- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784874241172
感想・レビュー・書評
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象は鼻が長い 三上章 くろしお出版
題名に惹かれて読み出したけれど
中身が結構難しい
そんなわけで
挫折しそうになったけれど
気を取り直してユックリと読み込んでみると
これが結構面白くなってくるので
ビックリ
日本語独特のテニヲハの中でも
ハとガ更にはハに隠されているガノ二ヲについて
英文法と比べながらこの一冊にまとめている
これはゲームのように何度も読み返せる本で
買った方が良いかもしれない詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
てにおは、が、の役割を理解できる一冊。
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先日読んだ「日本語に主語はいらない」の「底本」のひとつに挙げられていた本です。
日本語の助詞のうち、係助詞「ハ」の役割について仔細に述べられています。「ハ」は、他の格助詞「ガノニヲ」を代行する働きと、語られている内容の「題目」を提起する働きとを持つ。
ひいては決して「主語」の標識ではない。(少なくとも日本語には「主語」の概念は不要)
そして、たとえば「象は鼻が長い」という一文があった時に、「象は」が総主語、「鼻が」が主語、等と無駄にねじれた解を与える学校文法への真っ向からのアンチテーゼです。
少々難しいですが、論旨は明解。日本語の構造が非常にシンプルに説明されています。
たぶん、日本語はそのシンプルさゆえ柔軟…運用段階では難しい言語ということになるのかも知れませんね。
この本、初版が1960年。我々もガッコでは「主語・述語」という文法を習いましたが、半世紀を経て近ごろはどうなっているんでしょうか。未だに、旧文部省の亡霊が立ちはだかっているような気がしますが…。 -
なかなか難解。内容を読み取れた自信はほとんどないが、ただおぼろげながら捉えた内容は非常に興味深い。
この本での主張は主に次の二つ。
①「ハ」には主務と兼務とがある。
②「ハ」は「ガニノヲ」を代行する。
「ハ」は文末と呼応して文を完成させることを本務とし、また兼務として中味への関与の仕方も示している。これが主務と兼務という考え方。
「ハ」というのは元々「ガニノヲ」であったものが「題目」として出てきたものであるから、「ハ」は「ガニノヲ」に置き換えることができる。つまり「ハ」は「ガニノヲ」を代行していると言える。
それでは仮に「ハ」は主語ではないとしても「ガ」は主語ではないのか?ということになるのだが、三上氏はどうもこの「ガ」を主語ではなく主格として、つまや連用修飾語として目的語や補語と同列に並べているようである。従来の「主語-述語」を主軸とした文法に一石投じていると言えよう。個人的には私もこの案に賛同。言語を学ぼうとする際に、「主語」というものがあまりにも特別に扱われすぎではないか?もちろん英語においてはそれでもいいかもしれないが、日本語だけでなく中国語においても主語というのがそこまで明確でない気がする。
私は英語や中国語といった外国語を勉強しているが、その中で主語という概念に疑問を持ちこの本にたどり着いた。この本は、日本語だけでなく外国語の世界にも新たな視点をもたらしてくれるものだと思う。 -
本書は言語学者である三上章による、日本文法における「は」に関する自説を解説したものである。初版が1960年と古いが増版、増刷され続けている書籍である。
本書では日本文法論に見られる「主語不要論」の立場において、係助詞「は」の働きについて、「文全体の題目を表し、かつ格助詞『が・の・に・を』を代行するものである」としている。
確かにこう考えることにより、英語に直訳すると意味不明になる、「は」を使った文章を (英語的に) 自然な形に言い換えることができる。しかし、現在のところ、この三上文法は主流ではないようである。その理由としては、その代行の解釈がややアドホックであることと、これを生成文法 (正しい日本語の文が作れるような形式的規則) として捉えることが難しいからではないだろうか。三上文法は寺村秀夫に受け継がれたようなので、そちらもぜひ勉強してみたいと思う。
内容は非常に面白いが、文体にやや癖があるので読みにくく、★4つとする。 -
日本語で使われる「は」について,その役割を細かく見直した書籍.一般的に「は」は主語を示すものと教えられている.主語と述語が基本となる言語観は日本語文法では問題になると著者は強く指摘する.
自分が作文する際に,今後意識しなければならないところがたくさんあった. -
初挑戦、日本語文法本。かなり前に出版された本だけど、日本語話者として、何気なく使っている日本語。いろいろ考えたら、どんどん迷宮に迷いこんでしまいます。