サッカー戦術クロニクル

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862550163

感想・レビュー・書評

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  •  「サッカー日本代表システム進化論」の西部謙司の別の本。こちらは08年発売とすこしばかり古い。サッカーの歴史における一大ムーブメント「トータルフットボール」を軸に戦術の変遷を整理している。

     単純にまとめると、
    ・源流は30年代オーストリア代表(ヴンター・チーム)、50年代ハンガリー代表(マジック・マジャール) 更に遡ればアイルランド人のコーチ、ジミー・ホーガンが大陸に伝えたスコットランド流のパスサッカー
    ・それを「20世紀最高の監督」リヌス・ミケルスと「フライング・ダッチマン」ヨハン・クライフがアヤックスで洗練させ、74年西独W杯のオランダ代表で世界にお披露目(狭義のトータルフットボール)
    ・オランダ代表のトータルフットボールから2つの大きな流れが生まれる。「全員攻撃全員守備」というトータルフットボールの理念を守備のオートマティズムに発展させたアリゴ・サッキのプレッシングサッカー(ACミラン)と、パス&ムーブの攻撃を突き詰めたクライフ監督のアタッキングフットボール(FCバルセロナ)。これらは共に90年代はじめに、時期を同じくして出現。
    ・現在のフットボール戦術は須らくこのどちらか(あるいは両方)の影響を強く受けていると言える

     著者は欧州における戦術の革新が二十年周期で起きていることに着目し、そろそろ新しいフットボールが来るのではと予言しているが、見事に的中している。現在最先端の戦術は再びFCバルセロナの「ハンドボール・フットボール」(=GK含めた全員の高い技術力をベースに、まるで手でボールを扱っているかのような正確なパス回しから攻め立てる)。
     ほぼ常勝といっても過言ではないバルセロナの強さだが、それでも昨シーズン末(あるいは一昨年のCL準決勝インテル・ミラノ戦)から共にジョゼ・モウリーニョ監督が攻略の糸口を見つけつつあるように見える。
     ある戦術に対しカウンターの戦術が編み出され、時には再発見され時には既存のものを組み合わせて次の次元の戦術を生み出す。戦術の歴史はその繰り返しであるが、その底流には常にトータルフットボールの思想があると分かった。

  • 副題にあるとおり、「トータルフットボールとは何か?」が書かれている、サッカー戦術のクロニクル=年代記。

    ブログはこちら。
    http://blog.livedoor.jp/oda1979/archives/3877879.html

  • 戦術解析の歴史的な部分に関しては日本の第一人者と思われる西部氏のトータルフットボールの歴史。

    内容・構成も秀逸で、単に歴史を追うのではなく、10章のトピックで選んだチームがトータルフットボールといかに関わりがあるかを紐解いていく。

    特に最終章の、トータルフットボールの起源を明らかにするところは圧巻。
    一読の価値がある

  • 往年のサッカーファンにはたまらない一冊といえる。

    クライフがいた頃のオランダのトータルフットボールとは何だったのか、現代のサッカーと何が異なるのか、などの説明は説得力もあり秀逸。フリットがいたころのACミランの話も懐かしい。
    また、マラドーナやジダンのようなずば抜けた天才がいるとサッカーがどう変わるか、に関する記述も非常に面白い。

    サッカーの戦術を議論したい方々にオススメです。

  • 戦術とタレントと。戦術を遂行出来るタレントが居て、タレントを活かす戦術が有って。当たり前かもしれんがどっちかだけでは成り立たないことを認識。

  • なんとなくみていたサッカーが、少しは分かるようになるかもしれない。ゲームでなんとなしに使っていたフォーメーションの意味もおおむね理解できた。はやりのシステムができると、それを打ち破るシステムができる、ってのはサッカーでもあるのですね。

  • サッカー好きの私としてはたまらない戦術本である。
    年代てきにもオランダトリオ以降のミランあたりからリアルタイム体験になる。
    サッカーにおける戦術を学ぶと、観戦がより興味深くなる。残念ながら最近はスタジアムを訪れることがめっきり少なくなったのだが、この本を読んで、また、生観戦したくなりました。

    • 水源地さん
      クロニクルの1,2がありますが、1の方が私は好きです。布陣の説明をするだけではなく、歴史を紐解くのが西部さんは上手ですよね。生観戦私もしたく...
      クロニクルの1,2がありますが、1の方が私は好きです。布陣の説明をするだけではなく、歴史を紐解くのが西部さんは上手ですよね。生観戦私もしたくなりました。
      2011/07/21
    • skylarkingkyさん
      スポーツは生観戦しないと語れないと思います。単純にアスリート体格でビックリしスピードに感心します。暑いしビール片手にくつろぎたいものです。
      スポーツは生観戦しないと語れないと思います。単純にアスリート体格でビックリしスピードに感心します。暑いしビール片手にくつろぎたいものです。
      2011/07/21
  • 面白いんだけど私にはしんどすぎました。
    サッカーは理屈より感覚で楽しみたいかも。いまは。

  • にわかサッカーファンと言われないように、次回のワールドカップまで自分の中でのモチベーションを維持しようと、最近はサッカーの戦術本を読んでいます。
    一人一人の個性が有りながらも、チームとしてのシステムがあり、それらが融合して大きなうねりを作るサッカー。とても絶妙なルールの基に、限られた中でゴールを目指す。なんだか人生に似ているような気がする。サッカーとビジネスや人生を重ねて語るのはおもはゆいのではありますが、スポーツから学び、活かせることがいっぱいあると思います。
    本書は、サッカーの面白さを伝えてくれる良書だと思います。過去30年間に起きたサッカーの進化を知る本です。

  • ワールドカップ前に購入。

    「トータルフットボールとは何か?」「理想の攻撃サッカーとは?」。サッカーファンにとっては無限に広がるような?テーマだと思います。
    そんなテーマを切り口に、サッカーの戦術の歴史を紹介した本がこれ。

    特に1970年代以降の戦術の変遷の紹介は見ごたえ十分です。

    時に「司令塔」「ファンタジスタ」など、聞こえのいい短い言葉や耳目を引き寄せる「キャラクター」によってサッカーが語られることの多い日本。

    普段のメディア報道ではモノ足りない。戦術や歴史、チームの狙いなどを紐解きたい!そんな人におススメしたい一冊です。


    余談ですが、この本を読み終えた2週間後、自分は社会人サッカーの試合に誘われることになるのだが。。。

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著者プロフィール

1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。06年の『footballista』創刊時から「戦術リストランテ」を連載中で、同誌が主催する各種サッカーイベントにも多数出演している。趣味もサッカーで、東京都シニアリーグで現役続行中。主な著書に『サッカー戦術クロニクル』シリーズ、『スローフット』、『1974フットボールオデッセイ』(双葉社)、『戦術リストランテ』シリーズ(小社刊)など。

「2020年 『戦術リストランテⅥ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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