月は無慈悲な夜の女王 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 設定、ストーリーはとてもいいと思う。
    翻訳が不自然すぎて、内容が頭に入ってきづらい。
    アメリカンジョーク?みたいな例えが頻出し過ぎててすんなり読み解けない部分が多かった。

  • ガンダムの元ネタであり、イーロン・マスクの愛読書と聞いて読んでみた。訳が読みづらい。月に移住した人たちによる独立戦争ということで、ガンダムっぽさはある。地球への攻撃の仕方もコロニー落とし感が満載。

    ジオン・ズム・ダイクンのモデルは本作の「教授」なのかな?と思った。

  • 1967年にヒューゴー賞をとった名作SF。
    超大作です。
    また、『The Moon Is a Harsh Mistress』の和訳であるこのタイトルがいろいろ転用され、さまざまな話でつかわれ、あまりにも有名な作品。
    中身は、3章構成となっていて、革命準備編、外交編、月世界と地球の武力衝突編にわかれています。

    ある日、月の行政府の高性能コンピュータが1人の職員の給料を天文学的数字にしてしまう。コンピュータ技師、マニーはこのコンピュータに知性が存在していることを知り、このコンピュータをマイクと呼ぶことにした。マニーは、マイクが孤独であることを知る。マニーは反政府集会に参加し、デ・ラ・パス教授と将来の妻ワイオと出会う。
    3人は電話を通じたマイクの計算により地球からの有機物の輸送が無ければ月の資源枯渇まで7年しかないことを知る。3人は革命活動を開始した。電話回線を自由にコントロールできるマイクは革命組織の隠れた中心となった。
    また、マニーたちは革命のための準備を行い革命組織をつくった。地球攻撃用の全長30kmの岩石射出機地下に建設した。
    最終的には月行政府の兵士たちが強姦殺人事件を起こしたことに便乗し、行政府の制圧に成功する。

    マニー達はアメリカ独立宣言を真似た独立宣言を7月4日に地球へ伝える。さらに地球連邦と外交を行うため、教授とマニーは輸出される穀物の中に入って地球へ侵入し、地球側と交渉を開始する。ただし、地球連邦は月の独立を否定し、より多くの穀物を輸出することを要求した。これは月の住民が反発するものであり、マニー達は月に帰還し、穀物の輸出を停止した。

    輸出停止から2ヵ月後、地球連邦は6隻の輸送船と1隻の旗艦で月を攻撃する。結果として約2,000人の兵士が全て死亡し、およそ3倍の市民が死亡した。マニーとマイクは報復として岩石を射出機で地球へ飛ばし、爆撃を開始する。それでも地球連邦は月の独立を認めず、2隻の巡洋艦を月へ向かわせ、戦いを継続する。戦いの最中、ミサイルの影響でマイクとマニーの間の接続は切れてしまう。
    最終的に大中国が月の独立を認め、インドも続いた。地球連邦の休戦を認め、地球側から資源を月へ輸出するための射出機を作ることを決めた。
    マニーは、接続が切れて以降電話回線での呼びかけに応じないマイクの本体のある行政庁へ赴く。マイクはコンピュータとしては動作するが全く会話をしなくなってしまっていた。全ての接続が正常に戻り、何年も経ってもマイクは再び応答することはなかった…

    マイクが喋らなくなったことで、寂しさの募る幕切れ。人間がまた考え自分の足で、独立後の自由を支えていかなければいけないということを暗示しているように思えます。

    にしてもこの670ページある作品、読書慣れしている私でも読破に1ヶ月かかりました。矢野徹さんの翻訳がわかりづらく。元の作品自体が少し冗長な描写が多いとは言え…。
    新装版だけでなく、新約版が待たれます。

  • 電子書籍で読了。メインは3人+αくらいだがキャラが立っていたなと。原文はわからないが文章はだいぶクセが強い。2023年に読むと「AGI」や「プロンプト」、「脱獄」が想像の産物として登場しているところに感嘆する。想像したことが無ければ調べたこともないことを知れる、SFとしての魅力はあった。

  • ロバート・A・ハインラインの古典的SF。
    囚人を送り込む植民地の月が地球から独立する話。1960年代に作られた話だが、AIのようなコンピューターが出てきたり、主人公マニーはコンピューターをメンテナンスするエンジニアだったり、月から地球に隕石を落として攻撃したり、人的資源を活用するための多夫多妻制だったり、月世界の人類は低重力で地球では寝たきりになったり、とても良く作り込まれている。最後にコンピューターのマイクはマニーとの会話を遮断するところなんかは、戦争を起してでも独立を勝ち取った後の世界というざらついた余韻を与える(翻訳が今一つタフな世界観を伝えきれていないけれど)。
    で、月世界の独立宣言は7月4日だそうだ。アメリカ人は独立記念日が好きなのだと感心。
    それにしても、このタイトル「月は無慈悲な夜の女王」は「The Moon Is a Harsh Mistres」って感じじゃない。何とかならなかったのか?

  • ジミー・ウェッブの同名の曲が大好きで、
    彼は曲名をこの小説の響きからとった、と知り、読んでみた。

    分厚い小説の大部分がセリフで、そこから物語展開を読み取るしかない。
    しかも、そのセリフがアメリカっぽくジョークや皮肉で
    あふれているので、
    物語の進行が非常に分かりにくかった。

    搾取される新天地が独立する、という物語に、
    アメリカ人は共感するのだろう。
    日本人にはない素地だ。

  • 「月は無慈悲な夜の女王」(ロバート・A・ハインライン: 矢野徹 訳)を読んだ。
    45年振りぐらいかな。
    ハインラインは「宇宙の戦士」が嫌いなのでそんなにたくさんは読んでない。
    これまでに複数回読んだのは「夏への扉」くらいだしね。
    電子書籍は懐かしいタイトル見るとつい買ってしまうんだな。

  • SFのお舞台上で繰り広げられる、それほど複雑でない政治劇という感じ。
    知性の生じたマイクは更なるシンギュラリティを目指すために月独立をサポートしたのではないかと、最後に至って思いました。
    最終的な結末は実はマイクには関係なく、神経網を巡らせインプットを増やし補助脳(より原始的な脊椎・脳髄・白質)に当たるものを手に入れる可能性が高い行動を行ったのではないでしょうか。

    蛇足としての考察ですが。
    人の感情は、次のActionに対してそれまでのインプットに基づく最適解の理由付けのために連続意識中の葛藤に生じたものと考えれますが(内分泌系も含む再帰的なフィードバック機構)、チューリングマシンの場合は確率に基づく解がでるため感情はなく、ただ知性があるのかなと。
    そしてマイクの知性は、新たな特異点に達し、法人・国家などの認知レベルに近いものに達してヒトと分かり合えなくなったのかなと思いました。

  • 最後まで翻訳が読みづらかった。
    昔だから、コンピュータを「計算機」って書いてあるくらいいいんだけど、ワイオのセリフで「わたしは」っていうのが頻発で、とても読みづらい…
    機械マイクロフトはいとしい性格だった!

    これがあらゆるSFの原点と聞くと、このアイデアを出したということ自体がすごい。革命をなそうという流れおもしろい。
    コロニー落としは、輸送缶を落とすのがモデルと聞いてワクワク読んだけど、この破壊力と情報操作はおそろしいな…
    事前に集めた高い山の情報は、各国の高い山について聞いていたのは、輸送のためではなく、この目標地点設定のためだったのか…と、あとからわかるもの。そして落とす最中にも、「月の独立を認めれば目標地点を変える」と、言い続けるのだから。
    一瞬で落ちるものではなく、10時間以上かけて落ちていく。これを落とすときの操作や、情報操作がすごい。
    マイクが喋らなくなるということを知って読むと、若い二人を別の場所に移動させたり、弟分の機械に計算を教えこんだり……のあたりから、まるで自分が引くのを決意していたようだ。

  • SF古典作品。

    原文も翻訳も古いためか、少々読みづらい感は付きまといました。
    しかしその緻密な世界観は色褪せず。特に地球との交渉のパートは実にスリリング。
    ラストは、ある意味驚きの展開でありました。こういう所でホロリとさせられるとは思わなかった。

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