イノベーションのジレンマ 増補改訂版: 技術革新が巨大企業を滅ぼすとき
- 翔泳社 (2001年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
- / ISBN・EAN: 9784798100234
感想・レビュー・書評
-
イノベーションのジレンマとは、
市場で地位を築いた優良企業が、その経営手法が優れているがゆえに、新技術に抵抗することができず、失敗するということである。
優良企業は、持続的技術の向上には優れており、それは企業が直面するイノベーションの大部分において有効である。なぜなら、顧客の求めるものに忠実に、積極的な投資を行い、既存の軸においてよりよい製品・サービスを生み出すから。
しかし、この下で最適化された能力・組織・文化は破壊的技術の前には通用しない。なぜなら、破壊的技術は既存の主要顧客にとっては価値のないものであることが一般的であり、かつ市場も小さく優良企業にとって魅力的な果実を得られるものではないために、資源を投資することが困難だからである。
破壊的技術は、既存の主要顧客の判断軸においては劣っているものが多いが、その特性が逆に付加価値となる市場が存在するはずである。マーケティング戦略によってこの市場を見つけ、そこにおいてより上位市場を目指して技術を向上させることで、いずれ既存の判断軸においても十分な性能に達する。これが、破壊的技術が持続的技術を完全に上回るタイミングであり、破壊的技術を無視してきた優良企業が地に落ちるときである。
技術の向上速度が市場の需要速度と一致しているとは限らず、技術が需要を上回ったタイミングが、破壊的技術が誕生するときである。技術が需要を上回ると、顧客の判断軸は価格へと移り、それ以上に技術を向上させたところで意味はない。
-----
2023年2月現在、この本を読んでいるとひたすらにAppleの iPhoneが頭に浮かぶ。明らかに、iPhoneの近年の画質向上とそれによる端末価格向上は市場の需要を上回っているものであり、何かしらの破壊的技術が頭を覗かせているのではと思う。
カリスマ経営者スティーブ・ジョブズがiPhoneを生み出してから約15年。世界を制したAppleは破壊的技術に対して適切な行動を取れるのか、それともこれからも持続的技術を追い求め、いずれ敗者となるのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
有名な名著。
会社が非常にその市場で強いため、また経営陣が非常に優秀であるほど、破壊的イノベーションに破れるというもの。
どのようにその罠をかわすか、明確な答えはないものの、暗示的な回答は示されている。 -
業界をリードしてきた優良企業だからこそ、その成長を追い求めるという至極まっとうなことをした先に、破壊的イノベーションの攻撃に飲み込まれてしまうという現象を説いている本です。
ビジネス名著だけあって、この本で言われていることはよく引用されていると思うが、なかなか会社組織や業界の構造上、実行に移すことが容易ではないのでビジネスは難しいですね。
この本では、すぐれた経営者の健全な決定が失敗する法則と、それを解決するために優良企業がすべきことが書いてあります。ディスクドライブ業界の例を中心に、各業界の失敗・成功例を引用し、グラフもたくさんあって読むのが大変ですが、伝えたいことはとてもシンプルだと思いながら読みました。実行するのが大変なだけです。
自分の会社ではどういうフェーズにいるのか考えたり、だれかとディスカッションしながら読むと学びが深まると思います。日本の破壊的イノベーションは何か調べてみるのもいいですね。スマホやデジカメ、ファストファッションなど業界の構造が入れ替わった身近な例がたくさん見つかります。
今後破壊的イノベーションで優良企業を攻撃するのは...ノーコードの技術はどうでしょう。エンジニアやコーダーの仕事の大半がAIを味方にしたノーコード技術に取って変わられる時代が来るのではないかと予想しています。 -
日本企業のやりがちなこと。消費者が望んでいないのに間違った差別化のためにただただ機能を追加してく過ちを認識できてよかった。
-
なにかの本で良いと書いてあって、紙で買って読んだ本。
なんかまどろっこしくて今はもう読む気がしない。
仕事も転職してステージも変わったし。
ということで断捨離。 -
長らく必読本として積んであったのをようやく読了。他のビジネス書、実用書とは比べ物にならない綿密な事例記載で研究の要旨が解説されている。テクノロジー企業だけでなく、あらゆる業界に適用できる、まさにジレンマと呼ぶしかない傾向が納得のゆくまで勉強できる。要点はシンプルな幾つかの法則だが、歴史を見返す楽しさで、書かれているさまざまな企業の実例を読み進めるうちに、その要点がしみじみ理解できるようになっている。自分が属する業界や、他の有名企業の変遷を追いながら、定期的に読み返しさらに理解を深めたい、と思える本だった。
-
クリステンセン教授が実務家であるからこそ鋭い地に足のついた洞察が出来たのだろうと思われる。
本書は優れた経営者のもとなされる健全な決定が大企業を失敗に導く一方、既存事業を衰退させかねない破壊的技術にアロケーションしていく方法を解き明かす。
破壊的イノベーション=市場でそこまで求められていない技術においては既存顧客に聞いてはいけない。
まさに客に聞きすぎるきらいは日本に強くあり、スピンオフなのか強力なリーダーシップなのか市場に逆らった取り組みもあるなかでどのように生き残るのか。
持続的イノベーションばかりが目立つが、破壊的イノベーションを生み出せるのか、そこがこれからの鍵なのだろう。
-
ずっと積読していた本。具体的な事例が豊富に書かれている。資源、プロセス、価値基準が重要なのは理解できたが、まだまだ全容を把握するには知識が追いついていない。定期的に再読したい。
-
2022.2.12 読了
イノベーションは大企業から生まれにくいという示唆を膨大なデータの分析から行なっている過程に感動した。PEファンドやベンチャー企業の社会的ニーズの核心を得ていると思う。