どこかでベートーヴェン (『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 200
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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784800255679

感想・レビュー・書評

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  • 小気味よくて面白い。岬陽介のたぶん最初の事件なんだろうなぁ。事件そのものよりも、才能のある者と無い者との対比が残酷だ。たいていの人間が嫉妬にとらわれる醜い存在ってことになっちゃう書きっぷりは、かなり恣意的。ちょっとやり過ぎかな。特にラストは作り込みすぎるよ。

  • 岬洋介シリーズ4作目。このシリーズ好きです。
    岬さん高校時代のエピソード。
    つかの間のクラスメイトだった男子生徒視点で物語は展開。
    恩田陸「チョコレートコスモス」に出てくる佐々木飛鳥に対しても感じたけれど
    岬さんの「自意識がない」「無自覚」の怖さが丹念に綴られている感満載。
    舞台となっている高校音楽科の生徒達が、比較しようのない才能の持ち主である岬さんを執拗にいじめるシーンは物凄く強い怒りを感じた。
    共感したくない。それだけ。くだらない。
    因果応報の目に合ってしまえと。人を呪わば穴二つ。
    殺人事件の犯人は予想通りでした。

    ラストの一文には「ほ?(๑• . •๑)」と。
    更に、続編?を匂わせる次回作の予告。
    岬さんと鷹村さん(クラスメイト)の再会はあるのでしょうか?
    犯人のその後、くだらないクラスメイト達に因果応報はあったのか(正直、それを願うほど読んでいて許せない後味の悪さだったので)、などを知りたい意味も込めて
    次回作を待ちます。

  • H29/10/9

  • シリーズとして岬洋介が活躍するのは面白かったが、想定がいまいち受け入れにくかった。
    高校生の行動も。

  • 岬洋介シリーズの4作目になるのかな、しばらく中山七里をお休みしていたら、書きまくってるじゃないか、この間「テミスの剣」を読んで思い出したので、ちょっとまた読み始めなければ。恩田陸のおかげで音楽小説と言えば「蜜蜂と遠雷」ということになってしまったが、元祖は中山七里だということを主張したい、それより前は「のだめ」になっちゃうが、やはり元祖の音楽表現は素晴らしい。今回は岬洋介の高校時代の話であるが、そろそろ店じまいを考えているのだろか、とうとう著者自身の特別出演で終わっているのだもの、これじゃヒチコックだ。

  • 前巻のショパンコンクールでの岬の活躍から始まるこの話は、岬の同級生から語られます。
    時は戻り、岬が転勤になった父とともに岐阜の音楽科のある高校に転入したところから。
    才能は溢れんばかりのくせにあまりにも周囲に無頓着で、その頭脳明晰さで気づかなくてもいいことに気づき、その容姿端麗さでちょっとした高校生の恋愛をひっかきまわすのです。
    本人に自覚はなく、ただ興味のあるのはピアノだけ。
    法曹界に進んでほしい父との軋轢がある中、突然襲った難聴が表題のベートーヴェンと重なります。
    狭い世界の中で起こった殺人は、ミステリーというほどのものではありませんでしたが、こうして岬洋介が形成されてきたのだと思うと、これもまた感慨深かったです。

  • このシリーズの「ドビュッシー」「ラフマニノフ」は読んでいる。読んでいるときは面白いし、登場人物の造形にも好ましいんだけれど、本作は何となく手が出ないでいた。

    それでも読み始めると、サクサクページが進む、
    岬洋介の高校生時代の描写が良い。抜きん出たピアノの演奏能力、容姿端麗で頭脳明晰、でも周囲から浮いていて、嫉妬や悪意に気付かない。
    高校の音楽科の描写は「舟に乗れ」を想い出したが、この学校はあの小説ほどの音楽に賭ける必死さはない。だから、岬だけが抜きんでていることになる。

    ミステリーの部分は弱い。犯人は早めに目星がついた。トリックと云うか、謎は判らなかったけれど。

    次作品は読もうと思うけれど、すぐにって気にならない。実はミステリーが好きじゃないのかな。美味しいけれど、ちょっと味が濃かったんだろうか。

  • 岬洋介の高校生時代、初めての事件。音楽科のある高校に転校してきた岬。その才能でクラスメイトたちからの羨望や嫉妬、悪意を受けながらも飄々と過ごしていた。ある夏休みの日、豪雨によって高校のまわりに土砂崩れが発生しクラスメイトたちとともに学校に閉じ込められてしまう。なんとか脱出したが、その日欠席していて岬に悪意を持っていたクラスメイトの死体が発見され、岬は容疑者にされてしまった……。

    若い岬先生超人すぎてこわいわ……。ミステリーというよりは音楽科の高校生たちの話。もっとなんか、嫌なクラスメイトたちをぎゃふんと言わせたかったような、ちょっとラストが駆け足であっけなかったような。続編があるようなのでそちらに期待なのかな。あと最後の最後は蛇足では……一回やってみたいネタ、的な……

  • ミステリ部分より、最後の一文が一番意外だった。
    ミステリ界の伝統あるお遊びだとわかってはいるが、個人的にはあまり好きではない…。でも主人公として、どーんと出されるよりは遙かにマシではある。

    謎解き部分はかなり薄め。
    音楽に浸る部分も以前より薄いかな。
    才能に対する敗北感と挫折にまみれた一作だ。
    前作も、岬の才能に挫折感を覚えるキャラクターは登場したが、前回はまだ岬と同じコンクールに出場できるだけの才能と努力があった。
    今回はそれがない。
    才能もなく努力もできない、そんな自分から目をそらし続けている高校生たちの話。

    岬に対するいじめのシーンなどはかなり不快で、岬シリーズでは一番読んでいて読感の悪い話だった。
    今までのように、鬱屈を音楽のシーンが拭い去るのではなく、音楽のシーンこそ鬱屈のもととなっているのだから、仕方ないのだろうけど。

  • 「このミス大賞」受賞作品だったので読んでみた。
    前回受賞作の「神の値段」が美術系の話だったのに対して、今回は音楽系の話。
    音楽の描写が凄い。音楽に造詣が深い人には面白いかもしれないが、そうでもない私にはちょっとクドイと感じた。音楽の話を広げ過ぎて、ストーリーがなかなか進まないのが、うーん。。

    で、犯人もだいぶ最初の方で見当がついた予想通りでドンデン返しもなく…
    この作家さんの作品は初めて読んだが、音楽ミステリーをたくさん書いている様子。
    たぶん、他は読まないな。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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