信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784862761415

感想・レビュー・書評

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  • マンデラも人間である。
    偉大な功績と引き換えた個人の幸せへの後悔を知ると、何とも言えない気持ちだ。

  • マンデラがどのように生きてきたのか

  • 生き方や考え方の参考に!
    あまり本はリピートしないのに、この本は毎年1度は読んでいます(3回目)

  • 信念を生きるのタイトル通り、自らの信念を生き抜いた人、マンデラの話し。

    同胞愛に満ち、同胞に自由を生き抜いて欲しいと願っていた。そのために、民主主義という手段が必要であった。

    マンデラの言葉を聞くと敵すら同胞になってしまうことにも肯けた。
    マンデラの最大の仕事は、リーダーを降りたこと。この一文が響いた。降りたことにより、みんなが自分たちで民主主義を考え、実現に向けて動き出したのだと思う。
    マンデラの生き抜いた信念の旅を体感できる本であった。

  • 若いジャーナリストによるマンデラの伝記。おそらく著者は、マンデラとのインタビューを通して多くの学びを得て成長したのだろう。そういうことが手に取るようにわかる内容で、これだけでもマンデラの偉大さを垣間見れた。

  • 人からのいただき物。利他性について考えさせられる。読み方によっては30分程度でさらっと読めるので、そういった意味でも軽くてオススメだ。

  • グロービス経営大学院の企業家リーダーシップの授業の課題図書のうちの一冊。
    ネルソン・マンデラという人のプリンシプルを知ることができた。
    ささったフレーズ集↓
    <勇敢に見える行動をとれ>
    ・勇気とは、恐れを知らないということではなく、抱いた恐れを克服していく意思を持つことだ。
    <背後から指揮をとる>
    ・学びながら、権限を委譲しながら徐々に味方をつけていく。助けを求められると人間は自分が尊重されていると嬉しく感じるもの。お返しに、尊重してくれた相手への忠誠心が増していく。
    ・王たるものは、相談役の意見を聞き、コミュニティのメンバーの意見を十分に聞いた後で、ようやく自分の意見を口にする
    ・人を説得して、あたかもそれはその人自身の考えであったかのように思わせるのが一番賢いやり方
    ・集団的リーダーシップの意義:個人の知恵<集団の知恵、合意形成を得た結論には尊さがある
    <己の敵を知れ>
    ・敵の心をつかんだと得意になってはいけない。自分が勝っているときこそ、最大の慈悲の心をもって相手に接しなくてはいけない。いかなる状況においても相手を侮辱してはならず、相手の誇りを大切にしなさい。
    <敵から目を離すな>
    ・予期せぬ攻撃に対して、絶対確実な策はない。しかし敵を常に自分の視野に取り込んでおくことで、見張られている状態にある敵に考えを改める余地を与えることができる。少なくとも不意打ちをくらうことはない。
    <長期的な視野を持て>
    ・忍耐強く慎重でありながら、急進的で大胆に行動することは両立可能
    ・物事が進んでいくスピード<物事がどこに向かっているのかという方向性が大切
    ・歴史こそが壮大な力をもたらし、優れたリーダーを形成する。時代の要求があって、その要求にこたえるべく、人が尽力し、本物のリーダーになっていく
    <マンデラからの贈り物>
    厳しい決断を下すことと原則を守り抜くことは両立できる。あるげき姿にふさわしい方法でその目標を目指せ。

    感化するリーダーであったマンデラ。
    自分自身が「感化する」力が備わっていないと感じているので特に「背後からとるリーダーシップ」が学びになった。

  • まさに理想とするリーダーシップ像
    共感できるのは、それらの能力を生まれながらにして身につけていたのではなく、牢獄という厳しい環境の中で、身につけていったということ。
    さらに、決して悪い意味ではなく、信念のためなら、手段を厭わない、結果重視の姿勢であることである。

  • 【序文】
    ウブントゥ:私たちは他者を通してのみ人間として存在する。他の人々の功績や貢献のお蔭で、自分はこの世で何かを成し遂げることができる。
    →自分一人でできることは限られている。志が高ければ高いほど、周囲の力を求めなければならない。一方で、自分が成し遂げなくても良いくらいの心持ち、また今花開かなくても後世に必ず継がれるという心持ちも大切という考えか。

    【まえがき】
    人格は厳しい状況の中でこそ計られる。報復や復讐といった気持ちを自らの努力により排除する。
    →なぜ赦せるのか。本当に心の底から赦しているのか?そこには、赦さなければ協力を得られず、協力がなければ国を1つにという思いが果たせないという「高次の自己」が存在していた。その「高次の自己」は、アパルトヘイトという不公平への憤りから生まれている。福武会長が「もっと現場に怒りを覚えろ」と言っていたことは、そこにも通ずる。

    【多面的な人物】
    多くの矛盾を内包している。
    →第五水準のリーダーシップ。極端に白黒決めないということにも近い。
    「中庸」無気力と傲慢の間(慎重と果敢の間)。
    ①本当にそれは善と言えるのか?自分のやっていることは本当に正しいのか?
    ②視野・視座を変えてみてみたか?
    ③未来から考えたか?(子々孫々に恥じないか?)
    ④一人で決めてないか?
    と多面的に考える癖がついているから。

    「伝える力」よりも「感化する力」。「自ら行うように感化する」ことを重視していた。
    →自己Ctrl感の大切さ、力強さを知っている。でもそう思わせるのはどうしたらできるのか?コピー取り、データ集め、など。

    自分の信念を決して曲げようとしない。「これはあってはならないことだ」というセリフを何度聞いたことだろう。
    →「良心」に従っているのだろう。床にゴミが落ちていてはいけない、挨拶はした方がよい、困っていそうな人がいれば声をかける。そんなレベルのものからかもしれない。

    彼に一番大事な教えを授けたのは、刑務所であった。自己の鍛錬と節制、集中力を植え付けた。…自分でコントロールできたのは自分自身だけだったのだ。…彼が刑務所で手にすることができたもの、それは時間だった。…刑務所で成熟(若いときにむき出しにしていた感情を無念のうちに秘める術を得る)したのだ。
    →内向きに自問自答する時間というのは、長めにとっておくべきなのかもしれない。日々の忙しさにかまけて、本当にしたいことは何か、また抑圧されるからこそ爆発的な想いがあふれる、というのはできるのかもしれない。

    ・彼が受けた不当な扱いを、他の誰も受けることがないように、マンデラは、この権利の実現のために、頑なとして譲らない信念を築いた。
    →他の誰もというのは子々孫々につながる話。

    【勇敢に見える行動をとれ】
    勇気とは自らの意思によって選択するものだ。…勇気とは、恐れを知らないというkとではない。抱いた恐れを克服していく意思を持つこと。
    →自己=選択に通ずる。行動でしか、自分の想いは実現しないのを心底わかっていて、そのためには勇気を持たなければならない。それを鼓舞するのは、自分への恥を拒むことにある。(I’m not as smart as I thought I was.)

    【常に冷静沈着であれ】
    落ち着きなさい。…今この瞬間にやるべきことに集中する。
    →過去の経験と、多面的に物事をみる(みなければならない)選択を迫られているからこそ。1つを選ぶことは、その他をすてることにつながる。

    【先陣を切れ】
    ・注目を浴びるような行動だけを指すのではない。看守や他の受刑者の尿瓶を洗うといった行動をみんなとともにするということだ。リーダーの下に人を作らず、つまり階層を作らないという彼の考え方を表している。
    →まずやってみせ!である。現場を知らない人間が、あーだこーだいっても動かないことと一緒。新しい方針がでたら、まずは自分の言葉で語るし、新しいシステムが導入されたら、まず自分が捜査して見せる。

    リーダーには一人で意思決定して、行動しなければならないときがある。行動した後に、組織に対して説明責任を果たすべきときがあるのだ。その結果、組織と対峙しなければならないときに問うべき問いは、リーダーの取った行動が真に活動のためだったかどうかだ。先陣を切るリーダーシップとは、説明責任が伴うことを意味する。
    →逆に無理に一人で意思決定しない場面でむちゃするのは総スカンを食らう可能瀬もある。自分にしかできない(任されていること)とそうでないこと、というのは常に選択する際に念頭に置きたい。

    自分たちが望む解決策ではないにしても、避けられないものなら先延ばしにするな。
    →後でやろう、これは重たいから、と先延ばしにしてしまう癖がある。それは自分がダメージを受けたくないだけ。やらなきゃいけないなら、先にやる、自分がやる。そのモチベーションの源泉は早くやったほうが傷は浅い、自分が好きになれること。

    【背後から指揮をとれ】
    個人としては、人から注目されることが好きだが、集めた注目を常に仲間と共有することも忘れない。みんなが「ゲームに参加している」と感じることが必要。メンバー全員に「自分たちがマンデラの意思決定に影響を与えているのだ」という当事者意識を持たせることが重要だと考えていた。
    →全くその通り。自分で選択していると思わせることは大切。でもそのためには?対話をし、コミットメントを取らせることが肝になってくる。そのためにはまずは質よりも量をとるコミュニケーションが必要。となると週1MTGでも、月1ランチでも時間を割くことをしなければならない。

    助けを求められると人間は自分が尊重されていると嬉しく感じるもの
    →個の重要性や居場所を感じることの大切さ。

    集団的リーダーシップ。
    1.個人の知恵より集団の知恵が優る。
    2.メンバー全員の合意形成のプロセスを経た結論には、尊さがある。

    【役になりきれ】
    常に物事が「どのように見えるか」に細心の注意を払う。受け手にとって「どう見えているか」というのは、とても重要であり、第一印象を与えることはたった1度しかできない。…現実とは、物事がなんであるかよりも、どのように見えているかだ。
    →いくら素敵な言葉を言っても、うそっぽく聞こえたら、その言葉はうそになる。すべて本心を見せれば良いわけではない。男も化粧をしなければならない、分人が大切。

    【原理原則と戦術を区別せよ】
    自己に対する自信と自尊心があったがために、それほどの強い怒りを覚えたのだ。そもそも自尊心の低い人は、自分に対しての期待を失ってしまうものだ。自分自身が信頼できないために、他人からの評価を重要視してしまう。
    →信頼できていないというのは大きい。何をしたら信頼をもてるのか?好きになれるのか?

    アパルトヘイト撤廃のためには暴力という手段に訴えるしかなかった。…ガンジーの場合、「非暴力」は彼の原理原則であり、この原理原則を破って得た勝利などなんど価値もなかった。
    →原理原則はそれぞれだが、それを冒してまで志を果たしても意味はない。自分にとっての原理原則とは?

    投獄中、マンデラは同志たちと何時間も、何日も、何カ月も、何年も議論を重ねていった。
    →この時間があるからこそ、原理原則、戦術は明確になったのではないか?

    【相手の良い面を見出せ】
    <悪い人間>であることを証明する駅ごとが起こらない限り、すべての人間は良い人間であるとマンデラは信じている。…人間の邪悪な面だけを見てはいけない。この世には、完全な悪人も完全な善人も存在しない。…人の良い面を見出す直感が備わっていること。人は「良い人間だ」と信じて期待をかければかけるほど、本当により良い人間になっていく。同僚、家族、問わずに人は期待されればより貢献したいと思うものであり、貢献できないと罪悪感を抱くものだ。
    →完全なものはない。「性善説」で先ずは信じてみることが第一歩。相手に良い人間だと期待をかけると、それに応えなきゃというのはあること。

    「自分の利益のことしか考えていない」という言葉は、人間の悪い面に対してマンデラが非案するときに使う、数少ない言葉。
    →自己も大切だけれど、それを満たすには他己
    「見かけの振る舞いよりも中身は優れていた」-彼の冷徹な行動は彼の信念からくるものではなかったのだ。…邪悪さは人が育っていく過程、その人の周りの環境、受ける教育などによって植え付けられていく。
    →その人も環境に毒されて、新年ではない所で悪人だということもある。

    【己の敵を知れ】
    白人を理解するためには、彼らの言語だけではなく文化も知る必要があると考えた。
    →相手の言葉で話し、相手の前提で話す。それだけの価値がある人間と思われると、相手の自分に対しての頑張りが見えると応えたくなる。

    【敵から目を離すな】
    敵を自らの視野の中に文字通り収めておくのだ。
    →自分の仕事をする上での敵って感じたことがない。つまりは私のことを邪魔したいと思うほどに活躍をしていないから。。。

    ハニとホロミサに共通していたの未熟さ。頭で考えるのではなく、心、つまり感情に判断を委ねてしまう未熟さだ。…彼らは危険で、信頼しきれない存在だった。1つに、彼らの不誠実さの問題があり、もう1つは、感情的でいつ何をするか分からないという不確実性の問題があった。

    【しかるべきときにしかるべく「ノー」と言え】
    ・マンデラの辞書に「おそらく」という言葉はない。その言葉の代わりに、沈黙があるのみである。…「ノー」と言ったあとの結果を考えると、「ノー」という言葉を使うのが、いかに難しいことかが理解できる。…マンデラの「ノー」は、ストレートで、淡い期待や、議論の余地など残されていない最終的な「ノー」なのだ。
    →不明瞭の発言は返ってまどろっこしかったり言い訳じみて聞こえて不信感を招く恐れがある。しかし、ある時には名言を避けることもある。それによって、選ばれなかったものたちの不要な反乱意識を芽生えさせてしまうから。

    ・自分が問題に向き合いたくないために、意思決定を先延ばしにすることは辞めた方がいい。今すぐ、その問題に向き合い、選択し、明らかにする。それが、長期的に見れば問題解決の近道になるのだから。
    →決まってなくても、大声で志を語ってみるべき?

    【長期的な視野を持て】
    何千年もの間続く人種差別、様々な弾圧、短期間で是正できるものではないのだ。
    →自分の志だってそう。80年生きるときに立てる目標が短期間で解決できるわけがない。また人を判断するときもそう。今日その人が迷惑をかけてきたからと言って、それでその人を評価するのはもったいない。

    「決断力がある人物」というのは、意思決定のスピードが速い人という言う意味ではない時間をかけて幅広い角度から分析し、最善の判断をする力を有している人のこと。

    【「負けて勝つ」勇気を持て】
    自分の足跡は砂に残した第一歩であり、その後から来る者が道を作っていくことを、そしていかなる政策よりも自分の行動そのものがより息長く影響力をもつことを理解していた。
    →自分の代にどうこうなってほしいわけではなく、長期的に不公平がなくなれば。そういう思いを有している。

    【すべての角度からものを見よ】
    あまりにも多くのモノを内包しているがため自己矛盾がしばしばおこる。…すべての問題には複数の大義がある。
    →偏った、独りよがりのものの見方をしてはいけない。

    【自分だけの畑を耕せ】
    畑仕事は心を和ませ、家族や解放運動のことなど外の世界の様々な心配事から彼を解放してくれる存在だった。…私たちにも外の世界から少し距離をおいて、自分に喜びと満足を与えてくれる場所が必要だということだ。


    【あとがき】
    いつか国中の親が、彼らの子供たちに対して自分と同じこと(どうしてお父さんは家に泊まっていかないの?への返答)を言わなくても良いときが来ることだった。…過去と未来をつなぐ鎖の役割を果たしたいと願っていたのだ。

  • タイム誌のライターがネルソン・マンデラに長期間に渡るインタビューを行いまとめあげたマンデラ伝。様々な角度からの掘り下げ方が可能である中、主に彼の卓越したリーダーシップがどのような行動哲学に基づいているのかを、15の行動哲学を挙げてまとめた一冊。

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