塩の街

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  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (421ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840239219

感想・レビュー・書評

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  • デビュー作だけど落ち着いた面白さでした

  • 突如発生した“塩害”という謎の現象によって、日本だけでなく世界中の経済や流通、様々な機能が麻痺してしまう。
    そんな非常事態の中で必死に生きようとする自衛官の男と一人の少女。
    そして、彼らと関わる人々。
    変わり果ててしまった世界の運命は?
    そこに生きる人々の運命は?

    自衛隊三部作の第一弾、有川さんのデビュー作。
    自衛隊好きの有川さんが描く自衛隊組織や自衛官は、とにかくカッコイイ。
    勇敢で強くてぶっきらぼうに優しくて。
    そして、有川さん特有のマンガみたいにベタベタな登場人物とマンガみたいにベタベタな恋愛描写が、こっ恥ずかしくなるくらいベタなんだけど、ここまでくると潔くてキュンキュンしてしまう。
    「ぶっきらぼうに頭をクシャッとする」とか、萌えポイント満載。

    もちろん、ただ萌えるだけの作品ではない。
    2007年に書かれたものだけど、“塩害”という過酷な状況に翻弄される恋人たちや親子のドラマに、つい3.11を重ねてしまって胸が震えた。

    絶望の中にもある光の部分が描かれていて心地いい。

  • んー・・・私の想像力の問題だと思うんだけど、あんまり入り込めなかったな。「塩」って出てくる度に、キッチンにある塩やら、焼き魚にかかっている塩を思い出しちゃって、駄目だった。

    どうも主人公2人がタイプじゃなかった。感情移入できなかったのも、結局はソコのところの問題かも(^-^; その点、野坂夫妻の話の方が読んでいて楽しかった。

  • 有川さん自衛隊三部作の陸、の巻。
    おもしろかった。
    けど、ちょっと私にはラブ度合いが強すぎた・・・。
    有川さんはねー好きなんだけど、
    甘甘度が上がりすぎるとどーも肌に合わない感じがするんだよなあ。
    うーん。
    女子高生と戦闘機乗りの恋。
    かわいくて芯の強い女の子と、ちょっとぶっきら棒だけど優しくて強い男。うーん、こうやって文字にすると
    私のツボなんだけどなあ。
    でも、表題作のとこまでは楽しく読んだ。
    正直、後日談はいらなかったかなあ。ちょっと流し読みしてしまった。ごめんなさい。

    塩、結局壊すだけでいいってのがちょっと拍子抜け。
    攻撃しにいっても全く抵抗もなかったんなら、
    別に真奈ちゃんを人質にする必要もなかったのでは??
    まあ、気分的なもんかもしれないが、
    ちょっとあのへんの盛り上がりは唐突だった気もする。

    突如秩序が消えた世界で狩られる側と狩る側ができる、とゆーどーしようもない現実、が気持ち悪かった。
    にしても、どーしてこーゆー状況を描くときには必ず
    女の子が辱められなければならんのか。
    現実においてもフィクションにおいても。
    そんでもって、最終的には女は強い、とかゆーところに落し込んでくるんだよなあ。
    あのへんは最近ちょっと違和感ある。
    まあ、分かりやすいし、入り込んでるとなんとも思わないんだが・・・。

    三部作の中ではやっぱ空がイチバン好きかなあ。

  • ううーむ。。。「3匹のおっさん」から入って、これが有川作品2つめ。そのあと、恋愛モノを得意とする方で売れっ子になりつつあるんだとか、図書館戦争シリーズとやらが本嫌いのうちの息子でも読んだことあるほど若者に喰いつきいいらしいとか、自衛隊3部作なるシリーズがあるとか、いろいろ噂をきいて。じゃあ、最初に世にでるきっかけとなったらしい、この、自衛隊3部のひとつでもある陸自のやつを調べて、読んでみたんだけどな。終末観を扱う作品は私のドツボだし、それで自衛隊モノときて想像してたものとは、、、、うーん。違ったね。コイバナやないか。もはや恋愛小説やないか。そうかそうですか。うーん。秋庭と真奈。いや面白いっちゃ面白かったけど。よくできてるし。まず大きな大災害があって、非日常の混乱のなかでの出会い、主要キャラ、サブキャラの個性を植え付けられたところで、のちのちに番外編的に、生い立ちなどが見える個別の話が添えられてるのも、フルコース仕立てというか、1冊であれこれ堪能できる作りなのも秀逸。でもなあ。出てくる男がどれもこれも。惚れた女に一途すぎるでしょ。若い女の子ターゲットなのかなあ。樹里の話で入江の弱点までそれだもんね。入江オマエモカというかんじ。うーん。男って、、、こうですかあ?好きな子といっしょにいたくて好きな子を守りたくて、好きな子と死ぬときも一緒にいたい。むしろ大事な存在のために己を滅す愛 みたいなのに打たれる派の私なので、なんか、ぐぐっと入り込めず。泣けずトキメケず。どうせなら、歳の離れた殺し屋と少女が結ばれるわけでもなく守りあうようなLEONのほうがぞくぞくする。
    世界を救うのは、大事な人を救うためで、そのためには人殺しだってするっていう、人の身勝手さは美談にもなるし狂気の犯罪も生むという両刃感がすごくぐっとくるんだけど、出てくる男たちの揃いも揃った愛の一途さに違和感。こういうひとは、もちろん世の中いるけど、比率的にさ、こない多くなかろと。それとも世の中が非常事態になったら、こうなるんだろうか?

    キュンとくる恋愛小説を描けるひとなんだろな、っていうのはわかったけど、なんかストレートに響けなかった自分にへんに自己嫌悪な読後感。こんな読後感あたしだけかもな(|||◎_>◎)。一般的にとても読み応えあるしドラマチックですてきなお話です。中学生女子あたりに、おすすめ。

  • 有川浩のデビュー作の大幅加筆修正版。
    大人のラノベです。「ラノベ」という言葉は有川浩に関しては悪口では無く、当人の狙い通りのエンターテイメントに仕上がっているという意味合いですかね。
    しかし、デビュー作から歳を経るに連れ甘分濃度が濃くなっている有川浩って大丈夫なんですかね?実績が出て自由に書けるようになって、どんどん本性が暴走してるんでしょうか?

  • 有川浩は処女作からやはり有川浩なんだなぁ。
    安心して読めるハッピーエンド型は健在。強い男が頑張っている強がり女を守るラインも…

  • 著者のデビュー作。番外編4編も収録されています。

    正体不明の隕石落下と、人が塩になっていく『塩害』によって崩壊した世界で、肩を寄せ合って生きていく自衛隊くずれの男と身寄りのない少女。
    話は塩害の根源を叩く方向に、けっこう過激に進みます。この塩害という設定はかなり面白いと思うんですが、メインはそこじゃない。
    『好きな人を失う代わりに世界が救われるのと、世界が滅びる代わりに好きな人と最期を迎えられるのと、自分ならどっちを選ぶか』(著者あとがきより)という、素敵なラブストーリーでした。

    番外編の入江さんネタがツボでした。過去を闇に葬り去って一人突っ走る人って好きだ。

  • 有川さんのデビュー作なんですね。
    有川作品は、「空飛ぶ広報室」 「県庁おもてなし課」と読んできましたが、文体に何か違和感を感じつつ、「塩の街」も確かに独特でした。
    メインの真奈や秋庭、入江などはもちろんですが、他の登場人物の心の描写もはっきりしていて、色々な主人公がいるような特徴があると思っていました。
    不思議だなと思いつつ、これを適確に表現しているブログを見つけて、目から鱗でした。
    「三人称だが三人称でない小説」なんだそうです。
    一人称は、登場人物の心の描写が、三人称は、客観的に物語がみえる書き方で、有川作品は、一人称だけど三人称であり、三人主だけど一人称だとか。
    まあ、ハチャメチャとの見方もできますが、そこをそつ無く巧く書き上げているのでしょうね。
    ですので、流し読みはできない作品だと感じます。
    ともあれ、「自衛隊三部作」といわれる、「空の中」「海の底」を読みたくなりました。

  • 前半より後半の方がおもしろい。
    前半はところどころ感情の動きがわからない部分があった。
    感染経路も、ちょっと説得力に欠ける気がするけれど?
    読みやすいし復興する過程は、ノスタルジックで嫌いじゃない。
    個人的には、野坂夫妻の話が一番好き。

著者プロフィール

高知県生まれ。2004年『塩の街』で「電撃小説大賞」大賞を受賞し、デビュー。同作と『空の中』『海の底』の「自衛隊』3部作、その他、「図書館戦争」シリーズをはじめ、『阪急電車』『旅猫リポート』『明日の子供たち』『アンマーとぼくら』等がある。

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