暴露―スノーデンが私に託したファイル― [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 前半はスノーデンとの接触までの様子が物語として臨場感があり楽しめた。
    中盤はNSAの具体的な能力についてで、驚くような新技術こそなかったものの、規模感やそのディテールが非常に豊富で、かなりイメージを湧くことができた。おもしろかった。
    後半はプライバシーに関する考え方だが、ここは自分の考え方を改められたので、出会えてよかったと思う。

    自分はマジョリティさえ問題なければよい、後ろめたいことはない、という、本書で著者が述べている一般的な感想をもっていた。しかし監視が潜在的な萎縮効果を持つこと、権力は必ずこれを濫用する(ポリシーなど持っていない)こと、そしてなにより、「社会を測る尺度とはマイノリティをどう扱うかにある」という指摘はハッとさせられた。

    共同体の意義が進化にあるとしたとき、全体主義が危険なのは、多様性を失い自己変化できなくなるためだ。その観点でマイノリティは重視されねばならない。マイノリティが抑圧される社会では、創造性や自浄作用が失われ、やがて競争力を失ってしまう。

    また、監視が自由や創造性を奪うことについて、よくよく考えたら自分の私生活にそのまま当てはまって怖くなった。いわゆるパノプティコンの効果により「自粛」してしまっている。そのことがひいては創造性や可能性を奪っている。というのは身をもって体験している話だ。

    また、Aさんが「子どもは監視すべきでない」といったことの意味もようやくわかった。それは単に尊重するということだけでなく、子どもの創造性や可能性を(潜在的に)奪わない、ということなのだ。

    なお大企業のプライバシーに対する振る舞いは、これは仕方ないかなと思う。プライバシーの価値(及びリスク)は一律ではなく非対称で、政府や要人ほど大きい。一般人のプライバシーは軽視できるが要人のそれは尊重されねばならない、という状況は存在しうる。
    問題はこの線引きで、もしかしたら情報化社会の現在においては、その非対称性は大きくなっているかもしれない。

  • 【由来】
    ・Googleニュースで知った。読売のニュース。

    【期待したもの】
    ・これは読みたいでしょ。すごい予約数になりそう。

    【要約】


    【ノート】

  • 途中までは迫真のドキュメンタリーって感じで面白かったけど、途中からひたすた細かいデータ集となり残念。

  • これはみんなが読むべき

  • 「すべてを収集する」この言葉に集約された本当の意味

    メタデータを収集することでプライベートの知られたくない部分が暴露される。

    ゆっくりと咀嚼しながらもう一度読む必要があると感じた。

  • 私があなたの行動を知りたいと思ったとき、電話の"内容"を盗聴する必要はない。あなたがかけた"電話"の記録をすべて見ることができれば、通話した相手がひとり残らずわかる。

    2004年にNSAが令状を取らずに違法に盗聴しようとしたことをバラそうとしたニューヨーク・タイムズに対しに対し、ブッシュ大統領は執務室に呼びつけこの事実を明らかにするとテロリストを手助けすることになると、意味不明の主張を繰り返した。テロとの戦いで正当化されてきた"国家安全保障"の過度な濫用を改革すると誓って選出されたオバマもベビーフェイスにはほど遠い。長年の間オバマに肩入れしてきたアメリカ人ジャーナリストも今ではオバマを報道の自由に対する重大な脅威ーニクソン以来、最も弾圧的なリーダーーととらえるようになった。

    外国諜報活動監視裁判所は通信業者Verizonに対しアメリカ国内、国際通信の通話記録をNSAに提出するように命じていた。この裁判所が1978年から2002年まで諜報活動が却下された件数はゼロ、その後10年で2万件以上の承認に対し却下は11件だった。ついで911を受けて制定された愛国者法により政府が企業の業務記録を入手する際に必要とされる基準が"相当な理由がある"から"関連がある"場合に格下げされた。さらにオバマは1917年のスパイ活動法を適用して7人の内部告発者を逮捕しており、これは成立以来前政権までに逮捕された人数の倍を超える。

    ブッシュ政権でNSAを擁護したのは共和党員だったが、オバマ政権では今度は民主党支持者が擁護に回った。こうなると個人の人権ではなく敵味方の主導権争いでしかないのだが。

    エドワード・スノーデンが明かそうとしたNSAの自国民に対する監視活動はマイクロソフト、グーグル等大手9社のサーバーから直接データーを収集するPRISM計画ーこの計画によってNSAはインターネット企業から欲しい情報をなんでも手に入れられるようになったーなどでスノーデンの動機はインターネット空間の自由を守るということになっている。

    それではNSAの監視は対テロ戦争に効果をあげたのか。愛国者法の忍び込み条項ー相手に知らせることなく捜査令状を執行できる許可ーが適用されたのはほとんどがドラッグ関係で詐欺が1割未満、テロ案件はわずか15件と1%ほどだ。それにもかかわらず大量のメタデータを入手したことがテロを防いだという実例を司法省は一つも挙げられていない。

    多くの御用メディアがスノーデンと著者のグレン・グリンウォードを攻撃した。NSAの監視に反対する一般のアメリカ人の多くもスノーデンの逮捕はやむなしと考えている。それでもスノーデンの暴露はアメリカを少し動かしかけた民主党議員と共和党議員が共同でNSAプロジェクトへの予算を凍結する法案を提出し、賛成205、反対217と僅差で敗れたものの賛成は民主党、共和党ほぼ半々の支持を得たのだ。

  • まずはこの本が日本語ですぐに出版された事に感謝。
    内容は濃い。予想を超える真実でした。
    アメリカはジャーナリズムが発達しているイメージが完璧に覆った。民主主義は死んだのかも。役人はパブリックサーヴァントでありはずなのに、国民の方が監視されている。アメリカしかり。日本しかり。
    で、英国って憲法で報道の自由が保障されていないって知らなかったな。
    スノーデンただ一人の良心が、私にも伝わった瞬間でした。

  • 政治、報道、技術、正義そして自由…。非常に考えさせられる。

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