- Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
- / ISBN・EAN: 9784872335545
感想・レビュー・書評
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読みながら、止まない雨はないってことわざが頭をチラチラ。日本人にとって身近な雨で、人間の日常に溶け込んでいる水が、こんなにも簡単に終末をもたらす。止まない雨と、方舟というキーワードだけで、夢見ることをやめてただひたすら笑っているだけの私たちを諭す。
しりあがり寿マジすげーってなった。この画でしか描けない狂気があるよね。最後のカップルの女の子の死体が巡る、水に沈んだ東京と対象的な全てを呑み込んだ水面が太陽でキラキラしていて綺麗だった。あと表紙の方舟の字体がとてもいい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「輝ける未来の代わりに、美しい終末を描きたい」と書いてある。
想像力を発揮できるのは、前向きな未来ではなく、十分美しいこの世界がどう終わっていくか、にあるという。
このほうが、生が浮き彫りになっていく。
ひねくれてはいるが、すごく前向きに一生懸命な人なんだろうなと思う。
坂口安吾みたいな。 -
あの絵でこんなシリアスなストーリーって……と絶句。
1999~2000年にかけて、つまり20世紀末に連載された、予言の書。
あの絵なので(しつこいよ☆)怖さが減殺されるかというと、
そんなことはなく、意外に人の死にっぷりが生々しくリアル。
自然災害が多い日本においては、現実味があり過ぎてゾッとする。
過疎の村に、出て行った若い人たちが帰ってくるという第8話は、
最早「別次元」の話=待っている側が見た束の間の夢なのかと
想像すると切ない。
それにしても、目ぇキラキラさせてた高校生カップルが悲しいなぁ。
とんだ名作です。 -
嫁さんは読後に「何これ救いないじゃん!」と激怒してたけど僕は絶望的な状況の中でも愛し合い、夢を信じる人達の姿に感動しました。
ダンサー・イン・ザ・ダークを観終えた時の感覚に近いかな。 -
混乱と恐怖と絶望と死を生々しく感じられる作品。落ち込んだ気分から抜け出せない。
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この期に及んで救いだと?ってな感じの一冊
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絶望を味わう本。
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しりあがり寿ってほんと絶望するほど生々しい人間らしさをかける人だねぇ・・・
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「夢が見られない、未来を想えない、
そんな世界はそれ自体で間違っている」
ということばが脳裏に浮かんできた(『ブギーポップは笑わない』)
21世紀になってもこの世界は何も変わっていない。
ならばこの想像力が欠如した世界で、わたしたちには
何ができるのだろうか。
とびきり美しい終末を思い描くことだろうか。
それとも、無力だと思いながらひたすらに戦うことなのだろうか。 -
最後がとても好き。