幼年期の終り [Kindle]

  • 早川書房
4.03
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作品紹介・あらすじ

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 映画「インデペンデス・デー」を彷彿とさせるオーバーロードの登場。他の星系から来たオーバーロードはOver Lordのことで、神を越えた存在を示す。人類はオーバーロードに友好的に支配され、ユートピアを築く。そして、人類は幼年期を終えて次のステージに進む。次への移行期間は80年ほど。生物の進化としては極端に短いが、個々の人類の寿命を考えると、世代交代がおこるほどの長期間である。私は劇的な変化に人類が遭遇したと考えた。とても壮大な物語で、次に進むためのきっかけや、その後の人類の姿がたっぷりと描かれる。将来の事件を予言されたようで、なにやら恐怖まで感じる。

  • 初めてのSF。100分de名著での解説を観ていなかったら、かなり理解が難しかったのでは、と思う。でも人類があらゆる芸術や思想の中で描いてきた共通の概念は、過去の記憶ではなく未来の記憶であるという一つの考え方には、とても興味を覚えた。

  • 読み終わるとタイトルの意味がよくわかります。
    ホラー小説じゃないのに、未知の世界への畏怖の思いでちょっとした恐怖感。
    古い作品とは思えない。今、読んでも十分楽しめます。さすが名作!

  • 後半すごい。ググると某巨大兵器アニメが一緒に出てくる理由がわかった笑。まさかこう展開していとは!想像を遥かに超え行く広大さにめちゃくちゃ興奮したー!
    クラーク最高傑作と謳われている理由にも納得。一つの到達点と言えるくらい凄い。章の序盤は毎度読み進め辛いが後半は毎回めちゃくちゃ面白くなる。序盤を読むからこそ後で活きてくると思えば全然いける。
    幸福とは物質的豊かさか欲求の充実か自意識の満足か、そういう問いを含んだ人間哲学を希望を込めてSFエンタテインメントにして提示したところが本当に凄い。感動した。

  • 1953年に発表された作品。
    「異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた傑作!」

    「仮に、人類が考えもしなかったテクノロジーを持つ宇宙人が、地球に来たとする。逆から考えると、地球に来られたというだけで、優れたテクノロジーをもっているはずで、人類から見ると「神」のような超越した存在に見えるかもしれない。その「神」は人類を次のステップに導いてくれるかも・・??1953年に発表された本作は、SFを単なるホラ話から純文学、哲学、詩、もしくはそれ以上の存在に引き上げたとも言える作品で、SF古典の名作中の名作。」
    (『SFはこれを読め!』谷岡一郎著 の紹介より)

  • おもすれーSF。最後の世代の子供たちは盆踊りしつつ上位存在に。

    中盤で神の存在を否定してて「おっ」となったが、宇宙規模の上位存在は示唆してるのでやっぱりキリスト教圏だなと思いました。
    科学で未来過去そして宇宙すらあまねく見通せど、四次元以上の世界とビッグバン以前があるので不在証明は成り立たない。宗教と科学は共存可能、むしろ推進の場合もあるってはっきりわかんだね。SFもそんなん(宗教的世界観を重ねる)ばっかだし。
    どうでもいいけどオーバーロードに渡された過去を覗き見るマシンの場面は、遠方銀河からの光での過去観測はある一定より真っ白になってしまうのを思い出した。
    それから得た描写かと思った。結局オバロの恣意的なものだと判明してたけれど。

    オバロはみんなキャラが理知的でいいですね。
    人類より発達した種族であるのに見届ける役しかできない哀愁。
    見た目は悪魔で、でもやってる事は聖者を天に召す天使。
    でかい図体なのに紳士的で、ちっこい椅子に座って尾を床に垂らしながら本を真面目に読んでたり、初顔見せが両腕に抱えた子供に角や羽根を遊ばれながらだったりとか完全に萌えキャラなんだよな。
    一定の層に人気があると思う。それを損ねないようにデザインラフを描いてみたりとかするけれど、上手くいったものはないです。

    生物として次のステージである〈オーバーマインド〉に昇る人類がオチ。
    集合的無意識を具体化したような存在みたいだけれど、2023年に生きる自分としては、人類は根っこで繋がってるみたいな考え方は腑に落ちない部分もある。
    現代だから、は関係ないか。
    ともかく執筆された時代を考えれば、諸々の描写や上霊の発想はすごい……らしい。雑然とSFを読んでるせいで、比べられるほど同時期の作品が思いうかばないので……

    合一の存在になるというのは象徴的不死を失うような得るような、安心感と恐怖が入り混じる。
    現存する人類の価値観にそぐわないものを喜びとして描かれると(作中ではラストまでそういう描写はないが)、どうしても恐ろしさを感じてしまう。価値観の改変とか怖い。ヤプーとか。
    この作品はそれがSFとしての広がりを持たせ、大作足り得させたのだろう。
    普通に冒険譚やミステリーとしても面白いです。

    80年。世代が変わってしまえば、新たなものに対する恐怖は受け継がれない。
    それが宇宙から飛来し、いつでも空を占め人類を見下ろす存在であっても。
    自己複製のバグでしかない分断された自我の脆弱性――
    〈オーバーマインド〉は、その克服を成し得たのか。
    主題ではないが、そんなことを考えた。

  • 中盤くらいまで淡々と進んでいくが最後の盛り上がりと壮大なラスト。多くのストーリーの元ネタになっているらしいのも納得

  • 中学生の頃に読んだSF名作の再読。
    正直、忘れていたエピソードが多数で驚く。30年前に読んだ本ってそんなもんかな。
    古典SFも面白いよ。名作ばかり。未読の方は読むべし。

  • SFの金字塔であるということが実感できた。人類の進化の先に何があるのか?異種族が宇宙から来た時にどのような形態をしているのか?その主従関係はどのようになるのだろうか?思考の幅が広がる物語だと思う。
    半分くらい読み進めてもなかなか面白くならないなーと思っていたが、最後のまとめ方で全部許した。

  • 宇宙人がやってきた、でも別に植民地にして搾取してくるでもなく。彼らの狙いは?的な話。要所要所で面白いシーンは少しはあるのだが、とにかく登場人物が無駄に多く頻繁に切り替わるので名前を全然覚えられない。2/3くらいカットしてもよかったのではないかと思う。この手のは真相解明に至る瞬間が一番面白いのだけど、そこに至るまでの不要な描写が多すぎて疲れてしまった。

  • ※2018.9.24購入@kindle版

  • SFというよりかは哲学的、文学的な物語。好き嫌いを選ぶ本じゃないかな。

  • こっくりさんでオーバーロードの星が判明するところと津波に襲われそうになった子供が不思議な力で助けられるところが好き
    人類の子どもたちが変容して神様?の遣いになってしまうのと、分裂しかできないっぽいオーバーロードたちが神様の駒のように働かされてる対比はおもしろい

  • 世界の大都市に突如現れた巨大な宇宙船。
    オーバーロードと呼ばれる異星人は、高度な技術で人類に平和と利便をもたらした。

    その後、とても興味深く物語を楽しんでいたが、読み進めるうちに衝撃の事実が。

    ある章で、不思議な出来事が起こりはじめるのだが。
    実は、オーバーロード以上の何かが存在し、オーバーロードを動かしていた。

    オーバーロードにはない、人類が持つ潜在能力?
    人類が向かった先に何があるのか。

    結末は自分にとって、とても難しかった。
    解釈の仕方は様々あるのではないでしょうか。
    人類にとってのユートピアとは一体どのようなものなのか?と考えてしまった。
    そしてオーバーロードの優しさ、切なさを感じた。











  • 2023.01.16.
    朝読書は3度めの挑戦
    「幼年期の終り」読み始めます。
    早く2度挫折した問題の新章突に入したい。

    朝読書。「幼年期の終り」
    第2部の1-3章を読む。

    時代も登場人物も一新する。
    思い切って誰が中心人物か、Wikiで確認。

    2部3章ラストの方に出てきた黒人青年だと判る。
    2度挫折したが今回は安心して読めそうです。


    朝活読書「幼年期の終わり」第2部4-5章。
    第2部は序盤からジョージという男の視点が多く、
    5章でようやくジャンの視点も入った。
    設定がまだ自分の中でこなれず読み辛い。


    朝読書「幼年期の終り」第2部6-8章
    6章:居心地の良い”子供部屋化”した地球の現状。
    7-8章:オーバーロードに動物を送る義兄の話に
    ジャンは一計を案じ、実行に移す。
    話が動き始め面白くなってきた!


    朝読書「幼年期の終り」第二章読破。
    第9章:ついにジャンは計画を実行。
    第10章:カレルレンは会見で密航者がいた事及び
    地球統治の理由を語り、地球黄金期の終焉を憂う。

    ついに最終章に突入。面白い!

    朝読書「幼年期の終り」第3部開幕。
    1章:ジョージ一家は芸術島
       (実は反オーバーロードコミュ)に移住。
    2章:島を津波が襲うも息子ジェフは
       不思議な声を聞き奇跡的に生還。

    さて、この先どうなる?


    朝読書「幼年期の終わり」第3部3-4章。
    若干わかりにくく、ネタバレ上等でネットで
    この辺をちょっと確認してみた。

    もう一回読んでみよう...。


    2023.01.30.
    「幼年期の終わり」読了。
    ...何とも言えない終盤に唖然。

  • 読了。

  • 宇宙進出に向けて開発が進められていた地球に、突如として空を覆い尽くさんばかりの宇宙船が現れる。異星人の管理下に置かれた地球でこれまで人類が抱えていたあらゆる問題は解消された。オーバーロードと呼ばれる異星人たちの目的は分からぬまま地球の文明は過去にない高水準で安定し、時は過ぎていく……。
    読み応えがあり、ぐいぐい引き込まれる壮大なSF。ラストでタイトルの意味するものが分かった瞬間の感覚はしばらく忘れられないと思う。

  • ハインライン、アシモフとともに三大SF作家といわれるクラークの名作。

    確かに設定はとてもよく出来ていて、これぞSFという印象だが、語られるスパンが長いせいか、人物の物語としては印象が薄かった。

    こちらの読解力の問題があり、オーバーロードの容姿はいわゆるデビルのようだったのか、服は着ていたのかなど、つまらない点?が気になったが、こういうことは、正解を求めるという悪癖だろうと思う。

    そして地球人類はどこへ飛び立っていったのかなども含めて、余白の多い小説だったので、好き嫌いが分かれるような気がした。


  • 人類が月に到達するより前、宇宙より突然現れたオーバーロードによって、人類の進化は絶たれました。戦争のないユートピアは、地球と人類に何をもたらすのでしょうか。改めて宇宙の大きさを考えさせられた作品です。

  •  

  • 傑作古典SF。いろんな方面に影響与えてると思います。

  • 今まで手を出してこなかったSF小説の読み始めに購入。古典的作品だけあり、壮大な内容で面白かった。いつか読み返したい。

  • 『三体』読んでから、たまにSFを読もうという気になる。
    これは、すごい。名作と呼ばれるのがわかる。この題名の意味が後半でようやくわかった衝撃…。
    この読後感、人に依るのかな。わたしはすごくよかった。ああでもネタバレになるから言えない。ネタバレみないで素で読んでほしい。三体より読みやすいから。
    言ってる意味わかんないかもしれないけど、部分的にピンと来てもらえればという感想を書いてみる。
    これって、阿弥陀さまの救いに全力で背を向ける自分っていうのをリアルに感じられる話だと思う。旧人類の運命と、「あるもの」に統一されていく超人類。超人類が生まれるところの描写に、どうしても自分の理解でしかわからない自分とそれを超える存在との対峙を思った。わたしたち人類が充ち足りた世界。そこでも満足できない人類。深い深いところでつながるということ。
    古来から恐れていた姿を「未来の記憶」とするところや、オーバーロードという存在が聖道門の菩薩に見えたりとか、単純にSFとして楽しもうと思っていたんだけど、そうじゃない読み方も流れ込んできてしまってとにかく脳内が忙しいストーリー展開。
    これは物語だ。でも実際の人類について書かれているが故にその立場になった自分をどうしても考える。お前はどうだに聞こえるんだよなあ。
    一気読みしたかったけど、我慢して通勤電車で読み切った。

  • 幼年期の終り Kindle版

  • 短編「守護天使」が原型となった長編。「守護天使」では明かされなかった「オーバーロード」は最初の到来から50年を経て地球人にその姿を現している。巨大な翼竜か? しかし地球人はいとも自然にそれを受け入れている。大宇宙の均衡のために飼いならされた?地球人。つらい肉体労働からは開放されたが、進歩は無くなった。しかし変革の時はやってきて、子供たちは超感覚ともいうべき感覚を身につけ宇宙へと連れ去られ?旅立って?しまう。”オーバーロード”たちさえも、さらにその上に君臨するもの"オーバーマインド”のしもべだったのだ。かくして地球は終わりを迎えた。

    100分de名著の解説を読んだら、オーバーロードは悪魔の姿だというのだ。翼、角、矢印の形の尾。「守護天使」が実は悪魔の姿、という皮肉。



    1953年発表
    1979.4.30発行 2019.7.15第41刷

  • 終末ものが好きなので、ラストの展開あたりはかなり好みだった。
    章ごとに主人公的ポジションの人物は変わるし、時も流れていく群像劇的な構成。そのため、物語のスケールがより大きく感じられ圧倒される。
    オーバーロード達は、最初は未知なる存在であり、出てくる度になんとなく不安だった。途中から、彼らに人間味を感じたり、終盤では彼らなりの宿命を背負ってることを知り、ちょっぴり切なくなった。

    崩壊する世界の中で、最後の人類となったジャンの実況に心打たれた。

  • 群像劇的なSF。様々な時代、場面の中で繰り広げられる探り合い(?)。
    夢中で読めた。どの展開も人間味があってよかった。

  • 感想を一言で表すのが難しい。

    一つの種族の終わりと始まりの物語の様に思えた。
    また昨今のウィルスの話と重なる部分もあり重たく感じる読み味だった。

    SFは好んで読むのですが、頭の中での想像が追いつかなかったのは、この作品が初めて。

    また忘れた頃にもう一度読んでみたい。

  • SFチャレンジ3作目。
    どういう感想を抱けばいいのかはわからないが、洗練された作品を読みきった満足感。
    ページをめくる手が止まらなくなったことが何度も。
    現代社会にも通じるハッとさせられる一節があった。
    芸術にかける人間の活動は、果たして無意味なのか?

  • Eテレ100分 de 名著で注目!
    巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた一冊。

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