リーン・スタートアップ

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  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784822248970

感想・レビュー・書評

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  • いきなり大きなことを目指すのではなく、小さな検証から始めていく。固定観念を無くしていく、色々と新しい考え方で楽しかったです。

  • ビジョンの達成に向けてMVP(最小限の製品)を最適化しながら、戦略のピボットを最速で繰り返すという手法。アイデアを構築して製品に、製品をアーリーアダプターに問い、計測し、データを得、そこから学び、アイデアに反映させる。構築・計測・学習のフィードバックループ。MVPは最悪動画等でも良い。計測時には比較となるベースラインが必要。粘着型(マイクロソフトのように切り替えに莫大な労力がかかるモデル)、ウイルス型(Facebook、Paypalなど)、支出型(広告など)の成長エンジンが必要。またイノベーション条件として、①資源、②裁量権、③成果と個人的利害のリンクが必要と説いている。

  • スタートアップのイメージが掴めて良かったです。

  • リーンスタートアップの意味が大分わかった。
    MVP(実用最小限の製品)を早く構築し、その価値を計測し、学習したことを次のMVPに繋げることで、イノベーションを起こす。この過程で、重要となるのが、ピボット(方向転換)。これには、様々な型があり、型を意識してピボットすることで、構築・計測・学習のループを的確に回せ、製品開発を成功させられる。

  • リーンが、単純な効率化による人間の機械化に対するアンチテーゼとして、組織・ビジネスプランの学習の効率化に重きを置いているという点に共感。

  • 資金、人員などのリソースの少ないスタートアップ企業のマネジメントを、トヨタ生産方式(TPS)等のリーン生産方式の視点から解説する本。

    翻訳本が出ていない昨年末ぐらいから、クックパッド等の運用指針の基礎として紹介されていた。

    スタートアップ企業の特性は、リソースの少なさ故の失敗耐性の低さ。
    つまり、大きな失敗が許されない事である。

    スタートアップの特徴は、

    ・ビジネスモデルの不確実さ
    ・顧客モデルの不確実さ

    であり、この大きな制約の仲で、最小限の投資で方向を見出さないといけない。


    まとめサイトは多々あるので、僕が感じた要点は以下の点。

    1.バッチサイズの最小化

    製造業は、フォードが開発した大規模大量生産の時代から、トヨタが開発した少量多品種生産(リーン生産)の時代になった。
    大規模生産は、部品一個あたりのコスト低減になるが、処理間で大量の在庫を抱え、そして生産調整が用意ではない。
    リーン生産では、「一個流し」と呼ばれるように、ラインを専用機械ではなく、汎用機械で構成し、その汎用機械のセットアップ時間の短縮により効率を生み出した。

    1工程のバッチサイズが巨大化すると、方向転換が難しく、融通が気なない。
    バッチサイズは可能な限り小さくする必要がある。


    2.仮説->実験->検証 の重要性

    方向転換を容易にするためには、常時、様々な仮説を検証する必要がある。
    仮説はアイディアではなく、計測可能な目標が必要。
    つまり、検証は「顧客の反応を検証する」のではなく、「仮説の正当性を検証する」






    本書でも述べられているが、この本の狙いは、「方法論」の押し付けではない。「考え方」だ。
    最強の生産方式と呼ばれたトヨタ生産方式も、宗教ではなく、「考え方」であったから、柔軟に拡張できた。



    そして、現在は、例え大企業であっても、スタートアップ企業と同じように、不確実なビジネス環境、顧客の中にいる。

    アントレプレナーの感覚は、大企業でも、官公庁でも、NGOでも必要なものだ。


    本書も幅広い人に進められる内容。(テクノロジー業界だけの話ではない)



    ■残念な事


    翻訳の問題かもしれないが、第一章〜第四章までの言葉の使い方が、とてもわかりにくく、理解するのに時間がかかった。

    章立ても、

    第一部 実例
    第二部 実例からの検証

    という並びで、第一部を読んでいる時に、「詳しくは第二部で」という解説が多く、これは読んでいてリズムを崩す内容だと思った。
    (こういう記述方法もあるとは思うが、僕は邪魔だった)


    だけど、第二部は文句なく面白い。

  • トロント大学からいらっしゃっていたAbram先生にこの本を紹介いただきました。
    スタートアップは安定期の企業と異なり戦略を変えなければならない。
    詳細な事業計画を立てていくよりも、
    必要最低限のプロダクトで科学的な実験を繰り返し、的確な測定項目を測定し、
    できるだけ無駄なことをせずに成長を目指す。
    売るものでなくても、団体やプロジェクト、なににでも当てはめられそうです。
    非常にこれからの活動の参考となりそう。

    ただし見慣れない用語(造語?)が数多く出現してきたり、
    例示が多かったりして、最後まで読み進めることは大変ではありました…。

  • 全14章400ページからなる本書。正直ちと飽きて来る場面もあったが、スタートアップにおいて実践された様々な事例が散りばめられておりとても有意なものになっている。
    なにより本書のエッセンスはいわゆるスタートアップに限らず、イノベーションによって持続的な成長をし続けなければならないすべての企業に当てはまる(いや、当てはめ、実践する必要がある、というべきか)内容だ。
    とりあえずエッセンスだけ、という向きは 13章エピローグ 無駄にするな だけをまずば読まれたし。本書のエッセンスはここにある(と、いわゆる大企業にいる私は思う)。全ての企業活動、経済活動から無駄をのぞくことによって、我々人類はまだ飛躍的に発展できるのではないか。その為にスタートアップでなく伝統的大企業にも出来ることは多々あると感じた。

  • デザインは美しいですか?
    セキュリティは問題ないですか?
    それって本当に便利ですか?
    いや、一番重要なのは、リリースしました?かもしれない。

    リリース前にいくら話し合っても机上の空論でしかない。
    正解はないのだが、正解がないだけに、議論してしまう。
    出した後の結果が怖いから、余計に考えてしまう。

    時間をかければもっとよくできる。
    それは間違いない。
    ただ本当に必要なことはそれではない。
    良くなっているかどうかを定義できるのは自分ではないのだから。

    勇気をもって一歩を踏み出した人が、本当に一番偉いのだと思う。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ○現実は、スタートアップのほとんどが失敗するのだ。新製品のほとんどが成功しない。ベンチャーのほとんどが実力を発揮できずに終わる。(P.10)
    ○ほかのアントレプレナーたちの成功と失敗から、おもしろくないことこそが大事なのだとわかったのだ。スタートアップは遺伝子が優れていれば成功するものでもなければ適材適所で成功するものではない。正しいやり方で進めるからこそ成功するのだ。それはつまり、やり方を学べるということであり、また、やり方を教えられるということでもある。(P.10)
    ○企業とはマネジメントである。スタートアップとは製品ではなく組織である。(P.18)
    ○個人的には、質の悪い製品でエンジニアとしての自分の評判が落ちるのではないか、優れた製品を作れないヤツだと見られるのではないかと心配していた。(P.59)
    ○そして・・・何も起きなかった・・・。心配は取り越し苦労にすぎなかったらしい。我々の製品を使ってみようという人がいなかったのだ。正直なところ、私はちょっとほっとした。製品がいかに悲惨であるかを知られずにすんだと思ったからだ。でも、すぐに歯がゆくてしかたがなくなった。あれだけの時間をかけて搭載する機能や修正するバグを決めたというのに、我々はあまりに見当はずれの価値を提案してしまい、製品を使ってみてそれがどれほど悲惨なのか体験してもらうどころか、ダウンロードさえもしてもらえなかったのだ。(P.60)
    ○スタートアップにとって学びは進捗に欠かせないものだと考えるようになった。顧客の望みを学ぶためにはどうしても必要なもの以外の努力はなくてもいい。(P.71)
    ○「この製品を作れるか」と自問したのでは駄目。いまは、人間が思いつける製品ならまずまちがいなく作れる時代だ。問うべきなのは「この製品は作るべきか」であり「このような製品やサービスを中心に持続可能な事業が構築できるか」である。このような問いに答えるためには、事業計画を体系的に構成要素へと分解し、部分ごとに実験で検証する必要がある。(P.79)
    ○大事なのは、このフィードバックループの一周に要するトータルの時間を最小にすることだ。(P.106)
    ○投資家が着目したのはふたつの事実である。ひとつはフェイスブックのアクティブユーザーがサイトで過ごす時間。ユーザーの半数以上が毎日アクセスしていたのだ。これは、顧客が製品に価値を認めていることを確認する価値仮説検証のいい例である。立ち上げ期のフェイスブックに魅力を感じるもうひとつの事実は、大学キャンパスへの普及速度である。成長速度が半端ではないのだ。フェイスブックのサービスが始まったのは2004年2月4日だが、2月中にはハーバードの学生の4分の3近くが使うほどになっていた。マーケティングや広告には一銭もかけていないのに、だ。言い換えると、フェイスブックは成長仮説も検証済みだったのだ。(P.110-111)
    ○持続的イノベーションの場合はどこの誰が顧客なのかがはっきりとわかっており、現地・現物主義で顧客の望みを確認できるが、スタートアップが早期に見込み客として接触してもどの仮説から検証すべきなのくらいしかわからない。(P.121)
    ○「優れた体験を提供できれば顧客は我々の製品を使ってみてくれるのか」という要になる問いの検証だった。ファイルの同期というのはほとんどの人が存在に気づいていないタイプの問題だとドロップボックスでは考えていた(P.133)
    ○IMVUの特に気に入っている点をたずねるとアバターの「テレポート」が必ずトップ3に入っていたのだ(『シムズ』より進んでいるとコメントする人さえいた)。安直な妥協の産物のほうが、我々が誇りに思う機能よりもーーたくさんの時間とお金を費やして開発した機能よりもーー高い評価を得たわけだ。(P.148)
    ○成功するスタートアップは、遅かれ早かれ急迫してくる他社との競争に直面する。追いつかれないほど先行できることはほとんどないし、ステルスモードですごしているあいだはーー顧客との接触を避けているあいだはーーおそらく先行スタートできない。勝ちたければ、ほかよりも速いスピードでしか学ぶしか道はない。(P.152)
    ○定量的な成果が悲惨になった結果、失敗だと宣言せざるをえなくなり、それが定性的な研究を行うモチベーションやコンテキスト、余地を生む。この研究から検証すべき新アイデアーー進仮説ーーが生まれ、ピボットの道が開ける。方向転換するとさらなる実験の機会が生まれ、このサイクルがくり返される。毎回、くり返されるのは「ベースラインの設定、エンジンのチューニング、方向転換か辛抱かの判断」というシンプルなリズムである。(P.170)
    ○生徒同士で教えあうピア方式の学びがとても効果的である点に注目した。ポイントはふたつ。まず、先生よりずっと親しみやすい仲間から自分に合った方法で教えてもらえること。もうひとつは、ほかの生徒に教えると自分の学習が強化されること。(P.176-177)
    ○ブログ会の反応はきわめて否定的だった。(こういう反応を恐れて製品をリリースしないアントレプレナーが多い。社内の士気が落ちるのを心配するからだ。自分のホームグラウンドとなる業界で肯定的な評価を受けたいという気持ちが強いのだ)(P.217)
    ○顧客の行動をまったく変えられていないのに、製品の改良が進んでいると誤解してしまう。成長をもたらすのは効率的に回転し、新しい顧客を呼び込む成長エンジンであって製品開発による改善ではない。(P.290)
    ○会社が大きくなるにつれ、そのときどきのサイズで発生する業務で連携させるプロセスやシステムを追加しなければならない。しかし、「プロフェッショナル」になろうというまちがった欲望を持ち、柔軟性を失って官僚的になったスタートアップもたくさん見てきた。(P.293)
    ○全容のわからないプログラムを作る費用と全容をわからないメリットを比べなければならないからだ。だいたい、この手の判断はどうしてもバッチサイズが大きくなる。だから、教育訓練プログラムは充実したものがあるか全くないかに二極分化する。完全なプログラムを作ったとき投資が回収できるとわからないかぎり、何もしないのが普通の会社なのだ。(P.299)
    ○「組織の筋肉にはメモリーがある」とグレッグは表現するが、人間というのは手慣れたやり方や習慣をなかなか捨てられないものだ。(P.323)
    ○競合するスタートアップは新しいほうのアプローチを使っており、自分たちも同じようにしなければ顧客にそっぽを向かれる恐れがあることも、繰り返し強調した。(P.325)
    ○スタートアップの場合、予算が多すぎるのは少なすぎるのと同じくらい危険だ。また、途中で予算が変わると大きな影響を受ける。(P.331-332)
    ○リーン・スタートアップの場合、スペシャリスト一人ひとりの効率向上は目的に含まれてない。機能横断的に仕事をして検証による学びを得るチームが欲しいのだ。行動につながる評価基準、継続デプロイメント、全体的な構築ー計画ー学習のフィードバックループなど、そのためのテクニックはいずれも、チームメンバーの個人効率を落とす。どれほど早く構築できても意味がない。どれほど速く計測できても意味がない。大事なのは、ループ全体を早く回すことだ。(P.352)

  • ※自分のための備忘録です。

    ■「学び」という言葉で簡単に片付けない、自分を慰めないこと
    ■リーン生産方式の中核の問い 「我々の努力のうち、価値を生み出しているのはどの部分で、無駄なのはどの部分なのか」
    ■リーン生産方式における価値とは、顧客にとってのメリットを提供するものを差し、それ以外は全て無駄と考える

    ■「構築→計測→学習」のFBループをハンドルとして、継続的に調整を行うことが大事
      様々な仮説を用いて複雑な計画を立てるのはではなく
    ■ちょっと使ってみるチャンスを顧客に提供し、その反応を観測するという実験をしてみることもできた
    ■「検証による学び」、顧客の望みを学ぶためにどうしても必要なもの以外の努力はなくてもいい、
      貴重な資源を前進ではない演出に浪費しないこと
    ■「この製品はつくれるか?」という問いは×。今は何でも作ろうと思えば作れる時代
    ■問うべきは「この製品はつくるべきか?」であり、「このような製品やサービスを中心に持続可能な事業を構築できるか?」である。
    ■大きく考えて、小さくスタートする、例ざっぽす
      提供サービスを構築したからこそ学べた。シンプルスタート。目的は靴のオンラインショッピングにおいて優れた体験のニーズが十分に存在するか?の問いに解を得ること

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