ノルウェイの森 【スペシャル・エディション2枚組】 [DVD]

監督 : トラン・アン・ユン 
出演 : 松山ケンイチ  菊地凛子  水原希子  高良健吾  霧島れいか  初音映莉子  玉山鉄二 
  • ソニー・ピクチャーズエンタテインメント (2011年6月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4547462076601

感想・レビュー・書評

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  • 侮っていた。2010年公開だから、10年侮り続けていた自分に後悔する。
    どうせオサレ監督がオサレ俳優にオサレ棒読みさせてんだろうと断じた自分を糾弾したい。
    いわば志の低い映画だろうと舐めていたわけだが、鑑賞した結果、志の高さに感服した次第。
    確かに非現実的な台詞やモノローグを棒読み、という想定された鼻白み部分は、まあ、ある。
    しかし調べるに、春樹が自作の台詞は映画化するなら改変すべきだと思うよと言ったのに対し、松山ケンイチが挑戦してみたいと申し出たのだそうだ。
    それが成功しているかは別にして、その挑戦心は買いたい。

    また映画は総合力で判断すべきものだから、たとえ棒読みであろうと、他の要素に期待すべきだったのだ。
    いきなり細かいところに行くが、たとえば調度品の面白さ。
    鍋の模様、とか、ドアの位置に上から暖簾ふうに取り付けられた、キラキラする何か、とか、昔ながらの布団カバー、とか。
    舞台は1969年……おそらくプラスチック製品が我々の生活を侵食しきる以前。

    さらに音楽は、控えめにいっても最高。
    これでジョニー・グリーンウッドが映画音楽を担当した作品は、「ビューティフル・デイ」以外(7作中6作)鑑賞したことになるが、すべて傑作。
    本作でも不穏さ炸裂。その中でもサントラ9番目の「いい子だから黙ってて」のギター一本が印象的。
    この音楽があるからこそ、「ツリー・オブ・ライフ」ばりの森や波や風景の中で苦悩するワタナベくんが映えたわけだが……さすがに音楽に頼りすぎと感じた。
    不用意に「ツリー・オブ・ライフ」に言及してしまったが、あそこまでBBC番組的でないにせよ、すごい風景だな……と驚いた。
    なんでも兵庫県の砥峰高原、峰山高原、香住海岸あたりがロケ地らしい。
    ああいう風景が確かに日本にあるのだということを教えてくれたのにも感謝したいし、原作を読んだときに想像しきれなかった山奥の感覚を味わわせてくれただけでも、ありがたい。

    ところで役者について。
    鑑賞中は松山ケンイチの演技が、うーん……、水原希子の演技が、うーん……、菊地凛子の演技はアプローチとしては凄まじさを出しているのでなかなかいいな……、など斜に構えていたが、鑑賞後数日経ってみれば、以上の役者は確かにこの映画に相応しいと思えてきた。
    松山ケンイチの「いけ好かなさ」も。
    そもそも村上春樹の視点人物は、共感できなさもまた重要なファクターなのだったし。
    またデモーニッシュな男女……玉山鉄二、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子もまた、いいと思えてきた。
    おそらく初音映莉子は、デヴィッド・リンチ「ブルーベルベット」のローラ・ダーンの「般若顔演技」に匹敵するだろう。
    とはいえやはり凄みがあるのは、菊地凛子。
    宮崎駿および堀辰雄「風立ちぬ」を飛び越えて、古井由吉の「杳子」に匹敵するくらい、すごい演技。というか、こういう人がいそうな感じ。
    春日武彦が「ロマンティックな狂気は存在するのか」という本を出しているが、そもそもそういう着想は、案外この作品辺りに由来するのかも、と思い出させてくれた。

    原作ファンであればあるほど改変が気になるものだが、個人的にはそれを理由に断罪するほどではなかった。
    プロローグの飛行機、緑の父親との挿話、麗子の嘘つき中学生の挿話、楽しい葬式のために50曲ギター演奏、中で出していいわよ、とかは省略されている。
    バッサリ場面ごと紛失しているわけではなく、10年以上読み返していない原作ファンにも、あーああいう場面が印象的だったのになーと思い出させてくれる程度には、言及されている。
    この中途半端さが、ファンの不完全燃焼を引き起こしているのだろうけれども。

    ところで1969年について考えるに、真面目が最後に通用したころ、なのだろう。
    のちに村上龍が「69 sixty nine」で大いに茶化すが。
    春樹は彼なりの作法で69年を脱構築した。
    高野悦子も同時期に煩悶していたし、宮崎駿も中上健次も三島由紀夫も手塚治虫も藤子不二雄両人も、それぞれの時代観・世代観・立場から69年に直面していた。
    本作の原作は、やや時流に外れようとしていたという意味で、いいサンプルになるし、それを補強するのにこの映画は、ビジュアル的に有益。
    また演出は黒沢清的で……つまりホラブルで……ある時代を描いているのに、その時代を超えそうな予感がある……。
    うん。すごい映画だったのだ。

  • 映像がキレイだったのでDVDではなく映画館でみても良かったなぁと後悔しました。(森の緑と冬の雪の白さ…色彩がキレイ)
    キズキ(高良ケンゴ)君はセリフなしなのが…演技が下手だったの?個人的には顔が好みだったのに。
    永沢さんは原作のイメージに一番近かったです。

    省略しているので原作を読まず映画を見ると話が分からないんじゃないかと思います。(私の母は「レイコさんって10年もこの病院にいるって頭おかしいんじゃない?」といっていたので。レイコさんの過去は語られてないからね)
    ビートルズの「ノルウェーの森」はどこで流れるんだろうと思いましたが、エンドロールに流れるだけなんですね。

  • 原作未読なんですけど嫁さんが借りてきたので「理解できないだろうな。。」ってスタンスで観ましたが、うーん、あまり理解出来なかったかな。
    適当に思った事を羅列していくと
    セックスの時に女性が不自然なくらい上着脱がない
    凛子こええ(良い意味で)
    直子と生活してた音楽の先生はなんでセックスする必要があったのか良くわからん
    音楽はジョニーでしたっけ?良かったです
    ワタナベくん、ラストで棺桶に片足突っ込んだと思ったけど「遠ざかった」?とかそんな事言ってたけど、どういうこと?
    先輩カップルの件、いらなかったんじゃないかなー

  • 菊地凛子がどう見ても20歳に見えない。
    水原希子に女優をやらせてはならない(すごく可愛いし、小鹿ちゃんなビジュアルもあってたけど…)
    セックスしすぎ。

    つまらないし長いしでがっかりした…

  • なにせ原作を読んだのは、
    20年以上前に1度だけなので、
    原作と比べる・・・ということではなく、
    映画『ノルウェイの森』として考えてみると、
    そんなに悪い映画じゃないと思います。

    松山ケンイチ、斜めとか横からの顔がすきですね。
    鼻から、上唇へのラインがきれい。
    この役にも、雰囲気がよくあっているような。

    菊地凛子、なんだか出演作を選ぶのが、
    大変そうな感じになってきましたね。
    いっそのこと、すごーくくだらないテレビの連ドラとか、
    一度出ちゃったらいいんじゃないでしょうか。
    そんなに好きな女優さんではないけど、
    「すごいな」と思う表情を、ときどきします。

    水原希子、滑舌悪すぎ・・・。
    何言ってるのか、よく聞き取れないところが多々。
    演技という段階でもない、演技ですが、
    それが緑という役にはあってたかも。
    ラッキーだったけど、次は難しいでしょうねぇ。

    映画全体の雰囲気は、すきです。
    トラン・アン・ユン監督作品らしい、
    静かさと色あいと画面の美しさがあります。

    原作のことを考えず、
    トラン・アン・ユン監督作品と考えれば、
    いい映画だと思います。

  • 音楽や映像は結構自分好みで、原作の雰囲気をいい感じであらわしているとは思ったのだけど
    根本的なこといって申し訳ないが、やはり村上作品のいいところは映画で出すのは難しいと感じた。
    あと脇役エピソードがある程度省略されるのは仕方ないけど、レイコさんのくだりぐらいはちゃんとやってほしかったな。
    あれではただの欲求不満のお姉さんです。

  • BGMがとてもよかった。

  • きっと映像にしたらこういう話なんだと思うから、間違ってはいないけど、原作の方が断然いいねえ~。

    原作のまま残したらしいセリフがきざったらしくって、意味深なかんじがぷんぷんするけど、でも、ワタナベってそうじゃない。
    過去に失ったものを自分の中で消化できなくて足をからめとられてててもがいている、不器用でいびつな存在なんだよ。
    変にナルシストのような優柔不断なような感じになっちゃってて残念。

    菊地凛子の直子はすげえ。
    出てきた瞬間に世界がある。もろくて繊細で危ない雰囲気がすごくリアル。

  •  唯一の親友・キズキを突然の自殺で失ったワタナベは、悲しみから立ち直れないまま東京の大学で学生生活をスタートさせる。ある日、ワタナベはキズキの恋人・直子と偶然の再会を果たす。同じ喪失感を共有する2人は次第に惹かれ合っていくが、2人の関係が深まるにつれ、直子は心のバランスを崩してしまい、ついには京都の療養所に入院することに。直子と会うことも叶わないワタナベの前に、直子とは対照的に若者らしい明るさと生命力に満ちた緑が現われる。積極的な緑との交流を持ちながらも直子の状態が心配でならないワタナベ。そんな中、ようやく直子との面会が許され、京都へと向かうワタナベだったが…。

     村上春樹が大好きで、原作を読み、そして映画を見ました。たしかによくできているかなという部分はありましたが、小説を読みこんでいる人から見ればこのシーンは省いてしまったらこの行動へとつながらない、キーポイントになるのに・・・、という箇所が多々ありました。ただ、時間の制約もある中ですべてを入れるには内容が多すぎるというのも分かるのでこのあたりがちょうどよいのかと、むしろ少し物足りないくらいで小説を読み返したくなるように仕上げていると思えば納得です。
     少し性描写が難しかったのに作品では上手に描いているのではと感じました。村上作品で感じる表現できないような感情というか感覚は感じることができたので有意義な時間が過ごせました。

  • 公開してすぐに観に行った作品です。

    実は昔は村上春樹さんの作品が苦手だったのですが、いつ頃からか気になるようになっていました。
    ノルウェイの森の原作を読んだのはちょうどそんな過渡期の頃で、どこか霧のような感じがつかめなくて最初はよくわからない状態でしたが、何か面白いものがあるなぁと感じていました。

    この作品はそんな村上春樹さんの作品の実写化、まさかあの村上さんの作品を実際の映像にすることなんて可能なのか?という好奇心が観に行ったきっかけです。

    観終わってまず思ったのは、
    これはノベライズではなくて1つの作品として観るべきものだ
    ということでした。

    内容は確かに村上さんのノルウェイの森で、そのストーリー自体も素敵なのですが、それよりも魅力的だったのは映像です。
    おそらくですが、ゴダールと黒澤さんの影響を受けているように思います。
    突然の場面の変化や非現実空間/現実空間の描写、海の映像などがまさに「美しく」、印象的でした。
    一面の雪景色や海などからはどこか別空間へのトリップを感じました。


    キャストも良かったです。
    水原希子ちゃんや菊池凛子さんなど、このハマリ具合はすごいの一言でした。

    これが日本の監督でなく、ベトナムの方が監督されたということは何か考えるものもあります。



    今まで見た映画の中でもトップを争うような神作。
    また観たいです。

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