雨にもまけず粗茶一服

著者 :
  • マガジンハウス
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838714490

感想・レビュー・書評

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  • 武術も兼ねた茶道の家元に育ったが、その方針が気に入らなかったため、大事な大学受験をすっぽかしていた事がバレた遊馬。自家数百万という徳川慶喜の茶杓を隠し持ち、友達とともに京都への家出を敢行する。そこで同行者の翠(みどり)の実家の畳屋で、店を手伝いながら、様々な人脈につながっていき、お茶の世界の奥深さを知っていく…。

    序盤はわざと堅苦しく、カタカナを廃した文章からスタートするため、時代小説かな?と思わせるものであるが、現代ものである。大学を諦め、バンドに生きるつもりが、世の中そうはうまく行かないという部分から、食えない古道具屋のオヤジども、二癖三癖ある京都の茶人たちという、キャラクターを楽しむ小説である。

    話自体は短編でひと悶着、事件が勃発しては、なんとか解決することで遊馬の意識が変わっていくというシンプルなものであるが、電子書籍で400ページ以上のなかなか長めの作品でもあり、文章の回りくどさも相まって、なかなか読み進まない。結構読んだよなあと思っても、40ページというところである。

    全体に作者の中にあるキャラクターたちが思った以上に伝わってこず、挙げ句に「翠」がふりがな無しでしばらく登場しても、ずっとこいつどう読むんだよ?と思いながら進めなければいけないなど、作者の設定に甘えがあるのではないか。また、友衛家の「○馬」という名前も、良い設定を思いついたと思ったのだろうが、自分に弟に父親に祖父にとどいつもこいつも馬だらけで、のっけから読む気が失せる。

    京都弁については、京都新聞に載ったということからある程度はコンサルが有ったのだろう。それでも女の人が使わなそうな言葉を使うなど、結構引っかかった。

    あとな、京都で楽器というと、六角からだとすぐだぞ。自転車で行かなければいけない?いやいや。つーか、六角堂の裏に畳屋なんかあるかいな。

    子供用の分冊版もあるようで、もう少し言葉が補われていればおすすめか。内容は読みやすいのに、なぜか文章が読みにくいという本だ。

  • 読了日 2018/08/21

    談話室で紹介頂いた一冊。

  • 茶道についてのうんちくがちょっと面倒くさい(笑)ときもあったけど、面白かった!
    ああー、お茶、やってみたいなあ
    と、思える本だった。

    なんやろう、やっぱり何事も「続ける」ってことは大事やね・・・。
    その時は「続けること」が「当たり前」やから、「続けないこと」に、新しい世界があるのではないかと思うけれど、やめてまで何かしたいと強く思わないのであれば、「やめる」よりも「続ける」ほうが得るものは多いような気がした。
    でもって、「続ける」ことに意味があるのかどうかは、その時には案外わからないのかも。

    一皮剥けていくどころでもない遊馬がかわいらしかった(ようは、大して成長していない彼)。
    それでも身の振りは固めたようなので(・・・まさに、1冊かけて・・・)この先どうなるのか結構気になる。確か、続編もあったはず・・・。

    ・・・あった! たぶん、ある!
    図書館でリクエストしよう。^^

    私の現状がこんな感じ(どんな?)なので、この本は、延長した挙句1ページも読めないまま一旦返却してそのまま貸し出しの処理をしてもらい、それやのに期間内には読めずにまた一旦返却して再度貸し出してもらうという、結局1ヶ月は借りてたよね・・・? ちゅう状態でした。

    他に誰も読む人がいなくて、よかった。

    (それもどうかと)

    京都の言葉っていいなぁと思ってしまう1冊でした。^^
    あと、「慶喜」という茶杓が取りざたされるたびにドキドキしました。笑

    (2015.06.13)

  • 弱小流派「坂東巴流」の家元の長男でありながら、全く継ぐ気のない息子遊馬。ある日父親に叱られたことがきっかけで家出をし、ひょんなことから京都の家に下宿することになります。親元や家のしがらみから離れ、改めて自分が何をしたいのか考え直した遊馬。果たして遊馬の選ぶ道とは・・・?お茶の世界に触れたことのない人でもきっと楽しめますよ。

  • 読んで良かった。

  • 茶道の家元の長男が家の跡を継ぎたくない為、家出をした。
    色々あって比叡山で修行する事になった。
    青春物語。

    とても爽やかな青春物語だった。
    ちょっとした季節の移り変わりなどを敏感に感じ取り、掛け軸や茶菓子にその心を表す。茶道に興味が沸いた。

  • 最後が良かった。
    笑ってしまった。

  • 茶道の家元に生まれついた主人公、家業が嫌で家出したけど
    何だかんだで家出先でも茶道が関わってきて・・・というお話。

    主人公の腕前も、点前を無意識でこなす/美味しいお茶が立てられる、ぐらいしか書かれていない
    ので、家元にふさわしい才能のあるなしは分からないが、単純な勝ち負けのない世界だと家元になるのに、
    それが一番大事な条件じゃないかと思った。

    筋の良し悪しはあっても、生まれつきの才能でなく、長年の稽古と躾がものを言うんだと感じさせられた。
    今時の若者らしく突っぱねて反抗しても馬鹿をやっても、
    結局最後は収まるところに収まる。育ちの良さってやっぱり大事だ!
    ラストはにこにこしながら読了。若いっていいなぁ。

  • 茶道家元の長男に生まれた男子が家を継ぐことに違和感を感じて、出奔する話。メインストーリーを軸に茶道にまつわることがバンバン出てくるので、茶道をしている人には、面白いのではなかろうか。最初は取っつきづらかったが、続きの「風にも負けず~」に入ると、スルスル進み、あっという間に読み進んだ。

  • 結局なんだったんだ、と突っ込みを入れたくなるような作品ではありましたけど、
    主人公単に頭の軽くて悪い坊ちゃんだなあ、と思いました。
    これ青春ってタグつけていいのか、と思うレベル。

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著者プロフィール

1990年『僕はかぐや姫』で海燕新人文学賞。92年『至高聖所(アバトーン)』で芥川賞。他に自身の茶道体験を綴った『ひよっこ茶人、茶会へまいる。』、武家茶道を軸にした青春小説『雨にもまけず粗茶一服』『風にもまけず粗茶一服』『花のお江戸で粗茶一服』、古典を繙く『京都で読む徒然草』などがある。

「2019年 『夢幻にあそぶ 能楽ことはじめ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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