貧困のハローワーク

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  • 彩図社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801301764

感想・レビュー・書評

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  •  労働に対する考え方や環境は、時代とともに変わる。それに伴い、問題点も変わる。確かにそうだと思います。ただ、この頃、今の若い人は不幸だなと感じるのは、やりがいだとか生き甲斐だとかいう部分がすごくクローズアップされてしまって、その点をクリアした職についてないと「俺はもう駄目だ」「私は充実してない」と心折れてしまう人が多いように見受けられることです。昔は学校を出たら「とにかく自力で食べていかなくちゃ」という意識が最初にあったし、やり甲斐なんて自分を追いつめるほど探求したりはしなかった。「やりたい仕事」的な目標はもちろん抱いていたけれど(今の50代はそうだし、40代はグラデーション世代なのかな?)。
     とんねるずが「ヤリガイ」という貝を背負って就職関係のコマーシャルに出て話題になったのは、いつ頃かな。80年代かなあ。その後の個性や自分を大切にする教育によって若者の意識も変わった。就活や仕事場での失敗をきっかけに引きこもったりウツになったり、そんな彼らを弱くなったの一言で片づけてしまうのは可哀相と思いつつも、自分の面倒は自分で見る気概は持ってほしいとも思います。とにかく自力で食べて生きていく力があるだけで素晴らしいのだから、まずはそんな自分を誇ってあげて大切にしてあげようよ。
     本の中身に直接関係ありませんが、働くことについて考えるきっかけをいただきました。

  • 現代日本社会における劣悪な労働環境について具体的な職業の実例を挙げその実態に迫る一冊です。
    本書を読んでわかったのは日本社会において30代以上で一度正規労働者の道から外れると元の世界に戻るのは限りなく難しいという現実です。夢を追いかけること、年を重ねても新しいことに挑戦すること、何やったって生きていけると信じること、、、すべてが尊い生き方だと言えますが、必ず代償があることを心に留めておきたいものです。「世間一般的にはそういうもんだと言われるが、自分は違うよ!」←これが一番危険な考えなんですね。無知からくる衝動的行動と冷静な大人の決断、この違いをよく見極めることが大切だと思いました。

  • 貧困の罠から抜け出すことができない17名の方々を取材した本。生きていくために劣悪な環境で酷使されている人達がいることにびっくりしたし、日本の貧困の現状を知るいい機会になった。

    生活保護のような公的な制度はあるけど、基本的に今の日本は自力で生活を各が成り立たせないといけなくなっている。
    自力で生活を長く成り立たせるには、需要のある業界でしっかりスキルを身につけていく必要があると感じた。自分は今エンジニアとして働いているので、専門的なスキルを今後も習得していきたいと考えている。

  • 誰でもちょっとしたきっかけで、職や住まいを失うことがある。
    冷凍エビの加工会社で、シフトなし、出勤は自分のしたい時だけ、みたいな会社が成功してるっていうのをTVで見たことがある。
    さらっと見ただけなので、それで会社やってける?って思ってたけど、この本を読んで
    単純労働は辞める人も多い=続かない、正社員化しても毎日その仕事イヤ、その日のメンタルにも仕事が左右されるなら、働きたい時に来てもらうってのもアリなのかと思った。
    最後のこれからの仕事について読んだ時、働くということを日々アップデートしていかなければ、今の子どもに働くとは、ということを伝えられないなと思いました。

  • 飯場労働者はウシジマくんや、カイジの世界そのままでなかなか衝撃的でした。作者が日雇い仕事を体験する辺りが面白かった方は、『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』というもっと本格的に入り込んでみたルポがあるので読んでみると良いと思います。
    私も警備員を5年程やってましたが、「飲む、打つ、買う」もしないで人生何が楽しいねや?と言っていた方が、息子さんの修学旅行の積立金をパチンコですったり、同僚から金借りたまま消えた自称競馬富豪がいたりしたことを現場の雰囲気とともに思い出しました。

  • うーん。こういう仕事もあるんだなあと勉強になった。難しいな。これからは昔より子供とか早いうちから人生設計をすることが大事になってくるのかなと感じた。

  • これ読んだことあったのか…読んでいる最中になんとなく気づいてはいましたが、結局最後まで読んでしまった…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    というわけでまあ、いつものこの著者の本って感じですねぇ…ここにはネットカフェをねぐらにしている人も多数登場してきますけれども、今はコロナで厳しいんじゃ…社畜死ね!!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    本当にコロナはこういった底辺の人に容赦なく降りかかってきている、と言えましょう…。ホームレスとかするとて今は公園にテント張ったりもできないでしょうし…いやはや、厳しいですなぁ…やはり生活保護を申請するのが一番と言えましょう…変なプライドは捨てて利用できるものは積極的に利用して行けばいいんじゃないですかね…。

    さようなら…。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • 「今日、ホームレスになった」シリーズも読みましたが


    自分の中でもいつも危機感があります。

    自分も最初の会社を辞めて、しばらく職がなかった時

    両親や当時の彼女だった奥さんの助けがなかったら

    どうなっていたか分からない、そういう気持ちは常にあります。



    仕事があって家があって家族があって

    当たり前のことじゃないと思う。

    学校で働いていて、就学援助や学校徴収金の仕事とかもしていると

    色々な家庭があって、数千円が今払えないという家庭もある。



    他人事のようにとらえがちだけど、やっぱり自分はもっと慎まないといけないと

    感じますね。



    実際にここに出てきた仕事のいくつかは自分にも経験があって

    当時とはだいぶ違いますが、あるあるということもたくさんありました。

    もうたぶんあの仕事をやろうとしてすぐには無理だなぁ~



    新年早々に読んで、重い気持ちと引き締まった気持ちにさせられた1冊です。

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著者プロフィール

1961年生まれ。1980年都立中野工業高校卒。
ルポライターとして取材活動を続けながら、現在は不動産管理会社に勤務。
2003年よりホームレス支援者、NPO関係者との交流を持ち、長引く不況の現実や深刻な格差社会の現状を知り、声なき彼らの代弁者たらんと取材活動を行う。
著書に『今日、ホームレスになった』『今日、ホームレスになった 平成大不況編』『今日、派遣をクビになった』『今日から日雇い労働者になった』『今日、会社が倒産した』『本当にヤバイ就職活動』『今日からワーキングプアになった』『貧困のハローワーク』『今日、借金を背負った』『今日、ホームレスになった 大不況転落編』(いずれも彩図社)、『不況!! 東京路上サバイバル─ホームレス、28人の履歴書』(恒友出版)、『仕事がない!―求職中36人の叫び』(平凡社)、『ホープレス労働─働く人のホンネ』(労働開発研究会)がある。

「2023年 『お金がありません』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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