人生写真館の奇跡 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

著者 :
  • 宝島社
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感想 : 18
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  • / ISBN・EAN: 9784800292148

感想・レビュー・書評

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  • この世からあの世に行く中間地点にある人生写真館。館主は平坂さん

    あの世に行く前にそこに立ち寄り、今まで歩んできた人生の写真
    の中から歳の数だけ写真を選んで走馬灯を作る
    言うならば、人生最後の振り返りの儀式
    しかも、その写真の中の1枚の過去に戻って、撮り直すことができる特典付き

    私なら今まで生きてきた中のどの一日に戻るだろうと、本を読むのをやめ、思わず駆け足で自分の人生を振り返ってしまった

    写真館を訪れた92歳の老婆、刺されたヤクザ、おびえた目をした子ども
    三人三様の人生の描き方に著者の優しさ・温かさと願いや祈りが感じられた

    特に、第二章「ねずみくんとヒーローの一枚」の結末と
    ねずみくんの一言「 直したかった」にホロリとさせられた

    写真館を訪れた人にはたくさんの写真があるのに、平坂さんには
    たった一枚の写真しかない理由も最後に明かされる
    大きな声で叫び、やまびこが返ってくれば、願い事が叶うという丸い石の前で、平坂さんははたと気づく
    平凡を絵に描いたような人生の中でずっと探していたなりたかったもの、やりたかったこと、自分のすべきことが何だったかに

    それは、館主としては絶対してはいけないこと、人の運命を変えてしまうという禁忌

    こんな小さな子どもが写真館に!と悲しさで胸が痛くなったが、大どんでん返しの結末に、大満足。温かい気持ちに包まれた

    考え抜かれたストーリー展開で、ラストに大きな感動をもらった












  • あの世とこの世の狭間にある写真館のお話

    凄く良かった…笑えるし、心にもグッと来るし
    気がついたら読み終わってました。

  • 心に温かさが届く物語。すごく好み。

    舞台はあの世とこの世の狭間に佇む写真館。

    そこで、死者は案内人の導きにより希望する過去へと一度だけ戻ることができる。
    そして人生の写真で作り上げる走馬灯。

    「あの時」への時間旅行で、自分を形作った思い出を大切にする姿も自分の選んだ分かれ道の結果を噛みしめる姿も良い。

    第一章の、ハツ江さんが平坂さんに言葉の贈り物をした時がものすごく好き。自分も言葉の贈り物ができる、そんな人になりたい、そう思った。

    第二章の、言葉には綴られていない見えない思いが溢れているようなねずみくんのラストシーンがたまらなく好き。

    まさかの悲しい展開を見事に覆し優しさで包みこんだ第三章、明らかになる全ての謎に涙がにじむ。

    本を閉じ、誰もにおつかれさまって声をかけたくなる衝動に駆られた。そして、あぁ、この本好き!その思いで心はいっぱいになった。

    こちらのサイトでなければ出会えなかった作品。出会いに感謝です。

    • あいさん
      こちらでも、こんばんは(^-^)/

      なんと愛のあるレビュー♪
      くるたん無理してない?
      でも、とても嬉しいよ〜
      あまり読まれてい...
      こちらでも、こんばんは(^-^)/

      なんと愛のあるレビュー♪
      くるたん無理してない?
      でも、とても嬉しいよ〜
      あまり読まれていないけど、私も大好きな作品。
      第2章のねずみくんよかったよね。
      何度も泣いちゃった。
      命の重みがわからなかったねずみくんが…

      そして、第3章で彼のことがわかった時もほろり。

      一緒に読んでくれてありがとう!大切な1冊になりました。
      2019/07/27
    • くるたんさん
      けいたん♪おはよ♪

      え、ほんと、素敵な作品だったよ(≧∇≦)
      読み始めはよくありがちな話かなって思ってたけど、良かったー!なんかね、あ、好...
      けいたん♪おはよ♪

      え、ほんと、素敵な作品だったよ(≧∇≦)
      読み始めはよくありがちな話かなって思ってたけど、良かったー!なんかね、あ、好きな作家さんだと思ったよ。
      ねずみくん、良かったよねー!私もうるうるきちゃったよ.˚‧º·(´ฅωฅ`)‧º·˚.

      最終章は、え、まさか…子どもがつらいストーリー…って思ったけど、あぁ、そういうことか!ってこれまたうるうる。

      読んで良かった!要チェックの作家さんになったよん♪

      ご紹介ありがとうねヽ(*´∀`)人(´∀`*)ノ
      2019/07/27
  • 死ぬ前に見えるという走馬灯。その走馬灯を作るのは自分⁉︎ その発想におったまげました。

    自分が生きてきた毎日の写真が保管されている写真館。
    死者は、人生を振り返りながら、その中から自分の歳の数だけ写真を選び、案内人平坂と走馬灯を作る。

    「たった一日ではありますが、過去に戻って、一枚だけ写真を撮り直すことができます」(過去を変える事は出来ない)

    写真館を訪れた3人は、どの過去に戻り、最期に何を想うのか…。

    九十二歳の老婆。
    戦後はみんな貧しく園舎もない保育園の時代から「子どもはこの世の宝」と頑張ってきたハツ江に感動する。

    47歳のヤクザ。
    リサイクルショップで共に働くねずみくんは「修理をします」以外ほとんど話さない。ちょっとずつ変わっていくふたりにほろり。

    7歳のミツル
    虐待されて傷だらけ…ミツルと一生懸命遊ぶ案内人平坂の優しさにほろほろ。

    私ならどの過去に?たぶん… 過去を変えられるならあれもこれも行きたい所たくさんだなぁ(笑)

    歳×365枚って凄い(〃∀〃)ゞ

    • くるたんさん
      けいたん♪

      おはよう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

      なんてそそられるレビュー♡

      この作家さん初めてだわ。心温まる連作ミステリなのね♪♪

      ちょっと...
      けいたん♪

      おはよう٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

      なんてそそられるレビュー♡

      この作家さん初めてだわ。心温まる連作ミステリなのね♪♪

      ちょっと探してみるー(≧ω≦)
      2019/06/05
    • あいさん
      くるたん♪

      こんにちは(^-^)/
      いつもありがとう!

      私も始めて作家さんだし、ちょっとラノベっぽいので図書館でいいかなって...
      くるたん♪

      こんにちは(^-^)/
      いつもありがとう!

      私も始めて作家さんだし、ちょっとラノベっぽいので図書館でいいかなって思ったんだけど、図書館に置いてなくてね…

      でも、読んでよかった!
      とても優しい気持ちになれたし、平坂さんがいい感じだわ(*≧艸≦)

      あっ、ミステリと帯に書いてあるけど、ほとんどミステリはないからほっこりファンタジーだよ。
      謎があるとしたら平坂さんのことくらいよ。

      機会があれば読んでみて〜
      2019/06/05
  • 人生が終わった時、自分の年齢の数だけの写真を選び走馬燈を作る事ができる。そして一度だけ、過去の最高の瞬間の写真を撮りに行くことができる…。最初のハツ江さんとミツルのお話が好きだな。平坂さんが一枚しか写真を持ってない理由…。ミツルのお話が一番最初ということか。続編も読んでみたいな。

  • 「このミス大賞」の文字に ひかれ 読んでみました。

    基本 この文字のあるものに 外れはないので。

    そして 新しい 作家との 出会いがあるので

    読む前は すごく ワクワクします。

    今回も 期待を裏切りませんでした。

    中間の ネズミ君と ヒーローの一枚 いいですね。

    ほかの ところと 関係ないかな。

    あったんですね。

    皆さんも 気が付かれましたか。

    見つけたとき ちょっと うれしくなりました。

  • 自分の死を受け入れた時、ここまでの人生をじっくり振り返り、とっておきの瞬間に戻って、ステキな思い出を胸に優しい気持ちで天国に行く...本当にこんな最期ならどんなにいいだろう。

  • 2時間かからないくらいで読了。
    2話目が好き。
    自分の走馬灯の写真も選びたいなぁ。

  • 「谷中レトロカメラ店の謎日和」がなかなかよかったので同じ作家さんつながりということで読むことにしました。主人公の平坂は「谷中~」の店主である今宮とも似たところがあある、ほんわか・ほっこりした人物。写真にまつわる仕事という点も共通しています。
    ただ、本作はカメラ店ではなく、死者を迎え走馬燈作りを手伝う、加えて人生のある一日に戻りお気に入りの写真を撮りなおす手伝いをするという、いわばあの世とこの世の境目とでもいうべき場所が舞台になっています。
    物語の中では3人の死者を迎えるのですが、そのうちの一人はまだ幼い少女で、平坂の授けた知恵によって死を免れることになります。が、その人物こそ第一章の最後に登場する彼女だった…。ゆえに時間的には第三章が一番古いうことになり、第一章とつながりを持たせているという構成で、本作全体が一つの”環”になっているのですね。
    『このミス』大賞シリーズとして刊行されているものの、ミステリー的要素は少な目(というかほとんどない)で、物語全体に流れているほっこり感を味わうことができる作品です。あの世へ”おくる”場面を描いたストーリーでありながら、もの悲しさよりもみな、晴れ晴れとして気持ちで旅立ってゆく、そして遺されたひとたちにも前を向いて歩いていく希望がある、そんな雰囲気を感じられる一冊といえるでしょう。

  • 感動するお話、3つ。

    1章は厳しい時代のあたたかい話。
    2章は泣きました

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著者プロフィール

小説家

「2022年 『お銀ちゃんの明治舶来たべもの帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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