ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 (ウォートン経営戦略シリーズ)

  • 英治出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784901234719

感想・レビュー・書評

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  • ビジネス上のイノベーションによって多数の貧困層(BOP:Bottom Of the Pyramid)を有望な顧客として捉えることの重要性と、それを実行している企業のケーススタディ集。大前研一がこれは読んでおかないといかん、というので読んでみました。貧困層はビジネスにもなるし、そのことによって貧困層を中間層に引き上げることもできる、という話です。
    『コアコンピタンス経営』のCKプラハードさんの著作ですが、PartIIのケーススタディはプラハード教授の学生か助手が整理したものなのか、それぞれのケースのNOTESに「このレポートは、C.K.プラハード教授の監修のもとで、Xさん、Yさんが作成した。このレポートは、議論の促進を目的としており、取り上げた戦略の有効性は非有効性について解説したものではない。」という注記がされています。嘘は含まれていないけれども、教授としては不満なところもあるっちゅうことなんでしょうか。

    厚い本ですが、PartIIはPartIでも紹介された企業のケーススタディになっていますので、細かいところが不要ならPartIIは飛ばし読みでもよいかもしれません。

    こういう本には珍しくDVDが付いています。確かに低価格義足は映像を見た方が理解が早いですね。

  • 著者いわく、「IT革命前がオールドエコノミー、IT革命によるネット系企業の隆盛期がニューエコノミー、その後(2006年からスタートと予測)がネクストエコノミー」。ネクストエコノミーでは、ほとんどの業界で供給過多が起こり、完全買い手市場になる。このような状況で、差別化に低価格を使用することの危険性とその回避方法を説く。マーケティング担当の人のみならず、一読を進める。

  • 470Pを超える大作。新興市場を対象とするマーケティングを考える上での勘所を、豊富な事例をもとに丁寧に説明してくれる。

    日頃ビジネス誌などを読んでいる中で、小分け販売やマイクロファイナンスの活用など、BOP(Bottom of the pyramid)市場に進出する上でのポイントはある程度知っていたつもりであった。でも、本書はBOP市場についてより概念的に哲学的に説明してくれているので、新興市場相手のビジネスを考える上で多くの気付きを得られた。

  • 2010年に亡くなった
    経営学者C.K.プラハラードの著書。
    1日2ドル以下という低所得で生活する
    世界の40億人以上、ベースオブピラミッドを対象とする
    ビジネスは、
    どういう視点が必要であり、
    そして実際にはどういう事例があるのかを丹念な
    リサーチからまとめたビジネス・ケースブック。

    BOPビジネスに乗り出す企業にとっては必携の書かもしれない。

    とりあえず、思うのは
    先進国で受け入れられた商品やサービスの「廉価版」を
    持ち込む、という発想では
    まずもって成功しないんだな、ということ。

    現地の状況や人々のニーズ、さらにはニーズを超えて
    「なぜこういうものがなかったのだろう?」というような
    イノベーションを成し遂げることが、
    キーだと思う。

    そもそも、1日あたり使える額は相当に限られているのだから、
    「ちょっとシェアをとる」ような、市場の枠の中の優位では
    まるで事業が成り立たないのだろう。
    だから、極端にいえばシェア全部とる、というか、市場自体を
    作り出す、くらいのことをやらないと、先進国企業としては
    「成功」とはいえないだろう。
    で、そこまでいくには、逆算的にいうと
    1企業の利益追求を超えて、本当に人々のためを思い、実現する
    姿勢が欠かせないように思われる。

    たぶん今日的な日本の大企業が一番苦手な分野だと思うので、
    どっちかというと勃興するベンチャーや、中小企業に可能性が
    あるのかもしれないのだが、
    しかし資本の導入力や生産効率という意味では大企業のストロングポイントが
    生きることも多いはずなので、
    そこにシナジーが起こればな、という感じがする。

  • BoPビジネスを仕掛ける(既に他の方が仕掛け済みのものも含め)ために、東南アジア諸国を回遊魚のように巡る旅の途中、バンコクからカンボジアへのFlight45分の間に速読。
    複数の実在の話をベースにしており、机上の空論でない、具体的な助言満載。
    事実と知識が結合すると、あっという間に、次のプランへと繋がる。こういうビジネス本はできれば体感している最中に読むのがベスト、と常日頃思っておりまする。。。。
    とはいうものの、BoPビジネス概論本としてはOne of the bestでしょうなああ〜

    いずれにしても、BoPのキーワードは貧困層にある人々の学びの機会と継続性を維持するためのお金と人、ITはインフラとして常に重要。∴学び場プロデュース業を営むココロウタ(私)としては、さらにここに突っ込んでいきたい気持ちになりました(^。^)

  • 25年前にインドで生活して救いようのない大勢の貧困層を目の当たりにしてきた。根強いカースト制度、経済成長を阻害する文化や政治、植民地時代から公用語になった英語を除けば地方によってバラバラ(50種類)の言語や文化をもつ日本の7倍の人口と広大な国土を持つ国。第三世界を変えることは先進国の力でも到底できない気がしてたけど、BOP層を市場にした経済エコシステムの発達によって貧困層にも自立する術を得ている人々がいることがよくわかった。
    企業とNPO・NGOの共同でさまざまなイノベーションを起こした事例が紹介されていて、それらはBOP市場の経済の仕組みから人々の生活まで変えるから、途中で手を引いたり安易に方針を変えるようなことはできず、最後まで責任を持つ覚悟が必要。そして不正や詐欺に慣れている人民はなかなか他人を信用しないので、信頼感を築くまでに相当力を注ぐ必要もある。一番納得したのは、貧困国は実際資源が豊富にあるのに、国の取引統治力が低いがために透明性のある取引ができず資産を資本に展開できない場合が多いということ。経済開発にはガバナンスの改善も不可欠。
    莫大な市場が得られる代わりに莫大な投資とリスクが必要なこの取り組みは、相当体力があり経営も安定した大手企業でないと難しいと思う。そう考えると、日本の企業も世界に対抗し世界のマーケットに対応できるようM&Aで大きくすることは必然なのかもしれない。

  • 大きくパラダイムが変わろうとしていることがわかる本。
    今までの常識を忘れて進化しつつある新興国との
    ビジネスを考えさせられる本。

  • ザ・BOPビジネス本。BOPビジネス本をかじるならまずはここから。

  • ■概要
    1日2ドルで生活する、経済ピラミッドの最下層、BOP(Bottom of the Pyramid)。40億人といわれるこの階層を、援助の対象としてではなく、市場と捉えることで、大企業、中小企業、政府、NGOなど、様々な利害関係者にとっては新たな事業の種を生み出し、そのモデルが、富裕層をターゲットとした既存事業の刷新にもつながっている。また、貧困層から起業家を生み出していることも注目に値する。ユニリーバ、マイクロファイナンスなど、豊富な事例から学ぶ。

    ■仕事に活かせる点
    BOPビジネスの背景理解。事業の種の発見。
    (千)

  • BOP(Bottom of the pyramid)ビジネスについてのもっとも基礎的な本といってもいい。この本からBOPって最初に言い始めたはず。
    貧困層を抱える国(インドとか中南米のへん)で貧困層の生活を変革しつつ、どのようにビジネスを展開するのか?社会的な協力を得つつ、持続的に事業を継続したのか?どこが成功のポイントだったのか?などをケーススタディ的に紹介してくれている。
    コトラーのソーシャルマーケティングを読んだときにも思ったけど、こういうのをみるとビジネスは本当におもしろいな!って思う。寄付だけじゃなくて、世界をよくしていく動きとして素晴らしい取り組みだと思うし。

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