番町夕霧楼」の舞台だ。

    この店の構えには、まだまだ遊郭の名残りがある。

    まだ店を開けていない。けれども、暖簾越しに中を少し写させてもらった。あの本には、この奥に座敷牢の名残りがあるらしいと書いていた。この店は四番町ではあるが、では周りはどうなっているんだろ。

    「さんぽ」にも載っていた千本日活もちゃんとあった。今でも現役だ。それだけで凄い。

    しかも安い。

    そして五番町を物色すると、明らかに遊郭名残りの「意匠」があった。

    遊女或いは弁天様の鏝絵に鍾馗?の鏝絵。どういう願いがかけられて、どういう想いで見られてきたのか?

    (略)
    以上「深掘り京都散歩」した結果。
    こういうディープな千ブラが出来た一方で、ホテルに帰って「さんぽ」を見れば、「嗚呼!あそこも面白そうだったのに!」という店が山ほどあった(例えば、千ぶら内の古本屋さん、様々な謎の店、京都伝統産業ミュージアム)。これだけで午後が潰れた筈だ。でも、もう行けない。旅とは、たいていはこういうモノなのだ。


    • kuma0504さん
      おじょーさん、はじめまして!コメントありがとうございます!
      おゝ江畑を知っているんですね。もしかして、千本中立売近くの方でしょうか?レポート...
      おじょーさん、はじめまして!コメントありがとうございます!
      おゝ江畑を知っているんですね。もしかして、千本中立売近くの方でしょうか?レポートには、この他に停車場でバスを降りた後に、極楽湯まで行って「此処じゃないな」と思い、北野商店街に入り、宮本武蔵の吉岡一門決闘場の立て看板を観た後、昭和の雰囲気まんまんの喫茶店に入って800円のランチを頼んだら、ホント京都の昼食というランチ(炊き込みご飯にニュー麺、ふた鉢のおばん菜)が出てきて感激しました。

      焼肉屋美味しそうだったんだけど、もう雨に濡れて早く帰りたかったので帰りました。この他にいかにも元遊郭という感じのすっぽん屋もありました。
      2020/11/10
    • おじょーさん
      住んでいるのはずっと西の方でただの京都市民です。たまたま先々週に行った所だったので思わずコメントしてしまいました。
      元遊郭なのは知ってまし...
      住んでいるのはずっと西の方でただの京都市民です。たまたま先々週に行った所だったので思わずコメントしてしまいました。
      元遊郭なのは知ってましたが詳しく店内を眺めた事はないので次に来店する時はじっくり見ていこうと思います。
      因みに千本日活前にはパーキングがあって、ここに車を止めて食べに行きました。
      2020/11/10
    • kuma0504さん
      なるほど!
      江畑の遊郭名残りは、格子もそうですが、玄関先の江畑名のある提灯も独特のものでした。新しいので、まさか遊郭時代のものではないとは思...
      なるほど!
      江畑の遊郭名残りは、格子もそうですが、玄関先の江畑名のある提灯も独特のものでした。新しいので、まさか遊郭時代のものではないとは思うのですが、昔の技術が生きているのかな、と思いました。
      2020/11/10
  • またまたグレゴリ青山さんの京都本。

    こちらも京都人の夫が、よく調べてるなぁ、と言うほどツウな情報が満載。

    京都人のグレゴリさんを案内するその道の達人たちとの交流も楽しく、その全てに訪れてみたくなること請け合い。

    コロナが落ち着いたら、この本を片手にのんびり京都を歩きたいな〜。
    特に伏見の利き水巡りしてみたい。
    2021.5.29

  • グレゴリ青山さんによる京都のディープな情報満載の漫画エッセイ。

    取り上げられている場所は一般的な案内書ではなかなかお目にかからないところばかり。特に、千本中立売(千中)は私が初めて一人暮らしをしたエリアだったので、西陣京極の中にあった映画館のポスターをドキドキしながら見てたなあ、とか、千本通から見える千本日活の映画館がやけに威圧的で、やはりドキドキしながら通り過ぎたなあ、とか、懐かしく思い出した(詳細は本書をご覧ください)。
    紹介されている飲食店はほとんど行っておらず、今思うと残念である。

    この本では、京都の街中(洛中)だけでなく、山科や伏見といった洛外地域や、京町家、伝統産業など、京都に息づく文化についてもグレゴリさんならではの視点で紹介されている。
    他府県から京都を訪れる人にとってはディープな京都の案内書として、京都に住んでいる人にとっては京都の魅力を再発見するきっかけとして楽しむことのできる本である。

  • “濃ゆい"京都の新名所を紹介する
    というコンセプトですが
    ほんまに かな~~~り深いですね
    深ぼりすればするほど
    どんどん湧いてくるのが
    やっぱり京都の凄いところ
    ただでさえ 観光名所がひしめき合ってるのに
    これでは ぼ~~っと
    街歩きしてる場合ではないですね
    重箱の隅をつつけば
    特大のおはぎが出てくるような
    そんな宝の山 それが京都!

  • 京都の深ぼりネタをリアルな京都弁で紹介しているのが楽しい。グレゴリさんはついて行くだけなので、案内役が決め手です。ピカイチは、バラルーシ出身のアナスタシアさんでした。職人の手仕事が生み出す作品をこよなく愛する人で、そのハートが伝わります。紹介されていたお店やお菓子は全く知らないものだったので是非行ってみたいですね。

  • 観光地に関するストーリーもありつつ、やはりこの人の描写はディープな京都をこそ描くのにふさわしいし、それこそタイトルの「深ぼり」を体現するもの。
    とくに三条商店会の元商店の話しや千本中立売を紹介するストーリーは秀逸で、自分も千ブラしたくなりました。次回京都に行った際には立ち寄ってみたい。

  • 百閒先生人形をもって旅行するって発想が素敵!
    これは第三阿房列車の解説に著者漫画での出会い。

    その人の京都案内は、新しい発見がたくさんあった。
    東寺の毎月21日弘法市、コロナが収まったらいろいろ食べ歩きたい。

    さてさて、気軽に京都に行ける日はもう少し先か・・・
    そろそろ旅虫がうずうずしだしている。

  • この本面白い❗️
    今度、京都へ行くときの参考にさせてもらいます。

  • 京都旅のおともにもってこいのガイドブック(マンガ)。京都は年に何回も行くのに、自分なら行かないところばかりなのがまた良かった。二条城の唐門を拝みたい。京都伝統産業ふれあい館で舞妓はんの舞台が見たい。山科の毘沙門堂で紅葉狩りがしたい。yugueの下鴨ジンジャーが飲みたい。さて、次はいつ京都に行こう。

  • 京都生まれのグレちゃんによる京都案内シリーズ(?)新作。今回はわりに普通のガイドっぽい感じがする。一番行ってみたいと思ったのは「下鴨ジンジャー」のある喫茶店。今度古本まつりに行ったとき探してみよう。

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著者プロフィール

京都生まれ京都在住のマンガ家、およびイラストレーター。『グだくさんのグ!!』『スケオタデイズ』をきっかけに、フィギュアスケートファンのフォロワーが急増中。

「2016年 『スケオタデイズ 飛び出せ!海外遠征編 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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