ローズマリーの赤ちゃん [DVD]

監督 : ロマン・ポランスキー 
出演 : ミア・ファロー  ジョン・カサベテス  ルース・ゴードン  シドニー・ブラックマー 
  • Paramount Home Entertainment(Japan)Limited(CIC)(D)
3.65
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  • (3)
本棚登録 : 362
感想 : 73
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988113758307

感想・レビュー・書評

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  • 特に驚かせるような演出があるわけでもないのに、じわじわとくる恐怖。
    子供ができたらあんな恐怖や孤独を感じるのかもなあ。

  • <私的ホラー映画祭㉔>おもしろかった。母性とサタニストのせめぎ合いを丁寧に描いた。また、肝心なところを情緒的に見せておらず、結局、ラストまで終盤が現実なのか幻想なのかも意を決して明らかにしておらず、ポランスキーの意地が透けた。

    妄想や虚言など神経症を疑われるローズマリーが疑義を呈するポイント=手袋の紛失、ネクタイの交換、夫のライバルの失明などを、前半からストーリー内に違和感なく散りばめた点に好感がもてる。一方で、サタニストを完全には否定できず、結果として、ラストに余韻が広がった。

    演出が光ったのは、電話ボックスで後ろ向きに立った男の背中。結果的には何でもなかったのだが、大きな男がああいう風に立つと怖い。隣人のばあちゃんに延々と飲まされるドリンクも、牛乳と青汁を混ぜたような液体で、怖い。ローズマリーが町医者から連れ去られるときも、連れ去る側をわざとカメラ前に立たせ、顔を見せない。圧迫感がでていて良かった。


    【ストーリー】
    ニューヨーク。現代。若い俳優ガイ(ジョン・カサベテス)と妻ローズマリー(ミア・ファロー)が、マンハッタンの古いアパートに引越してきた。2人がつき合っている初老の友人ハッチ(モーリス・エヴァンス)によれば、このアパートは、以前から不吉な噂がたえないという。だが若い2人は、いっこうに平気だった。隣人はローマンとミニーのカスタベット夫妻。親切だが、少々おせっかいの老夫婦だ。彼らには養女が1人いた。彼女は、いつもタニスの入った異様な匂いを発するペンダントをしている。そして、ある夜、彼女はアパートの窓から飛び降り自殺をとげてしまった。理由のわからない不可思議な死であった。翌日、カスタベット夫婦は、ガイとローズマリーを夕食に招待した。ローズマリーは、この夫婦をあまり好まなかったが、何故かガイは親密なつきあいを始めていった。そしてミニーは、例のタニスの入ったペンダントをローズマリーにプレゼントし、一方的な親切をみせ始めた。この頃から、ガイの仕事の上に変化が起こり始めた。いつも彼をだしぬいて、いい役にありついていた俳優が急に盲になり、ガイに役がまわってきた。そして急に、赤ちゃんを作ろうと言い出し、その日にちまで決めてしまった。ローズマリーに異論のあるはずはない。その当夜、夕食の時、ミニーがデザートを持ってきてくれた。だが、まずくてローズマリーは食べられなかったが、ガイの強いすすめで半分ほど食べ、その結果、目まいがして意識を失ってしまった。その夜、ローズマリーの見た夢は、まさに悪夢というにふさわしい。翌朝目ざめると、彼女の身体は、ひっかき傷でいっぱいだった。おかしな、そして不気味な一夜であった。そして彼女は妊娠した。するとカスタベット夫妻は親切ごかしに産科医の指定をしたり、栄養があると称する飲物を毎日運んでくれさえした。ガイは何も言わない。だが日が経つにつれ、ローズマリーの身体は弱まり顔色は悪くなるばかり。訪ねてきたハッチは心配してくれた。様子がおかしい。彼は翌日、彼女と会う約束をして帰っていったが、その約束の日、彼は急病で倒れ、数ヵ月後に死んでいった。そして、かたみに"魔女のすべて"という古い本をくれた。ローズマリーは読みふけり、すべての謎を解いた。カスタベット夫妻は、魔族だ!そしてガイも一味になったのだ!ローズマリーはもうすぐ生まれる我が子の安全のため1人で事を運ぶ決心をした。だが産科医さえも、ぐるだった。もう逃れるすべはない。ローズマリーは、なんとか無事に子を生んだ。だが、みんなは死産だったという。しかし、時たま隣室から子供の泣き声がする。ある夜、肉切り包丁を持った彼女は1人、隣室に入っていった。するとそこには、魔族が大勢集まり、ガイもいる。黒づくめで十字架のついた、ゆりかごまである。ローズマリーは近づいた。中の赤ちゃんは、瞳孔がない。悪魔の子だ!自分の生んだ子、ローズマリーの赤ちゃんは悪魔大王の子なのだ!妊娠したあの夜、ガイの身体に悪魔が、のりうつったのだろう……。現代のニューヨークでの話である。

    アイラ・レヴィンの同名小説の映画化で、脚色・監督はポーランド出身の異才ロマン・ポランスキーる。撮影は「女狐」のウィリアム・A・フレイカー、音楽は「水の中のナイフ」でポランスキーに協力し、あとを追って西欧に逃れたポーランドのクリストファー・コメダが担当した。彼はポーランド時代、ワイダの「夜の終りに」のスコアを担当したことがある。

    なお、夢のシーンの合成撮影は、ファーシオット・エドワードが招かれて担当している。出演は「バタシの鬼軍曹」やTV「ペイトンプレイス物語」に出演していたミア・ファロー、「特攻大作戦」「暴力波止場」などに出演し、監督でもあるジョン・カサベテス、舞台の名女優ルース・ゴードン、「女房の殺し方教えます」のシドニー・ブラックマー、「猿の惑星」のモーリス・エヴァンスほか。

  • 隣人がすべて悪魔崇拝者だったとしても
    それをもってすべての怪異を悪魔の仕業であると断定はできない
    単なる偶然か
    あるいは、人間の手によるものの可能性だってある
    しかしここで重要な問題は
    ローズマリーにとって信用できる人が誰もいないということだ
    唯一信用できるのは、自分のお腹にいる赤ちゃんだけ
    その事実の前では
    父親が誰であるかなんてことは、とりあえず些末な問題にすぎない
    そして忘れてならないことがもうひとつ
    悪魔の存在は、神の存在を裏書きするものなのである

  • 2012年に制作されたヴィダル・サスーンのドキュメンタリー映画「Vidal Sasson」を観ていたら、出演者ミア・ファローさんが映画の中でヴィダル・サスーンさんにカットされるシーンがありました。それでこの映画でそのシーンを観てみたいなあと思いました。

  • 腹立たしい気持ちが残る
    しかき母の愛は無常であることもまた悲しい事実…

  • 元祖人間怖い系名作映画。グロもショックシーンもないけど、こんなに怖い映画はそうそうない。

    妊娠による体調不良の中で、色々な状況証拠によってローズマリーが隣人も主治医も夫さえも悪魔崇拝者の手先だと信じるに至り、不安と孤独の中で追い詰められていく様が主題なのだけど、この作品の何が素晴らしいって、ローズマリーが周囲に向ける疑惑が、真実なのか、それとも全て勘違い・被害妄想なのか、最後のギリギリまではっきりさせないその見せかた。そして、単なる個人的な好みかもしれないけれど、願わくば最後まではっきりさせないまま終わってほしかった。

    この映画に見られる恐怖は2種類あると思っている。一つはわかりやすいカルト・狂信者の怖さで、もう一つは、ローズマリーの陥った疑心暗鬼・強迫観念・孤立といった精神的な底なし沼が「条件さえ揃えば誰でも陥りうるものである」という事実の怖さ。ラストシーンのせいでどうも前者ばかりが受け取られがちなように思うけれど、ここは真実を曖昧にしたまま終わらせたほうが、両方の恐怖の本質を生かし続けられたのではと思う。

    後者の怖さは、ローズマリーの置かれている状況の説明が、統合失調症の方が抱く被害妄想や、証明も反証も不可能な陰謀論を唱え続ける論者と表面的には全く区別がつかないことによく表れている。これが僕には一番怖くて、最終盤まではほぼこの要素だけで作品が成立していたと思う。最後までその要素だけでいくなら、例えば最後に「実は全部ローズマリーの被害妄想で、実際は悪魔崇拝も何にもなかった。でも彼女の誤解が解けることはなく、妻が夫を刺殺するなどの悲劇的結末でTHE END」というようなオチになっていたろう。

    実際は、最後になって怖さの重心が「カルトが人を絡め取る過程」というところに急速に移っている。ただ、最後に我が子を見たローズマリーの反応がとても興味深い。それは、我が子が先天的奇形でおぞましい身体を持って生まれてしまったときのそれに近い。ローズマリーの母性は正しく現実に適応した。どのような姿であっても、どれだけ呪われていても我が子を愛することを選択した。ラストシーンは、そんな美しく逞しい母性が、ついにカルトが赤ちゃんもろとも彼女を絡めとる最後のひと押しになってしまったことを強く示唆している。ミア・ファローの表情一つでそれを見事に伝えているこのくだりは本当に一見の価値がある。凄い。

    ということで、かなり好きな部類の作品でした。

    ところで今作のミア・ファローの(超かわいいんだけど映画の中ではずいぶんな言われようだった)ヘアスタイルを観てて、今をときめくキャリー・マリガンの立ち位置って、元を辿るとここが元祖なのかなと思った。繊細系ピクシーカット枠とでもいうか。最近の「グレート・ギャツビー」のリメイクで、元祖でミアがやってた役をキャリーがやるらしいし、認識としてはそう外してはいまい。

  • ミア・ファローが超絶オシャレな古典ホラー。

    これって「ディアボロス」の元ネタだったのかー。

  • なんかモヤモヤする作品だなあ。なんで最後ナイフを持って行ったのに、全員殺さないのよ。不思議な作品。

  • 知らないうちにのっぴきならない状況に主人公は追い詰められ、また主人公と接触した人物、助けようとした人物も知らない間に殺されている。赤ちゃんが最後まで出てこない(見えない)ところにも恐ろしさは伝わってくる。

  • マンハッタンの古いアパートに、若い夫婦者が越してきた。やがて妻のローズマリーは身篭もり、隣人の奇妙な心遣いに感謝しながらも、妊娠期特有の情緒不安定に陥っていく。彼女は、アパートで何か不気味なことが進行している、という幻想にとり憑かれていた……。

    中盤までの心理的なサスペンスと終幕の意外な結末が、R・ポランスキーのじっとりとした演出と相まって、原作に勝るとも劣らない傑作を産み出している。

    M・ファローの病的な表情が、一種のミスディレクションとして効果を上げた。驚くべき事に「続・ローズマリーの赤ちゃん」なる続編がTVムービーとして製作されている。

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