売春島 「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ

著者 :
  • 彩図社
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784801302488

感想・レビュー・書評

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  • エロ目線や興味本位のルポではなく、とてもまじめなノンフィクションという感じ。

    私自身、はじめて渡鹿野島(売春島)を知りましたが、なかなか黒いというか、欲望渦巻く島だったんだなぁと思いました。

    島民全員が何らかの形で売春に関わり、元警察官が置屋の主人になったり...驚くような事が書かれていました。どうしてそこが「売春島」になったのか、どのように衰退していったのかも、しっかりと書かれていました。

    たくさんの人にインタビューしているのですが、登場人物や時系列がもう少し分かりやすいともっと読みやすいです。

  • 2016年の伊勢志摩サミットが開催された賢島からほど近い海に浮かぶ渡鹿野島(わたかのじま)。
    ここは江戸末期から連綿と続く、欲望渦巻くアイランドだった。(過去形)

    最近、ハマりつつある書店のノンフィクションのコーナーに平積みされていてジャケ買い。
    この島のことは知らなかった。

    サブカル系の胡散臭さがぷんぷん匂うエピソードの数々。
    島に売られていった少女の話や、バブル時代には客でメインストリートが溢れかえったという話、そして朽ちていくのを待つのみという現状など、興味深かった。
    ドロドロした好事家の欲望の薄汚さに対して、時流に乗れずに滅びゆくものの美しさを感じた。

    今こそ訪れてみたい島だ。

  • 三重県の渡鹿野島は対岸の鵜方からポンポン船で3分の距離にある。この島は性サービスが充実した女護が島としての噂があり、本書はその栄枯盛衰を足で調べたルポです。調べると、突然、売春島になったわけではなく、そこには売春がつきものだったという“風待ち港”の起源がありました。資料の乏しい日本の性風俗史の一端や暗部も少し触れていますが、さらに知りたいと思いました。

  • 三重県の的矢湾の渡鹿野島
    古くから風待ち島で漁師や船乗りが集まる場所だったらしい。男が集まれば商売目当ての女も集まる。
    そこに1965年以降に四国から売春婦が移住してきてから更にさかんになった。ホストに入れあげた挙句に沈められたり、悪い男に騙されて売られてきた女も居たという。
    1990年代には置屋が乱立したのをピークに今ではすっかり寂れてしまっている。
    まあだからこんな本が出版されるんだろうな。

  • 三重県にある、かつては島全体が売春業で栄えた渡鹿野島の栄枯盛衰を関係者のインタビューを中心にまとめた本。
    1990年代前半に根本敬著の「因果鉄道の旅」では「M県W島」として著者自身の潜入ルポと共に「島全体が遊郭」と紹介されていたところが、所在地、島の実名、関係者のインタビューも含めて公になっていたことに驚き。
    両方を併せて読むと、渡鹿野島の全盛期がより立体的に浮かび上がる。

  • 渡鹿野島の置屋の衰退。休息する漁師のために江戸時代から夜伽。船で菜売り(野菜)を漁師に売りにいく。それを貧乏人の娘を養女にやらせ売春。
    戦時中、500人の予科練が駐在。売春縞の存在の噂が広まる
    最初は4人の売春婦が置屋を始めた。旅館にマージン戻る。
    女衒がAV女優つれてきた。若くて美人はサービスのクレーム多い。女衒は200万円置屋からバンス(前借り)を受け取る。女はそれを払えるまで働く。男の借金の為、売春
    元刑事が置屋の女と結婚。警察の手入れは事前に知り、
    50万円で逮捕されず。
    最盛期は300人の売春婦。実際は唯一の生き残りの置屋によると60人。
    業務拡大なしで生き残った置屋の女主人
    現在は8人の売春婦で営業。
    伊勢志摩サミット。
    ヤクザのヒモに貢ぐ女達と置屋の関係は良好。借金のある女は少ない。
    浄化運動。アジアから安く女を仕入れる。当局ともめたくないので短期間。昔の情緒はなくなった。
    企業コンサルとなる詐欺師Y藤。成功している置屋に投資させられ全てを失う。離島に7階立てのホテルを建設したら資材運輸費が増え10億円はかかる。
    競売でホテルを買った名古屋の不動産屋。500万円で購入。裁判所が認めた価格。三重県、伊勢市が固定資産税での評価額は1億4000万円。意義申し立て中。
    全国のリゾート地の廃墟が多い理由。
    建物を寄付。貸してくれと提案。換金性がない=価値がないからできないと断られた。
    会員が集まらなかったゴルフ場は経営権だけ残し、ゴルフ場は市、県に寄付。地元に仕事は残る。
    たとえ売春産業でも。住民達が安心して暮らせるほうが大事なのではBY不動産業者

  • 過去形でなく、(寂れつつあるとはいえ)現在進行形でこのような島があることに驚いた。

  • この島のことは、女性フリーライターが失踪したことで知っていたので、ルポが出ると聞き大いに期待したものの、おもしろくなかった。同時に読み進めた、青木理の『誘蛾灯』にくらべると、引き込まれない。ただ、この著者が誠実な人であることはわかった。

  • こんな島があったのか!と見事帯の謳い文句に誘われて買ってしまいましたが、感想としてはそれなりにちゃんと産業として成立していた様子が描かれており、想像したような鬼畜的な人身売買が横行していたわけではなかったです。

  • 2018_01_16-005

  • その昔、会社の慰安旅行で行こうかと冗談で言ったことのある渡鹿野島。新聞の書評に書かれているのを目にしたので読んでみた。三重県民として、故郷のことを知っておきたいとも思って。
    大衆週刊誌のネタではあるものの、下世話な話題だけでなく、なぜこの島が売春島となったのか歴史的背景の記述もあって、フーゾク情報としてではなく、風俗史としてしっかりと読める。
    「必要悪」ではあるものの、難しいよなと改めて思う。結局は中途半端な島になって寂れちゃうんだろうな。

  • まさに人身売買の内側に迫った本。こんな島があったとは知らなかったし、女性を「売り飛ばす」ということの本当の意味も知らなかったので、いろいろ勉強になった。ちょっと近づきがたい世界が存在しており、近年はそこに外国人の女性も送り込まれているという現実も興味深かった。廃れる前に行ってみたかった。

  • なるほどと。以外と身近に感じたのとヤクザの介入が少なかったんだと。

  • 大人のテーマパークを歴史を基に紐解いてくれ、分かりやすかった、もうこんな場所ができることはないんだろうな

  • うーん…島の存在は何となく知ってたくらいだから(子どものころに実は行ったことあるらしい)、それが実際にはどんな風だったのか、どう成り立ったのか見たいな話は興味深かった。ただ冒頭に出てくるタイプの扇情的な話が先に入ってしまっていたので”実際の姿を誇張せずに、きちんと裏を取って書こう。”とした作者さんの誠実な姿勢が逆に自分のような興味本位の読み手にはちょっと読みにくさにもつながってしまった部分も無くはない。煽る必要はないけれど、もう少し読みやすい構成とか書き方はあったかな、と。 

  • 思ってた内容と違い、ヤクザと島の話、というか島の歴史だった。島の昔話。
    どんなことが起きてたか。というより、どうやって売春島と呼ばれるようになったか。という感じで少し内容が寂しい。

  • センセーショナルなことが書いてあると思ったけど、そうでもなく、歴史や伝聞を書いてある。こんな島もあったんだなぁという感じで興味深かった。
    女が売春で稼いだ金を明るく送金しているのが理解できないがちょっと面白かった。やたら前向きなので。

  •  物騒なものや悲惨なもの、怖いもの見たさで覗いてみたい気持ちがある。実在する売春島は一体どれほどおぞましい様子が描かれているのか読んでみたら、特にそれほどおぞましくなくあまり物騒でなく悲惨でもない。田舎のつつましい人々の営みが描かれていて、期待したものとは違って肩透かしなのだけど、とても面白い。

     売春を好き好んでする人もそうそうおらず、追い込まれて泣く泣くするのだろうけど、そこでいったん腹をくくった女性たちがたくましい。騙されていた人もいたけど、島の暮らしがのんびりとしており、それほど悲惨な感じがしない。

     著者がとても取材が上手なようで、それから島の人たちがオープンな性格なのか、とてもよく話してくれる。「嘘が嫌い」という人が多く、田舎者の人の好さが感じられる。

     何年も前に、地元の温泉街でも売られた女性が売春しているというような話を聞いたことがある。話してくれる人はいかにも物騒で悲惨でおぞましい感じで話すが、実際はどうなのだろう。

  • 最近では本書を基にしてYouTubeでも渡鹿野島レポが多くアップされています。

  • 全く売春に賛同する気はないが、経緯やシステムは面白く読めた

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著者プロフィール

ノンフィクションライター。風俗専門誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆。著書に『売春島「最後の桃源郷」渡鹿野島ルポ』『東日本大震災 東京電力「黒い賠償」の真実』(彩図社)、『裏オプ JKビジネスを天国と呼ぶ“女子高生”12人の生告白』(大洋図書)ほか。

「2021年 『覚醒剤アンダーグラウンド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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