コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 増補改訂版
- 日経BP (2019年10月24日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (452ページ)
- / ISBN・EAN: 9784822289935
感想・レビュー・書評
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コンテナが社会に受け入れられるまでの変革の物語。
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あちこちで聞いていたとおり、非常に面白い。
ただちょっと事前の印象とは違っていて、「風雲児マルコム・マクリーンの一代記」ではなかった。この男がいつ生まれて、どう育ち、誰と結婚して、いつ死んだ…的な話は皆無(それが悪いとは言っていない。日本的な湿っぽい立身出世譚が苦手な向きには、むしろより楽しめるだろう)。
では何が書かれているかというと、前半はもっぱら人類(というか「男」)の愚かさである。コンテナリゼーションという誰が見ても画期的で有意義なシステムが普及するのを何年も阻んできたのは、たとえば粗野で怠惰で生産性皆無な沖仲仕だったり、飽かず内紛に明け暮れる労組だったり、無能で偏狭な経営者だったり。
それらに共通するのは、「男の沽券」というアレである。男たるものマッチョでなければ、人の上に立たねば、他人に屈してはならない…等々の、そいつ自身だけならまだしも他人にも百害あって一利なしなくだらぬ概念が、他ならぬ人類の進歩を阻んできたのだ。
コンテナリゼーションに関しては、メデタシメデタシで済んだ。だが、他のあらゆることに関しては…かくも有害なる「男らしさ」は、いつまで蔓延り続けるのだろうか。
2020/8/19〜8/25読了 -
1950年代に始まったコンテナリゼーションの本。
以前は物流にかかるコストが大きくものづくりが局所的に行われていたが、現代はコンテナにより物流のコストが下がったため、グローバルに製品や材料が行き交うようになった。
この本ではコンテナの発明が港湾や船舶、貿易を始め世界の物流にどのように影響を及ぼしていったのか、膨大な資料を元に論じられている。当事者である海運業界の中で、誰もコンテナによってこのような社会になることは予想できていなかった、と書いてあったのが興味深い。過去に起きたゲームチェンジについて書いてあり非常に勉強になる一冊である。 -
ビルゲイツの言う通り、全世界のビジネスのやり方に通じる話。
加えて、自分にとっては、物流の仕事を始めたところなので、さらに面白く読めた。
イノベーションを完成させる為の、必要なアイテム、越えなければならない障壁、共に戦う仲間、そして味方となる考え方、これらがコンテナリゼーションを題材に学ぶ事が出来ると思う。
イノベートのキッカケはよそ者から生まれ、最初は様々な抵抗勢力と戦い、見方を増やして、時代の流れに乗り、世の中の役に立ち、常にイノベートし続ける事。 -
ビル・ゲイツの推薦本、20世紀後半の海運業のイノベーションといわれる「コンテナ」の発明物語(ストーリー部分は370ページくらいで残りは参考文献紹介)。主人公はコンテナを発明したといわれるマルコム・マクリーンで、コンテナ業界がブルーオーシャンからレッドオーシャンへ至る過程や、コンテナの機能上昇、コンテナにより各国の湾岸が整備され輸送・貿易の歴史が変わっていく状況がつぶさに描かれる。基本的に買収・合併で大きくなっていく「コンテナ」業界の歴史は現在のIT業界の状況にそっくりだと感じた。
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非常に面白い。
システムとしてのコンテナの発明とその発展の歴史その世界に与えた影響が描かれている。
箱としてのコンテナの発送は昔からあったようだがそれをシステムとして構築したのは本書にもあるマルコムマクリーン。
しかしその新しいシステムに対する既得権益の抵抗と規制が強く残りなかなか効率化できない。
しかし最終的にそれが取り払われたおかげで物価が下がり効率的になり世界が変わった。
これだけ革命的なのにあまり光が当たっていなかったのは驚き。
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東2法経図・6F開架:681A/L57k//K
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20世紀後半の、輸送用のコンテナというイノベーションの誕生が、全世界でビジネスのやり方を変えた。