- Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861911637
感想・レビュー・書評
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平成17年に 著者が 東京大学で行った「80年代 地下文化論(表象文化論)」の講義録。
「不合理のなかで文化は育つ」
昭和55年〜平成2年に出現したピテカン(日本初のナイトクラブ)を 文化の象徴として捉え、80年代の文化の構造を取り出そうとした。ピテカンの比較対象として おたく文化を取り上げた
ピテカン(日本初のナイトクラブ)と同類の文化の象徴として、YMO、西武セゾン、六本木ウェイブ、タモリ、いとうせいこう、モンティパイソン...を上げ、構造を抽出しようとした
ピテカンの特徴
*かっこいい=美学、新しさ
*不合理だが本当の豊かさがあった
*自分と違うものをカッコ悪いとして排除する閉鎖性がある
*文学を背景にした資本家がいて、文化をつくっていた
*ピテカンは 80年代の鹿鳴館(近代化の象徴)
おたくの特徴
*文化に興味ない、カッコ悪い、経済合理的、保守的、何かによって押されると すぐ押された方向へ行く
*森ビル、ライブドア、六本木ヒルズ
*バブル崩壊により、ピテカンから おたくが主体になった詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本の80年代について著者が東京大学で行った講義が書き起こされたもので、80年代が日本初のクラブ「ピカテントロプス・エレクトス」を軸に語られています。著者は劇作家としてその時代に活躍していた方。
どちらも共通の趣味や好みをもった人の集まりである「ピカテン」と「おたく」、しかしヒエラルキーの最上位と最下層に分かれてしまった2つを比較しているところからなんとなく当時の感覚が伝わってきました。それから30年経った現代では逆に、オタク文化が隆盛なことに文化の儚さを感じました。 -
2-2 音楽論
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本当におもしろい。自分はまだ生まれていなかったが、今住んでいる東京は昔こんな感じだったのかーみたいなのがすっごくわかる。知らない世界がいっぱい。
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80年代後半生まれながら80年代のことは知らない自分。
物心ついたときに既にあったものに対して、まあそういうもんでしょという、あって当たり前みたいな感想しか持てなかった。例えばJRはJRでしょ?(国鉄知らない。)とか。というか、そもそも興味を持ったりすることもなかった。だけど最近、自分の周りにあるものってそもそも何であるんだろう?いつからあるんだろう?と思うようになった。それは、そういうものがあって非常に便利だという反面、なんか邪魔くさいというか、むかつくというか、なんか愛着がもてないなと感じるようになったから。80年代はスカだったと言われても、東京ガールズブラボーの最後にあった、{でも、「あたし」には}のようなものがきっとピテカン周辺の人にもあったのでしょう。今の自分が無いと思ってるのはそれかもしれないなと思った。 -
読中。セゾン文化についてもっと知りたかったので。
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この頃の時代に興味津々。
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劇作家、演出家、作家として活躍する宮沢章夫の、80年代の「地下文化」を、とくにピテカントロプス・エレクトスという日本で初めてのクラブと、ラジカル・ガジベリビンバ・システムを入口にして考える講義録。(宮沢はピテカン、RGBのいずれとも深い関係を有している)
・・・なんだけど、この本には「80年代とは何だったのか?」という結論や、「80年代という社会を描き出す理論」が提示されているとはあまり感じられない。だから、そういうことをこの本に求めてはいけない、のだと思う。僕はそういうことを期待してこの本を手にとっただけに、ちょっと残念ではある。でもところどころに、それらしい記述はあるので(「反復と変奏」とか)、好意的に解釈すれば、80年代を考える思考の途上の記録、ということになるだろうか。
しかしだからといってこの本が面白くないわけではない。どちらかというと、僕みたいにサブカルに興味がある人にとっては、著者への憧れ的な部分も含めて、面白い。あるいは80年代のユースカルチャーのある部分を担っていた人間の回顧録として、そしてその人が20年後にどのようにその時代を考えたか、という記録として、きっとのちのちに価値が出るんじゃないだろうか。 -
おもしろかった。わかりやすいし、鳥瞰的に具体的事象と雰囲気を把握できる。
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80年代から「価値観の多様化」と「細分化」が進んだが、それぞれの価値観に所属する社会の人間は相互の交通をほとんど認めない。それを多様化という安易な言葉だけで表現できるだろうか。というくだりに共感。<br/>
そうだ、この「おたく」やら「新人類」という言葉が流行りだしたころから、お互いの社会が交わらなくても当然担ったような気がする。<br/>
所々に出てくるラジカルの写真みたら、大竹まこと若いなー、なつかし。。。
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紀伊国屋新宿南店で購入。探していました。一時中断してましたが読了。宮沢章夫が東大で行なった講義の書き起こし。「80年代地下文化論」とは大袈裟で概ね「ピテカン(日本で最初のクラブ)」と「おたく」についてとその辺縁部に話が集中している。
六本木WAVE(波)が無くなってヒルズ(丘)ができて停滞の象徴となったとか、埼京線が恵比寿まで伸びて渋谷の文化が駆逐されたとか、興味深い説が出てくる。
平田オリザやチェルフィッチュのことにも触れている。
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ここ数年で最高に面白い本だったかもしれない。。。もう読むのがとまらなかった。読まずにはいられなかった。1983年生まれの僕にとって、80年代は重要なんです、刺激的なんです、なんだかわからないけど。堤一族と森一族の対比など、その全てのタームが刺激的で、面白かった。すごい一冊だわ。3ヶ月くらいかけて読むとか言っておいて、数日で読み終えてしまった。ほんと、止まらなかった。。。(06/8/9)
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80年代初頭クラブ「ピテカントロプス・エレクトス 」を基点として「ラジカル・ガジベリンバ・システム」迄の80年代「かっこいい」を追求したサブカルスノッブの感性意識。ヤマトやガンダムといったおたくカルチャーに対する反発的無関心からくる、「80年代はスカぢゃない!」マイナースノッピーの反撃と脆弱。批評といいつつ、エピソードをちりばめ終わったマイナー情報を集めてアイデンティファイ言上げするという、かっこわるい=おたく状態に陥ってる錯綜こそが面白い。
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こういう本が読みたかった。